機動戦士ガンダム第23話マチルダ救出作戦が意味する人間描写とは?

機動戦士ガンダム第23話「マチルダ救出作戦」は前回マ・クベ配下に集中砲火を受けたためか?ホワイトベースのエンジンが破壊され、補給物資も底をついてしまったことから、レビル将軍の指示でマチルダ補給部隊が、ガンダムのパワーアップメカを運んでくる。


そんな展開で進んでいくと思いきやマ・クベが送り込んだスパイ、エルラン中将がそのことをマ・クベに報告することで、要撃爆撃機ド・ダイYSに乗ったグフ3機によりマチルダ達のミデアがピンチとなるため、コア・ファイターに乗ったアムロとガンペリー、

この2機でミデアを守ろうとすることから、空中戦を制するグフに翻弄され同時に前回
確執を生んだミライとセイラの溝が余計に大きくなっていく部分が見どころになる。


ドラマチックな展開が大きい話なのですが、何故か劇場版では黒歴史のようにカットされていることから、今回はこの点を含めて大人の目線で分析していくことにしましょう。

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目次

・ホワイトベース絶体絶命?レビル将軍のセリフから読む連邦軍の問題点。
・深まるミライとセイラの確執!戦闘中にぶつかり合うリアルな人間関係。
・ガンダムVSグフ空中戦に決着を付けたパワーアップメカの正体とは。

ホワイトベース絶体絶命?レビル将軍のセリフから読む連邦軍の問題点

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機動戦士ガンダム第23話では冒頭からホワイトベースのエンジンをアムロが修理するシーンから始まりそれぞれの性格を描写するように展開するのですが、結局、部品があわず、ミライがレビル将軍に補給要請から地球連邦軍の実態へと自然な流れて移行していく。


レビル将軍のセリフから理解出来ることは、

・マ・クベの上司であるキシリア少将から本格的に援軍が送られる前に
 オデッサ作戦を実行するため連邦軍を結束させ配置させる。
・そのためにホワイトベースを強行させ後ろから仕掛けさせる。
・それを確実にするためガンダムのパワーアップメカを補給物資と
 一緒にマチルダ中尉以下、戦術輸送機ミデア5隻に届けさせる。
・ホワイトベースは正規軍ではないのでモルモットとして実験台にしている
 このことは参謀本部も認めており決定事項として実践許可が出ている。


と一見すると冷たい感じでホワイトベースをいいように使っているのですが、レビル将軍があえてこのような考えで行っているのも、大艦巨砲主義感覚が抜け切らないジャブローのゴップ以下首脳高官にモビルスーツの重要性を実践結果を通して証明するためである。


そのため大将という一番偉い立場であるのにオデッサ作戦前後ヨーロッパ方面軍総司令官として前線で指揮したのも、ガンダムの量産機を実践でも耐えられるようにマチルダを通し補給援助を行っていたのですが、そのことに対し正規軍人を使うことはゴップ以下、

ジャブローのモグラどもにいろいろななん癖で叩かれる危険性があったことから、モルモットと称した感覚やガンダムのパワーアップメカに関してもマチルダに資料だけを渡し、人前ではチェックさせなかったのも、モビルスーツ否定派に対するけん制だと思える。


実際には側近でありながらマ・クベのスパイであるエルラン中将にホワイトベースは動けないので補給をマチルダ隊のミデアで行わせること、何だかわからないがガンダムにパワーアップメカが届けられることくらいしかわからなかったのですが高官へのけん制が、

逆に幸いしたのか?スパイの影響があったのにも関わらずガンダムのパワーアップメカにからくも助けられることになるのです。

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深まるミライとセイラの確執!戦闘中にぶつかり合うリアルな人間関係

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前回の戦いでホワイトベースのエンジン破損まで追い込まれたせいか?冒頭でミライがその状況を確認した後、ブライトが館内放送で呼び出し、ミライに手作りの艦長指揮のマニュアルを渡すのですが、これが逆にセイラとの確執をさらに生む原因となることから、


前回よりもさらにリアルな人間関係として戦闘を緊迫させる原因となってしまう。


ブライトとしてはこのセリフから読めるように、

「うん、君に僕の代理をやってもらいたいんでね。その引継ぎだ」


とここから何とか説得をするのですが、肝心のミライは散々だったこともあり、

「指揮官のいない船なんてひどいものだけど、あたしには無理よ」


と不安げな部分を隠しきれないのですが、ブライトもミライへの好意を愛情として感じていたのか?熱い期待とまなざしで「君なら出来るよ」とまっすぐに見つめるので、ミライもむげに出来ず、渋々ながらも受けてしまう。


補給要求をしたレビル将軍からもマチルダ中尉以下ミデアで送ったこと、ガンダムの新しい部品を届けること、修理次第オデッサ作戦に参加することと用件だけでオデッサ作戦がいつ始まるのか?など具体的説明が無いことからミライも懸念を感じるのですが、


このことに関し通信士のセイラが、

「具体的な事はマチルダさん、あ、いえ、
 マチルダ中尉がしらせてくれるでしょ」


と冷静に判断するので、今回もまた嫌な予感がして仕方がない。


またミデア隊もジオン戦線を避けるように十字編成で飛んでおり、ホワイトベース
との合流があと一息というところで襲われるので、勘のいいマチルダ中尉は、

「しかし妙ですね。我々の行動を知る者がそんなにいるとは思えないが」


と懸念を称する顔をするのですが、視聴者はスパイであるエルランがジュダックを通じてマ・クベに報告しているので、結果としてミデアは要撃爆撃機ド・ダイYSに乗ったグフ3機と小型戦闘機ドップ10機の編隊に襲われ、レビル将軍にSOSを送ることになる。


結局、レビル将軍側は動けないため、ホワイトベース側から応援を出すことになるので
セイラがアムロ、カイ、ハヤトに発信命令を出すのですが、このことに関しミライが、

「・・・ね、セイラ、待って、発進は取りやめてちょうだい
 ほら、コアファイターもなくなったら動けない
 ホワイトベースは裸同然よ。その隙に敵に襲われたら」


と思いつくというよりも深刻な顔で称することから、セイラもそれを悟ったのか?

「アムロ、コアファイターへ。ジョブ・ジョン、ハヤトはガンペリーへ。
 ガンダムパーツを搭載してください。ガンキャノンはカイ」


と空中換装でガンダムで対応させながらガンキャノンで援護砲撃を考えたのか?ミライの命令も聞かずに指揮系統を飛ばし、現場の混乱を防ぐため再度指示をし直す羽目になる。


このことに対し間髪入れずに、

「腹が立つのなら罰してくださっても結構よ」

と凛とした感覚でミライを睨むので、ミライも反射的にブライトから引き継がれたことで権限が上であることを言おうとしたのですが、指示が的確だった分、言い返せない歯がゆさから、余計に確執を生む原因となってしまう。


このことが響いてしまったのか?艦長代理であるミライがいつもの席で待機しているので、ブライトが座っていたキャプテンシートに座るようセイラが意見しても、今の場所のほうが落ち着くと反論したり、そのことでイラついたのか?

「全員を対空警戒に立たせた方がいいんじゃないかしら」


と補助をするように意見をいうので、そうね!と心ここにあらず状態でセイラの先を見通す
ミライの視線が何かしら意味深な印象を感じるので、一触即発の予感を思わせる。


またブライトが心配してブリッジを見るシーンがあるのですが、ここでも修理と同時に対応することやマニュアルを読んでいる場合では無いことをモニター越しに見るシーンがあるのですが、リュウが死んだ回想を交えながら何が重要なのか?


この点をミライが理解していないことからセイラの視線が余計に冷たく見えてしまう。


このことについてはブライトが言うように、

「何をやったかで人間の値打ちは決まる」
「自分で判断して行動する」

ということを熱にうなされながらも悟った部分なのですが、完璧を装うとして
マニュアルに頼ったり、不安からセイラに頼ろうとしても険悪な目線から、


オペレーターマーカーが不意に放ったセリフ、

「ミライさん、こんな時指揮官役っていうのは
 どっしり構えてくれてた方が安心なんですよ」


という部分からブライトに鋭い助言を放つミライとして自然に振舞えるようになる。


結果としてミデアにマ・クベ部隊が集中したことから、ホワイトベースには直接攻撃されなかったことや戦力が少なかったことも幸いしたため、ミライの予想は当たりその分修理を早く終え、ガンダムのパワーアップメカにより何とかピンチを乗り越えることになる。

こんな感じで満身創痍で自分の情けなさを卑下するミライに対し心情を汲んだのか?

「そんな事ないわ、ミライ。よく辛抱したと思う。
 それに、ブライトを安心させたりもできたじゃない」


とミライの手を取り関係修復として示したのも、セイラを見て関係の悪化になると悟ったミライに対する気遣いだと思えお互いにいいと思っていたことが悪化したことへの誤解を解こうとしたに過ぎないのですが、これもまたブライトが寝ている間にセリフで言った、

自分で判断して行動する」に対し、マニュアルなど何かに頼りすぎるミライを
歯がゆく思った行為から、冷たい目線で見てしまった経緯が本音かもしれません。


そんなセイラも次回から苦労してしまうんですけどねえ~

ガンダムVSグフ空中戦に決着を付けたパワーアップメカの正体とは

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機動戦士ガンダム第23話の見どころは「マチルダ救出作戦」とあるように補給物資やガンダムのパワーアップメカをド・ダイYSで空が飛べるようになったグフ3機とドップ10機の編隊から守り抜くことが醍醐味なのですが、この場合でもド・ダイYSという、

要塞爆撃機と呼ばれるモビルスーツ輸送用土台兼攻撃型戦闘機の存在でアムロ達は苦戦を強いられ、最終的にマチルダ隊が運んできたガンダムのパワーアップメカ「Gアーマー」によって逆転劇となるためロボットアニメにおける王道パターンが展開されていく。


ド・ダイYSは文字通り「土台」であるためそれ以上でもそれ以下でも無いのですが、

出てきた理由もホワイトベースに向かうミデア5機が山中を高度で飛ぶことから
追撃出来る機体がドップしかないのでこの補助として使われているのだと思える。


またミデアは補給物資を運ぶことに特化していることから、防衛手段は機銃しかなく、この話でも2隻がドップのミサイルやグフのヒートロッドで落とされているので、ミライもマチルダ隊の救出するために、アムロ達に出動命令を出すのですが、

セイラがガンペリーに変更したのもガンダムに飛行機能が無く、仮に飛行してもエネルギーが持たないことから、アムロがコア・ファイター、ハヤトとジョブがガンペリーでガンダムのA、Bパーツを搭載して現場に向かうように指示している。


そういった背景があるために、コア・ファイターで苦戦するアムロの描写がやけにリアルであり、グフ1機落とすのでもミサイル連打で死に物狂いになるので、本当のパワーアップは
コア・ファイターのほうをしたほうがいいのでは?
と筆者はそう思えたのですが、

これもまたおもちゃとして売りたい心境がスポンサーにあったことから後半のアイキャッチの後、ガンダムに空中換装するシーンとなりロボットアニメの王道である逆転劇をくりだそうとしていることから、必死さが無駄にリアルな感覚となり視聴者を釘付けにする。


またガンキャノンで出撃したカイも足の遅さが幸いしたのか?


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「こいつ、足が遅いからねえ。よう、
 早いところガンダムになっちゃってよ」


とアムロを狙っていたグフのド・ダイYSをキャノン砲で撃墜!こんなところでも重量の重さからくる足の遅さが逆に長所になっているので戦闘というのは予測がつかないもの。


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こんな感じで苦労してグフ1機、ド・ダイYS2機、ドップ8機を落とすが、肝心のガンダムは陸戦で落ちていったグフにヒートロッドを巻きつけられ大ピンチ!カイは墜落したミデアを守るために、空からくるグフとド・ダイYSの集中砲火に泣き言をいうように、

「アムロ、何をやってるんだい。早くこねえとマチルダさんまで
 やられちまうぞ。もっとも、俺が撃ち落せばいいんだろうがよ」


とかなりテンぱっている様子。それと同時にアムロはカイがド・ダイYSを破壊した
グフとの交戦でやられたフリをして足をビームサーベルでぶったぎりエンジンを大破。

何とかしてピンチを退くのですが、足の回路はズタズタ、カイが応戦しきれなかった
グフがド・ダイYS付きで1機残っているので、さすがのアムロも困惑を隠せない。


結果としてはガンダムのパワーアップメカ「Gアーマー」にハヤトが乗りその上に
ガンダムが乗ることで空中にいたグフのヒートロッドをビームサーベルでぶったぎり、

Gアーマーのメガ粒子砲でド・ダイYSを撃破!ガンダムシールドをグフにぶつけバランスを崩してからビームサーベルでコックピットにとどめで何とかしのいだのですが、

富野由悠季氏はGアーマーのおもちゃ性を嫌ったのか?劇場版ではド・ダイYSも抹消しては、この代わりにコア・ファイターの強化パーツとしてブースターとメガ粒子砲を強化したコア・ブースターとして位置づけしているので、完全に黒歴史となっている。


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この理由もGアーマーはA、Bパーツとして分離してガンダムを収納する形となっていることから中身がスカスカでありおもちゃとしての特質以外、現実性がないことからロボットアニメによくあったパワーアップメカという位置づけに過ぎない。


またド・ダイYSがTV版しか出ないのも「サブフライトシステム」と呼ばれるモビルスーツを乗せる機能が現実的で無いことが大きく、コア・ファイターの機銃程度でやられるものが
70トン以上もあるグフを乗せたりすることが物理上おかしい
ことから、


リアルさを求めている劇場版ではごっそり無いことにされている部分も見逃せない。


Gアーマーが出たのもますますリアルになり子供目線からは現実的過ぎて視聴率が下がってきた結果から、従来のロボットアニメのようにV字復帰を願ったスポンサーの策略なので、しつこいように空中換装をした上でガンダムを交えいろんな形に変形することや、


これまでのマンネリ化したリアル描写を変えたかったからに過ぎないと思えるのですが、

ここで注目する点は富野描写の1つとされている前フリであり、Gアーマーが登場する理由は何なのか?という点をグフとド・ダイYSを前フリで出すことで逆転劇を描写していることから、パワーアップメカを何故出さないといけないのか?


この点を考えさせる部分が今回の注目する点であると筆者はそう考えている。


そのため次回に発生するマチルダとの写真撮影でも、最後にマチルダと直接会うシーンを丁寧に描くことによって伏線としているのですが、富野作品はこういった描写が意外と多いですので、突然現れたものほど「何故それは出てくる必要があったのか?


こういった問いかけをするとその正体が判明しやすいかもしれませんね。

レクタングル(大)
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