機動戦士ガンダム第20話「死闘!ホワイト・ベース」ではガルマ仇討ち部隊としてランバ・ラル隊がタイトル通り死闘として得意なゲリラ戦でホワイトベースを占拠しようとする点が醍醐味となっているのですが、それ以外にも今後の布石となる部分が散りばめられ、
ホワイトベースクルー全体の後悔と大きな分岐点となっているため、ファンであるほど何故そうなってしまうのか?しっかりと分析していかないとキャラの行動が読めず、突発的要素に感じることが増えてしまう。
特にあなたが大人であるほど今後の人間関係に必要な問題点が多くあると思えますので、
今回も大人の目線でいろいろと紐解いていくことにしましょう。
目次
・リュウの苦悩!献身的にホワイトベースクルーの人間関係を立て直すが・・・
・マ・クベの汚い策略?ランバ・ラルにドムの配備を妨害する政治的背景。
・ランバ・ラル非情とも言える最後!兵士として失態となった出来事とは。
リュウの苦悩!献身的にホワイトベースクルーの人間関係を立て直すが・・・
機動戦士ガンダム第20話を全体的にざっくりと見るだけでも自分の言い分を聞かず押し付けられていると感じているアムロがひねくれた態度や、アムロに厳しく接しても結局はアテにしてしまう甘いブライト、そのことに対し見限ってしまうカイやハヤトなど、
微妙な人間関係を何とかしようとするリュウ・ホセイの献身的な努力が目立っている。
基本的に一番頑張っているのは敵を感知して知らせる策敵、管制オペレータ、オスカー・ダブリンとマーカー・クランの2人でありこの話でもセイラがブライトに諭すように、
セイラ
「マーカーとオスカを休ませなくっちゃ」
ブライト
「うん。あの二人が一番働いているかもしれないな」
とあるようにランバ・ラルの襲撃を気にしながらその間に出来ることをすべきと悟っているので、セイラから関心されるようにミライが子供達の服を繕うので本来は理解しているはずなのですが、現実には自分から頭を下げる状態から立場上!難しいというもの。
そのことを示すようにアムロは前回の一方的な独房入りもあってか?自分が置かれている
立場も理解しないため反省の色も無いので、リュウが説得をしても自分勝手な口調で、
「ホワイトベースを降りてもいいと思っています
ええ。いけませんか?どうせみんな気まずくなったんだし」
と開き直るので温厚なリュウも業を煮やしアムロを修正するようにぶん殴ってしまう。
これもまたリュウがこの後放ったセリフ、
「・・・い、いつか、マチルダさんがお前の事をエスパーかもしれない
って言ったのが、俺はいかにもお前の事らしいと思ってたんだ。
いいかげんいじけ虫は」
とひねくれ根性をたたきなおそうとするのですがここでもアムロは揚げ足を取るように、
「フッ、マチルダさんか。自分の言葉でお説教したらどうなんです?」
となるので話し合いになるものもお互いのエゴイズム(利己主義)を通すことに
なることから、余計に意固地になるだけである。
そのことに対してアムロもひとりでムキになったって人間は変わらない!と蔑んだ目で見るので、ここまでになる前に何故しっかりと話し合いをしなかったのか?この点が最大の失敗点であることは言うまでも無い。
またこういったひねくれ度が増しているアムロに対し否定的な態度で厳しく接するブライトも肝心な場面ではアムロとガンダムに頼ってしまうことからそのことを察知したのか、
ハヤトやカイの会話からも、ブライトやセイラ、ミライから探るように、
ハヤト
「すいません、アムロの事なんですけど。
ブライトさん、彼をはずすつもりないんでしょ?」
ブライト
「なぜそう思う?」
ハヤト
「独房に入れるって事はアムロの反省を
うながしている訳で、つまりあてにしている」
セイラ 「そうね」
ミライ
「もともと、アムロをはずそうと言い出した
のはブライトだけど、どうなの?」
ブライト
「アムロはガンダムを持ってジオンに逃げたってよかったはずだ。
それをしなかったのはなぜかと考えてみたのさ。そしたら」
カイ
「望みが持てそうってのかい?」
ブライト 「ああ」
カイ
「アムロが帰ってきたのは一時的なホームシックみたいなもんさ」
で一時は一件落着か?と思えたのですが、実際には間接的にブライトの決意を聞いており、そのことに対しアムロをあてにしている部分を察したために、えこひいきであると捉えたことからハヤトとカイ、メカマンのハワドとマクシミリアンの4人が脱走してしまう。
このことについてリュウは慌てて連れ戻そうと飛び出していくのですが
ブライトはミライに対して信頼を感じているためか?本音を打ち明けるように、
ブライト
「アムロがいない間、指揮者としての僕はひどく不安だったって事さ」
ミライ
「不安」
ブライト
「君も星回りのいい女性だと思っている。しかし、アムロだ。
あいつがいなくなった時感じた不安っていうのはこりゃ絶大だ。
いったいなんなのだろうな?」
と苦悩を打ち明けるのですが、こういった正直な気持ちが立場を重んじるために打ち明けられない点から下のものに見限られてしまい、問題となって拡散してしまうことになる。
カイやハヤトもアムロ同様!自分達をもっと認めて欲しいという部分が大きいことから、
ハヤト
「戦うのはホワイトベースでなくたってできます。
近くの連邦軍を探してそこに」
カイ
「ブライトにはアムロがついてんでしょうが」
ハヤト
「僕にはホワイトベースで戦う意味がなくなったんですよ。
これは仕方のない事でしょ」
とアムロと同じように敵視するような目線で自分勝手に物言いしては、価値を感じなくなったと宣言するので、ひねくれた根性をたたきなおすようにカイが殴られてしまう。
この後の展開はランバラル隊のギャロップを見かけたことから、
「戻るか戻らないかはお前達の良心に聞くんだな」
とリュウが捨てセリフを吐きホワイトベースに戻るのですがこれらだけでも殴っていうことを聞かせるよりも、相手の言い分をしっかりと聞いて話し合いの場を設けないことには時間が経過するにつれ、もつれていくことは明白となる。
このような間違った対処が時代背景としてあったことから、最終的にリュウはあの悲惨な末路をたどることになり覆水盆に返らずの状態になるのですが、戦火の上に未熟な精神である素人集団では悲しみに見舞われない限り自分から変わろうとしないことから、
第21話「激闘は憎しみ深く」コア・ファイター特攻の伏線につながってしまうのです。
マ・クベの汚い策略?ランバ・ラルにドムの配備を妨害する政治的背景
ホワイトベース内で人間関係の破綻となる内乱が勃発しているのと平行して、ランバ・ラル隊ではドズル中将から新型陸上タイプモビルスーツ「ドム」を3機、配備されることを朗報として電文報告されるのですが、結果としてはマ・クベ大佐の策略により、
「は、まことに残念です。我がマ・クベ部隊の援護も間に合わず、
中央アジアに入る直前で補給線は撃破されてドムは」
とマ・クベの副官ウラガン少尉がわざとらしく残念そうに嘘の報告をするのですが、
「いや、このランバ・ラル、たとえ素手でも任務は
やり遂げてみせるとマ・クベ殿にはお伝えください」
と「いくさバカとはこういった奴のことをいうのだな」とウラガンにつぶやかせるように言わせるのでやめておけばいいのに、ラル達は政治的な策謀・・・つまりズルい策略だとも知らずに、自分達が得意とするゲリラ戦術でホワイトベースに仕掛けるので、
ハモンは背中越しで不安を隠せず、副官であるクランプは、
「その方が兵どもも喜びます、隊長」
と意気揚々として答えるのでどこまでもバカなのか?呆れ返ってしまう。
マ・クベがラルの手元にドムを配備しなかったのも、第18話「灼熱のアッザム・リーダー」での布石がここに生きているわけであり、自分の上司であるキシリア少将と敵対関係にあるドズル中将の直属部下であることから、話に出てくるセリフ通り、
「ランバ・ラルはこの辺りの私の鉱山を知りすぎた。
キシリア様がジオンを支配する時にこの鉱山は役立つ。
実態はギレン様にも知らす訳にはいかんのだ」
ということから政治的背景から密告されないか?警戒しているからに他ならない。
この点に関してはウラガンが、
「しかし、あの方の依頼を握りつぶした事」
とあるようにランバ・ラルはそこまで卑怯なことや裏まで考えているわけでもなく、ただ単にハモンや部下のために2階級特進して中佐となり、生活を楽にしてやりたいの一身で身を粉にしているのですが、肝心のマ・クベは一切信じないのでこの点が厄介である。
だからといってドムが配備されたのに渡さないとなるといろいろと詮索されることが目に見えているので「死人に口無し!」という感覚でウラガンに報告させ、ラルの性格を見抜き死ぬ確率が高いゲリラ戦をあえて行わせたのでは?と筆者はそう分析している。
このような感じで恵まれない上司の下、ラルはゲリラ屋として悲劇的な最後を迎えるのですが、こうなってしまったのもホワイトベースにいたあの人の存在がラルに取って衝撃的だったからかもしれません。
ランバ・ラル非情とも言える最後!兵士として失態となった出来事とは
陸上モビルスーツ「ドム」の配給が絶望的となっても愛するハモンのため、信頼してくれる部下のため、ランバ・ラルは残っているザク1機とギャロップを囮に揚兵戦車であるキュイに兵を乗せホワイトベースに白兵戦を挑むのですが、モビルスーツ戦に慣れている、
ホワイトベースクルーは山が邪魔で他のものが見えずザクとギャロップが正面からくるので、セイラにガンダムを乗せ、ホワイトベースが前面に出てしまうことから、本命である白兵戦のラル達に気づかず、外に出ていたリュウ達が甲板に乗る隙を突かれてしまう。
そのことで後ろから攻撃があったためか?ブライトやミライもそのことに気づき、
「リュウ、カイ、ほかにも戦闘のできる者は
うしろへまわれ。敵の侵入を阻止する」
とブライトや機銃に回っていたものが白兵戦をするため対応しては、
「・・・ホワイトベースを乗っ取るつもりがなければ、
ギャロップだってもっと当てているわ」
と白兵戦になる空気を作り出しているので緊迫した状態に加速していく。
こうなると生きるか死ぬかで必死になるので独房入りのアムロも、
「入れるな、ホワイトベースに入れるな」
とジオン兵との白兵戦に駆り出されるが、そこは歴戦のゲリラ屋であるラル達。
クランプと二手に別れクランプ達が囮となってラルがサブブリッジに向かっていくという手際のよさや、ガンダムの武器では破壊力がありすぎて兵だけをやっつけることが出来ないことを察知しているので、この点ではプロの核の差を見せ付けられる。
しかしラルが兵士として、この戦闘で最大の失態となったのはジオン・ダイクンの
娘であるアルテイシアに偶然出会ってしまったということ。
サブブリッジを占領する通路で偶然出会ったフラウ・ボゥに対しても、
「銃を持っていれば殺す。どこかに隠れているんだ」
と銃を叩き落すだけで女子供は殺さないようにしているのですが、それ以上にブライトの命令でアムロと操縦を代わったセイラが第二ブリッジのドアを開けた入った途端。
「あっ、ひ、姫、ひ、姫様か?
間違いない、アルテイシア様に違いないな。私をお忘れか?あなたの父上ジオン・ダイクン様に御仕えした
ジンバ・ラルの息子ランバ・ラルですぞ」
と戦場で我を忘れてしまったことから、
「アルテイシアと知ってなぜ銃を向けるか」
というセリフで銃を下ろして控えてしまったことから、その隙にリュウに撃たれ篭城状態に
なった第二ブリッジでハモンと通信に成功した際にも心境として伝えており、
「ハモン、すまぬ。木馬をギャロップで撃破してくれ。
ランバ・ラル、戦いの中で戦いを忘れた・・・アルテイシア様が」
と逃げられないと悟ったのか?ブライトの命令でガンダムに乗ったアムロが撃破した
衝撃でボロボロになりながら、これまでのことを回想するような感覚で、
「・・・またモビルスーツのガンダムか。・・・わしの戦っていた
相手が皆、年端のいかぬ少年達とは皮肉なもんだ…」
とガンダムに向かっていくように存在感のある描写をしては、
「君達は立派に戦ってきた。だが、兵士の定命が
どういうものかよく見ておくんだな」
と持っていた手榴弾の安全ピンを抜き、身体を丸め自爆することになる。
これを潔いと思えるのか?無責任と思えるのか?この点は視聴者によって感じ方が違うかも
しれませんが、逆上してギャロップで突っ込み返り討ちにあった際の脱出後に放った、
「ランバ・ラル」
というセリフとその形相は失ったものに対するいろんな怒りであり、ランバ・ラルに対しても、アムロに対しても次の話である「激闘は憎しみ深く」という部分へつながっていくので、人が死ぬほど恨みの連鎖からは逃れられないのでしょうか?
これを戦争と言うには子供達が視聴者として考えるほどあまりにも厳しく
悲しすぎる現実を突き詰めすぎた末路のように思えます。