機動戦士ガンダム第12話のセリフ全体から感じる3つのジオンの脅威

機動戦士ガンダム第12話「ジオンの脅威」はガンダム劇場版第1作目のクライマックスと同時に地球連邦軍とジオン軍、それぞれの転機となるシナリオなので名セリフのオンパレードとなっており、敵の裏事情や権力抗争などが浮き彫りとなってくる。


またクライマックスにふさわしく戦死したガルマの国葬を盛大に演出するギレンの掌握術や
新たな敵ランバ・ラルの登場など、いろんな意味で巨大な敵の実態が見えてくるため、

今回はこの点を中心に大人の目線で分析していくことにしましょう。

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目次

・アムロ絶不調!ジオンの脅威か?セリフから読むホワイトベースの内情。
・ランバ・ラルがグフのパイロットとして初出場!奴は一体何者なのか?
・ガンダムでのギレン掌握術!ガルマ国葬に秘めたジーク・ジオンの意味。

アムロ絶不調!ジオンの脅威か?セリフから読むホワイトベースの内情

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機動戦士ガンダム第12話では題名が「ジオンの脅威」ということから、ギレン総帥の演説や生粋の職業軍人であるランバ・ラル大尉の登場に注目されがちなのですが、実際には次のポイントへの移動しか伝えられず、いつ終わるかわからない不安に駆られている、

ホワイトベースクルーのストレスの重さが丁寧に描かれている部分に着目したい。


アムロに関しては第1話を思わせるようにガンダムの予備のコンピュータを修理しているシーンから始まるのですが、実際には前回の戦いでイセリナに「仇」と言われたことが尾を引いており、それを忘れるように何かに没頭する部分がパターンとして表れている。


筆者がこう語るのも1つ1つの返事が気のない感覚で流されていきフラウ・ボゥが
食事のサンドウィッチを差し入れたときでも、まるで痴呆症患者のような感覚で、

「あ、食べなくちゃ」


心ここにあらず状態で、何か逃避している状況が印象深くある。


結果としてコロニーで見たことがない雷の衝撃から放心状態になってしまい、切迫する状況を他人事のような感覚で見ながら、身体だけが戦闘への恐怖を物語っているので、やらなくてはという感覚なのに、そこに対する自我が全くない状態になってしまう。


実際にランバ・ラル隊の大気圏内外両用艦「ザンジバル」の攻撃を受け、ブライトがガンダム、ガンキャノン、ガンタンクをスタンバイさせようとしようとした際にも、目が雷と同じ色でボーっとしていたので、なかなかこないことで呼びにきたリュウが殴ると、

「わかってますよ、ぶたなくたっていいでしょう」


と自分のことなのに他人事のように、ボーっとしているので、相当なストレスから
このような惨事になってしまっているのだと筆者はそう感じている。


またリュウが心配してアムロをパイロットスーツがある場所に連れて行くと、

「やめてください、できます」


と振り払うのですが、現実には心ここにあらずで緊迫感が全くない状態で、

「このヘルメットおかしいですよ。苦しいんだ」


とガンダム搭乗時にかぶっているはずなのに苦しいという表現をしているので、こういった
演出が深層では戦いたくない!という拒否感を示していることが理解出来るだろう。


またブライトに関しても唯一の正式士官として、艦長の使命を全うすることを意識しすぎてか?相当ストレスが溜まっており、クルーに対し正規軍並の技量を求めることから、

「メインエンジンの3番ノズルが表示より2パーセント推力不足ですけど」


というセイラの報告から40t。つまりガンダム1機分の推進力低下に対し、

「なんでそんなになるまで放っておいたんだ?」


とイラつかせてはミライにまた諭されたり掃除をしにきただけの子供達が目障りと感じ、

「ここは遊び場じゃないんだぞ。出て行け」


とリード中尉張りにイラついていたため、その中の1人であるキッカが、

「遊んでんじゃないやい。遊んでんじゃない・・・」


と半泣き状態。不安解消の対策でイライラするほど余計に泥沼となってしまう。


まあこの点に関してはさすがに悪いと思ったのか?キッカを諭していたようですが
実際にはキッカの嘘泣きで「ベーだ」とバカにされては、ミライがこっそりと、

「あなたが中心になる以外ないし、みんな頼りにしているんだから」


とブライトはブライトで次々に起こるトラブルから抜け出せない状態が続いてしまう。


彼らに取ってジオンの脅威はこの後に戦闘となるランバ・ラル隊でも、自然の驚異である雷でも、ギレン総帥の演説でもなく、いつ抜けきれるかわからない先の見えない展開こそが、ジオンという敵に対しての脅威では無いでしょうか?

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ランバ・ラルがグフのパイロットとして初出場!奴は一体何者なのか?

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機動戦士ガンダム第12話の冒頭から、大気圏内外両用艦「ザンジバル」のブリッジでどっしりと構え、そばに軍服を着ていない謎の金髪美女を従える男。ランバ・ラルがシャアと入れ替わるように登場するのですが、そもそも奴は一体何者なのか?


どっしりとした体格に風貌のある見た目からして異様な雰囲気を出しながら、謎を思わせる感覚で冒頭に出てきた!と思ったら、自ら新型モビルスーツ「グフ」に乗り込み、圧倒的な実力差で格の違いを見せ付けるように、ガンダムの攻撃をさばいて放った名セリフ、

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ザクとは違うのだよ、ザクとは」というのが強いインパクトしてあるためか?シャアに次ぎ「青い巨星」という二つ名で人気となっては、アムロに対し乗り越えたい壁となる衝動に駆られてしまう。


ランバ・ラルは父であるジンバ・ラルはダイクン派の親衛隊であるため、出世コースからは大きく外れており、ザビ家からも相当警戒されていたことから、今まで冷や飯食いのレッテルから、ゲリラ戦を戦い抜き信頼を勝ち取ってきたらしい。


またガルマ仇討ち部隊として出現した理由も、ホワイトベース攻撃部隊として任命されていたドズル中将の配下が左遷されたシャア少佐の次に階級が高く職業軍人としての腕を買われ出世させることを条件にジオン!いやザビ家に忠誠を誓うことで勅命されたという、

そんないきさつがあるため、実力派としてランバ・ラル参戦することになった様子。


そのため一緒にいた金髪の女性「ハモン」が放った、

「やはり指揮官らしく収まってるあなたより、こうやって
 出撃なさる時のあなたを見る方が好きだわ」


とグフで出撃する前に褒められると、ランバ・ラルも、

「私もそうだ。この方が似合ってると思う」


というくらい実践慣れしているので、グフが凄いというよりもランバ・ラルの存在の
デカさのほうが何倍にも凄い
ことが、この後の戦闘で身を持って知ることとなる。


そのため出撃前に部下であるアコーズ、コズンに対しても、

「アコース、コズン、我々が地球で戦うのは初めてだ。
 敵のモビルスーツが出てきても深追いはするな」


と釘を打って冷静さを出していたり、ブライトがザクだけだから今までの戦いでガンダムやガンキャノンを出せば対応出来ると、戦いに慣れきってしまっている点から、完全に裏を付かれてしまい、アコースが搭乗するザクⅡJ型がランバ・ラルの指示で放った、

「アコース、クラッカーだ」


で拡散した爆弾により奇襲を食らい、グフが放った電磁ムチである「ヒートロット」によりガンダムが持っていたバズーカもろとも破壊することで、こいつらは只者ではない!という雰囲気からグフとガンダムの一騎討ちに持ち込まれてしまう。


今回は顔見せという感覚が強かったのか?アムロ達の慢心を砕くように出現しては、

「こ、こいつ、違うぞ。ザクなんかと装甲もパワーも」


と存在感をアピールして去っていくのですが、ランバ・ラルもまたアムロに取って成長の壁として立ちはかりながら2つ目「ジオンの脅威」となるため、この点の展開も今後の見どころになるでしょう。

ガンダムでのギレン掌握術!ガルマ国葬に秘めたジーク・ジオンの意味

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機動戦士ガンダム第12話の「ジオンの脅威」主に3つの脅威で構成されていると筆者はそう感じたのですが、一番のメインはガルマ国葬によるギレン総帥の演説による掌握術が最大の見どころであろう。


また機動戦士ガンダムではTVアニメの構成としては珍しく、短編映画を見るような感覚で、これまでの動向を積み重ねて訴えている部分が強いメッセージ性を生んでいるため、

ガルマのビデオレターを何度も見るデギン公王の廃れた姿から、娘であるキシリアが
気を利かせて話をするシーンを挟み、冒頭でのサイド3のジオン国民の歓喜である、

「ザービ、ザービ、ザービ、ザービ・・・」


という部分へとつながっていくほど、本当の敵は目の前だけではないと思い知らされるのですが、それ以上にジオン国民を演説で戦意高揚するギレン総帥の掌握術は、もはや洗脳としか思えない巧みなものであるため、その場にいれば飲み込まれていただろう。


実際に以下の動画を見るほど何を感じさせるのか?はっきりと解読出来ると思える。


これを見るといかにしてギレンがジオン軍の正当性を示し、地球連邦軍がいかにして
卑劣で無能なのか?自分達が戦う理由を訴えているのか?
を感情を込めて訴えている。


またシャアもガルマ国葬の準備が進む中、上司であるドズル中将に更迭されそうになったところ、デギン公王の温情で左遷されたことで、キシリア機関の親衛隊が動いているので、ここでも水面下でザビ家の権力抗争を思わせる描写がヒシヒシと感じさせられる。


そのためギレン総帥が放った名セリフ

「私の弟、諸君らが愛してくれたガルマ・ザビは死んだ。なぜだ?」


と言った際にはき捨てるようにバーで酒を煽っていたシャアは、

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と罵り、キシリア機関の親衛隊との接触で何やらきな臭い印象を残して去っていく。


ちなみに演説の最後にジオン国民がギレン総帥の後に放った、

「ジーク・ジオン!」


の言葉の意味はジークがドイツ語で「勝利」という意味から「ジオン公国に勝利を!」という感じになるのですが、これもまたヒトラーの独裁政治を思わせる印象から、

「何を言うか。ザビ家の独裁を
もくろむ男が何を言うのか」


と放ったブライトの感情的な反論が本当の敵でありジオンの脅威なのかもしれません。

レクタングル(大)
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