機動戦士ガンダム第22話「マ・クベ包囲網を破れ!」ではランバ・ラル隊の全滅により本格的にマ・クベ配下の攻撃が厳しくなるのですがホワイトベースではリュウの死によるショックが抜けきれない中、いろんな部分にひずみが生じブライトも過労で倒れてしまう。
こんな感じで最悪の状況になっていき形成されていたと思っていたミライとセイラの人間関係に微妙な空気が流れ、現場にまで影響するので見ていた筆者としては大丈夫か?と思ったのですが、これもまた富野由悠季氏が現代人に伝えたいメッセージであることから、
今回も大人の目線で1つ1つ読み解いていくことにしましょう。
目次
・マ・クベ包囲網には秘密が一杯?話から読み取れる鉱山防衛手段とは。
・ブライト倒れる!リュウの死が影響したホワイトベースへの影響とは。
・ガンダム戦闘中に空中換装?セイラとミライの間に生まれた確執とは。
マ・クベ包囲網には秘密が一杯?話から読み取れる鉱山防衛手段とは
機動戦士ガンダム第22話からはマ・クベが管理、支配しているオデッサ鉱山を取り戻すための作戦「オデッサ・デー」に間に合わせるために、鉱山基地を撃破しながらレビル将軍と合流する展開になるのですが、マ・クベ側も邪魔だったランバ・ラル隊がいなくなり、
自分達の鉱山を守ると同時に本格的にホワイトベース攻略となるのでさまざまな手段
での特徴がこの話を見るだけでもいろいろとちりばめられている。
最初に感じるのがヒートホークとザクマシンガンを持ったグフ3機と交戦するシーン。
これを見て「あれ?ちょっとおかしくない」と思うファンはかなりの通だと思える。
「グフ3機もあるんだったらランバ・ラルに送ればいいのに!」と思ったあなたはかなりの正直者なのですが、これも以前からお話しているようにキシリア派のマ・クベが派閥の敵であるドレン派であるランバ・ラルに手を貸す理由も得になることも全く無い。
むしろ己の保身のために早くいなくなって欲しい!すら思っていたことから、補給では使い古したザクしか渡さなかったのですが、冒頭で出撃するグフを見ておかしいと思えるのも武器の大半がザクのものを使っている部分であること。
本来グフにはモビルスーツの電子回路を麻痺させるヒートロットや格闘用のサーベルで
あるグフサーベル、左手指にはザクと同じレベルのマシンガンが装備されているため、
あえてザクの装備を使う理由が無いように思えるのですが、グフには一般兵が扱うには
はっきりとした長所と短所があるので、この点を見逃さないほうがいい。
ザクの武器を持って戦うならザクでもいいのに何故グフなのかというとグフは胸部装甲を中心に6割部分を新装しておりザクよりも丈夫であるため圧倒的に生存率が高く、運動性も軽量化やバックパックの推進力の強化により20%以上も向上している。
その反面、ザクの武器を使うのもグフは接近戦用に作られているため、一般兵には操作性に難があることを自ら操作したマ・クベが見切っており、汎用性に欠けることからオデッサ・デー対策の先手として使い慣れているザクの武器で対応しているのだと思える。
筆者がこう断言するのもオデッサ・デーだけでなく、地球連邦軍本拠地であるジャブロに降下する際にもグフはザク・マシンガンやザク・バズーカーなどを持った機体がほとんどであり、一般兵にはグフの特化した性能を使いこなせなかったからでしょう。
次にマ・クベが重視しているのは情報網。彼がエルラン少将とその部下のジュダックを連邦軍幹部にとして潜入させるシーンがこの話から目立っているのですが、この理由も先の先が読めることで戦略が取りやすいことから狡猾な彼らしいものとなっている。
また部下であるラングとバイスにプラスチック爆弾を仕掛け、故意にレーダーだけを残させる第一段階。それによりレーダーを頼りに移動するホワイトベースからグフと小型戦闘機ドップでガンダムとガンキャノンを分断させるのが第二段階。
これにより逃げ道をレーダーによる索敵だけで移動させることから基地内に用意した強力兵器である「メガ粒子砲」で集中砲火を浴びさせる第三段階の作戦を練ることから、心理的に包囲するガルマと比べ、非情とも言えるくらい効率的に考えている部分が特徴的。
こういった知的な策略を考えることから、
「明日一日、東ヨーロッパ戦線に配備した
連邦軍の動きを極力押さえるように、と」
と潜伏しているエルラン少将に命令をしては確実かつ効率的に進めていくのですが、マ・クベの戦術の大半は机上のものがほとんどであるため、ホワイトベースオペレーターであるマーカーの偽装作戦を信じきってしまい、後々の失態につながってしまうのです。
ブライト倒れる!リュウの死が影響したホワイトベースへの影響とは
ガンダムをハモンの隣接攻撃から守るために、コア・ファイターに乗って特攻したリュウの死により、疲労が溜まっていたのか?緊張の糸が切れるように艦長であるブライトが高熱を出して倒れてしまう。
そんなこととは知らずに劇場版ではカットされたフラウ・ボゥとカツ・レツ・キッカの子供達の入浴シーンや、アムロとハヤトが第3話のときと同じく整備から風呂に入っていないことから「不潔人間」と怒鳴られるシーンで戦闘前のひと時が流れるのですが、
肝心のブライトが倒れることでホワイトベースは危機的状態にまで追い込まれてしまう。
こうなってしまったのもマ・クベの三段構えの作戦も大きいのですが、それ以上に艦長代理となったミライの的を得ていない対応や周りに翻弄され意見がコロコロと変わることから、ブライトやリュウのありがたさを思い知らされることになってしまう。
ホワイトベースが絶体絶命のピンチになったのも、動かすのがやっとの状態での戦闘に加え、レーダーだけを残してのプラスチック爆弾での工作破壊。ドップ20機に対し何故か同じ小型戦闘機であるコア・ファイターをアムロとハヤト2機だけで対応させるので、
2人が困惑するように多勢に無勢となり、無駄に被害を増やしただけである。
普通ならガンダム、ガンキャノン、ガンタンクに砲撃で倒させれば良かったのですが
今頃思ったのか?タイミングの悪いときにガンタンクを後方に下ろして対応させるので、
「そんなことできる訳ないでしょう」
と半ば切れ気味に対応。それをしたらガンタンクは高確率で破壊されると思える。
こんな感じで司令塔が見当違いの対応となるので、アムロはイライラ、セイラはなだめながら対応とこれまでうまくいっていた部分が空回りするのですが、肝心のブライトもそのことを感じ取っていたのか?医療係りのサンマロに支えられながらも、
「リュウ、ガンキャノンで左翼を・・・」
と死んだリュウを頼ってしまい、熱でうなされていたのか?動かない身体に対して、
「なぜ、体が動かん?恐いのか?」
と自己否定に入るのでリュウの存在の大きさに後悔と恐怖を感じさせる。
また艦長代理になったミライも同様でブライトの補佐としては優秀だった反面、指揮官としては素人のために、命令する結果が全て空回りとなりセイラに注意されながら悪い方向に行くので、お嬢様育ちもあってか特有の追い込まれると被害妄想になる部分から、
「私にはこれが精一杯よ。これ以上どうしろっていうの?」
とセイラが無理強いしたように切れるので追い込まれたときの人間性が見えてくる。
そのことについてセイラも「こんなときにリュウがいれば」とつい口走ってしまい、普段は冷静に見えても心情はいっぱいいっぱいという感じなので、身を持って戦闘で生き残る大変さを思い知らされてしまう。
こうなってしまったのもセイラとミライに大きな考え方の違いがあるからですので
この点は以下を読んでいただけると幸いです。
ガンダム戦闘中に空中換装?セイラとミライの間に生まれた確執とは
機動戦士ガンダム第22話では「マ・クベ包囲網を破れ!」とあるようにホワイトベースがマ・クベ鉱山基地を破壊していくという部分が醍醐味なのですが、十分な戦力でない上に頼れるリュウが死に、ブライトが倒れ、レーダーしか使えない状態から始まるので、
無謀な上に無茶苦茶な状態であるため、第2話のシャア強襲を思わせる印象が強い。
しかし実際にはこの戦いを混乱させてしまった原因はセイラとミライに生まれた確執であり、ミライの慣れない戦闘指示により現場が混乱してしまったことから、窮地にまで追い込まれるのですが、一体何故そこまで追い込まれてしまったのか?
これもセイラとミライの関係性を読み解かないとなかなか見えてこないと思えてくる。
最初の爆発でミノフスキー粒子の射出口とECM発信機を破壊されるのは、工作兵のラングとバイスによるレーターに感知しないプラスチック爆弾であり、セイラが言う通りオペレーターが感知出来る代物ではないので仕方が無いのですが、セイラがあえて、
「でも、オペレーターの見落しだなんて思わないでくださいね、ミライさん」
と他人行儀な感じを出してしまったことからミライもこれに対し嫌な印象を受ける。
またミライの指示はブライトの補佐をしてきたときの思いつきの延長であることから
現場を一切無視した行動が多く、ドップに対しコア・ファイターで勝てないと思うと、
「ガンダム、ガンタンクのパーツを射出します。
メカニックマンに連絡をして」
とガンペリーも使わず空中換装をしようとするのでセイラも唖然としてしまう。
ハヤトは空中換装は出来ないのでアムロのガンダムだけをそうさせようとすると、
「えっ?戦闘中に空中換装を?どうやってやれっていうんです」
とアムロも困惑してしまうので、セイラも何とかなだめて強行するのですが、急ぎすぎる上にドップの集中砲火を食らうので、さすがにアムロも切れ気味で対応してしまう。
結局、マ・クベの作戦にまんまとひっかかりおびき寄せられるように基地内のメガ粒子砲射程内まで誘導されては、ガンダムとガンキャノンを引き離され、弾切れになるまで釘付けになるのですが、ミライが敵がくる方向から逃げてばかりいるのでセイラも思わず、
「あなた、逃げる事しか考えないの?」
と冷静さを欠いてしまい思い通りにならない部分をミライに冷たくするように当たる。
これもまたセイラのほうが状況判断に関しては若干熟練度が高いことからなのですが
このことが逆に痛いプレッシャーとなり、ミライがこの後に放ったセリフ、
「私にはこれが精一杯よ。これ以上どうしろっていうの?」
とミライも切れてしまうので確執を作るように壁を作ってしまう。
こんな感じで行き当たりばったりの戦いとなるので、ミライは現場のことを考えず
ガンダムとガンキャノンが帰ってきてからも思いつきからか、
「・・・もう一度出動できないかしら?セイラ」
となるのでさすがのアムロもここまでの無駄で無能な作戦指示にイラついたのか?
「武器とエネルギーの補充にどのくらいかかると思ってるんですか?
セイラさん。もっと的確に状況を判断してください」
と的を得たことを言い「現場をしっかり見ろ!」という感覚で切れてしまう。
こんな感じで最悪の状態になってしまったことからホワイトベースの左右のエンジンは
破損寸前にまで追い込まれ、マーカーの機転で発炎筒で墜落に見せかけやり過ごす。
ここで言いたいのは評論家や専門家の意見はあくまでも机上の空論であり、実践に当てはめる行為はあまりにも危険であることを示しているのですが、そういったことを頭で理解しても、現実には現場を振り回すだけの行為でしかないので、セイラとミライの確執は、
第23話「マチルダ救出作戦」でも深い溝として因縁を残すことになってしまうのです。