機動戦士ガンダム第26話復活のシャアで暴かれた新型機動兵器の定義

機動戦士ガンダム第26話「復活のシャア」では物語の後半戦としてガンダムのドッキングシーンから左遷されていたシャアの復活へと導線が引かれているのですが、その道筋だけでもホワイトベースの厳しい現状や戦力の読み合いなど、コアな部分が描かれている。


またシャアが指揮官として復活した部分や今後も出演する女スパイ107号「ミハル」の動向など裏の裏を読ませるような描写が、富野由悠季氏らしい計算された部分から今後の厳しい戦いを予感させるため、今回も大人の目線で紐解いていくことにしましょう。

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目次

・シャアの復活!何故左遷されたのに昇進して現場復帰しているのか?
・ホワイトベース隊が正式軍隊?困惑するフラウ・ボゥとミハルの動向。
・暴かれた秘密事項!ジオン軍新型兵器とV作戦が示す本当の意味とは。
・ガンダムVSゴッグ!水陸両用新型機動兵器へのアムロの意外な対応。

シャアの復活!何故左遷されたのに昇進して現場復帰しているのか?

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機動戦士ガンダム第26話ではタイトルが「復活のシャア」ということから冒頭に女スパイ107号「ミハル」の情報に指揮官としての対応や部下のフラナガン・ブーンと合流して今後の戦いの予感をさせる描写があるのですが、何故左遷されていたシャアが昇進までして、

現場に復帰したのか?あなたにはこの意味が理解出来るでしょうか?


この理由も初回放送時の視聴率が平均9%以下となった理由でスポンサーから、

「シャアという陰気なキャラクターがいけない」


ということから左遷させたのですが、実際には「何故シャアは出ないのか?」というファンからの抗議の手紙が殺到。特に中高生のファンからの厚い要望が多かったことから、強敵がいなくなったオデッサー作戦の後から、シャアを復活させたというわけです。


スポンサーに評判が悪かったのも表舞台ではガルマとシャアは士官学校時代からの友人という設定でありながら、裏ではガルマを無能!と思えるくらい下に見ており、戦場での死を演じたことから、狡猾で嫌な印象に見られたせいか?「陰気な奴」と思われてしまう。


また物語の背景が子供達に取っては難しすぎたのか?ガルマが失態を繰り返すたびに、放送を重ねるたびに視聴率が低下!最後には1ケタ台となってしまったので、左遷された後はキシリア機関にダイクンの息子キャスバルであることを知られ抹殺される予定だった。


しかし実際にはサンライズを含め、富野由悠季氏の策略は見事にハマり、

「私はこれだけは私の手で倒したいと思っているくらいなんだ

 子供じみているだろ。フフフ、そう、
 私のプライドを傷つけたモビルスーツだからな」


とまるでスポンサーをあざ笑うようにガンダムは自分だけしか倒せない!という描写で
最後に強いインパクトを残すことからマッドアングラー隊の指揮官として復活する。


ちなみにシャアが少佐から大佐となった理由は公式では不明なのですが、ドズル中将から左遷されたところをキシリア少将が今後の手コマとして戦力強化として呼び戻したことが大きな要因であり、裁量から大佐に昇進させたことが主な理由である様子。


普通なら左遷されていたので大尉からでも問題ないと思えるのですが、キシリアが裁量を聞かせ大佐にまでしたのも、後々自分の懐刀として使うことを伝えていることから兄達へのけん制や成果を期待しての昇進であることが高いと思える。


シャアが配属されたマッドアングラー隊の目的は地球連邦軍のベルファスト基地にいるホワイトベース隊の壊滅と基本は変わっていないのですが、追撃を繰り返すうちに本拠地であるジャブローの入り口を見つけ、ガンダムと再会することになるのです。

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ホワイトベース隊が正式軍隊?困惑するフラウ・ボゥとミハルの動向

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タイトルが「復活のシャア」とあるのでシャアの活躍を期待してしまうのですが、実際には連邦軍の北アイルランド補給地がある港町「ベルファスト」を舞台に戦争の現実やそれに対する思考が細かく描かれていることから、コアなファンほど見逃せない。


特に気になるのがホワイトベース隊が正式軍隊となる点や女スパイ107号ミハルの動向。


この話では後々の伏線としてフラウ・ボゥとミハルの動向がそれぞれの気持ちを乗せながら描写されているのですが、フラウ・ボゥは戦争に対する不安。ミハルは戦争を利用することで生活の糧とそれぞれ違った部分を訴えているので、比較対象として印象深い。


実際にレビル将軍が今後、ホワイトベースを正式軍隊として認め、南米の連邦軍本部、ジャブローに向かうことを決定してしまうことから、フラウ・ボゥはみなしごであるカツ・レツ・キッカの今後やみんなが戦争にのめり込んでいく部分を心配するので、

「軍隊に入りたくない人はどうするんですか?」


という質問をするのですが、レビル将軍からすれば地球連邦軍のAAA機構であり
連邦軍の勝利の鍵として戦闘を勝ち抜いてきた「V作戦」データであることから、

「すでに諸君らは立派な軍人だが、軍を抜けたいというのなら
 一年間は刑務所に入ってもらうことになるな

 君達は元々、軍隊で一番大事な秘密を知ったのだ。
 本来なら一生刑務所に入ってもらわねばならんところだ」


という部分からレビル将軍は厳しい目線でアムロ達を叱咤してしまう。


この理由もホワイトベースクルーに信頼を寄せながらも、派閥争いやジオンとの戦いなど複雑な部分が絡んでおり勝利を左右するくらいに重要であることを位置づけている。


そのことを冒頭のカイとアムロの会話の中で、

「これから行く所だって連邦軍のドックでしょ。僕らはもう
 正式の軍隊です。これから何を命令してやらされるか
 わかったもんじゃありませんよ」


という予測からか?カイが次回にホワイトベースを降りる原因となってしまう。


これもまた民間人だったカイも巻き込まれ生き残るために戦ったのが、本末転倒で地球連邦軍にいいように利用されているのでは?と思ったのが原因かもしれませんが、フラウ・ボゥはそれとは別に、カツ・レツ・キッカのことを気にしており、

「あたし達が軍隊に入ったらこの子達の面倒、誰が見て
 くれるのかしら?みんなホワイトベースに馴染んでいるのよ」


というセリフから軍が嫌!というよりも軍にのめり込むチビ3人が心配だと感じる。


実際にこの後のカツ・レツ・キッカのセリフでも、

「ホワイトベースのトイレの掃除、ベッド
 カバーの取り換え、やること一杯あんの」


とドヤ顔でカイに指摘するのですが、こういったたくましい部分があったからこそ
戦争をお金にした女スパイ107号ミハルに気持ちに変化を生んだのかもしれません。


今回ミハルは顔出しという感覚なので裏事情は読めませんがマッドアングラー隊にホワイトベースがベルファストの宇宙船用ドックに入る部分を写真撮影。タイプライターでメッセージを打ち、風船で海へ流す部分が時代が反映されている部分が面白い。


それ以外にも貧乏を思わせるように部屋の窓をテープで貼ってあったり、土地の売り子を装い情報収集するなどでカイとの偶然の出会いを演出するなど、富野氏お得意の偶然による必然的描写から、ミハルの動向も目が離せない状態になるのです。

暴かれた秘密事項!ジオン軍新型兵器とV作戦が示す本当の意味とは

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機動戦士ガンダム後半戦開始としての位置づけであるのか?第26話では非常に重要な部分をレビル将軍の会話から読み取れるので、今後の戦いを読み解く材料として興味深い。


特に注意したいのがジオン軍の新型兵器であるモビルスーツとモビルアーマーの存在。


今まではザクのように集団で相手を倒すことが軍隊としても効率的であり、ドズル中将が
戦いは数!」と言い切るようなものだったのですが、レビル将軍がここでいう、

「ガンダム一機が呼び水となった」


とあるように一騎当千の兵器という感覚で後ろのモニターに映される点が、
今までの戦いとは違う強敵が来ることを、さりげなく視聴者に訴えている。


この理由も視聴率低迷でやられメカであるものを出しながら緊迫した演出により、ガンダム関連のおもちゃを売ろうとしたスポンサーの策略なのですが、作品としてこのような説明をするのも視聴者に予備知識として与えるほうが新型に対する認識も高いことから、

「まだ未確認情報だが、ひとつにはガンダムの使い方を
 学んだという。強力なモビルスーツならば数はいらない、
 一機二機でも戦果が十分得られると考えたのだろう」


という考えで強敵を出すことで盛り上げることや、

アムロ
「し、将軍、うしろのモニターの図面、
 みんな違うモビルスーツなんですか?」
レビル
「おそらくな。しかもジオンはモビルアーマーと
 いうタイプの物も実用テスト中と聞く」


とさりげなくモビルアーマーの定義とそれがかなりヤバいものであることを伝えている
ことから、少ないやり取りながらも今後の厳しい戦いを予感させるものばかり。


またレビル将軍が最後に宣言した、

「今後、敵の攻撃は強力になろう。ともかく手に入った
 情報は諸君に渡す。十分対策を検討するように」


というのもそれだけ信用していると期待させると同時にV作戦としてホワイトベース隊の対応がしっかり出来ないと連邦軍全体が厳しい戦いになることを意味している。


つまり表からもスポンサーという裏側からも「新しいモビルスーツを毎回出す!」と宣言されているようなものなので、今回もその第1弾としてゴッグに手こずらされるのです。

ガンダムVSゴッグ!水陸両用新型機動兵器へのアムロの意外な対応

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視聴者目線でいうと当時見ていた平均年齢が12歳なので、この話の醍醐味はガンダムVS水陸両用モビルスーツ第1弾ゴッグとの対決となるのですが、ここでも富野描写と言わんばかりに、リアルな攻防が繰り広げられるので一筋縄には行かないようになっている。


この理由も話の内容からホワイトベースで使えるモビルスーツはガンダムだけ。


ビームライフルも使えず、GファイターもAパーツしか使えないのでセイラが整備士であるオムルからガンダムのAパーツと合体された「Gブル」の説明を受けるのですが、これもまた、

ゴッグ撃墜への計算された導線となっているので、思わずニンマリしてしまう。


第1弾であるゴッグはジオン軍が量産化に成功した最初の水陸両用モビルスーツあり性能を客観的に見せるためか?ベルファストに撒かれたセンサー付水中機雷に引っかかっても、

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「うわっ、やっぱり。さすがはゴッグだ、
 なんともないぜ。フリージーヤード、放射」


で機雷を絡め取って爆発させないようにしながら、ブーンの援護でゴッグ侵入を悟られないようにすることから、結果として怪獣が海から出てくるようなシュールな登場となり、不気味さを演出しながらしぶとそうな相手として描写されている。


実際にゴッグは水陸両用としてかなり気合が入った設計になっており、ガンダムの60mmバルカンどころかパワーアップしたハイパーハンマーですら「凄いパワー」という比較対象にされるくらい、ザクなら圧勝だったガンダムとの違いをコーカ・ラサ曹長のセリフ、

ラサ
「うっ、やったな、ガンダムってえの
 ヘヘッ、馬力ならこのゴッグも負けんぜ」
アムロ
「な、なんて奴だ。このハンマーだって
 パワーアップしてるっていうのに」


というシーンからまだ第1弾なのに引くしかない状況にまで追い込まれてしまう。


ゴッグがここまで打たれづよくパワーがあるのもドムと同じ会社であるツィマッド社が開発しており水陸両用という定義から、水圧に耐えるためにドム同様装甲を厚くしている。


また水を外から冷却剤として利用することも考えられているので、高出力のジェネレーターを搭載可能しており、腹部に強力な2門のメガ粒子砲が地上での最大武器となっていることから、砲台としても優秀なものになっていることが特徴的である。


実際には冷却システムの構造が外部の水に頼っていたことから1~2時間が稼動限界であり、全体重量の重さから地上よりも水中活動のほうが得意なため、最大スピードが70ノット。
(1ノット=1.852km/h )つまり129.64km/h で高速潜水することから、


コーカ・ラサ曹長のゴッグを水中に追い込んだときでも、

「ガンダムか。深追いは危険だがな」


とレビル将軍が懸念視するように危機的状況に追い込まれてしまう。


このようなことから現在の武器では全く対応が出来ないアムロなので、

「ビームライフルさえあればこんなモビルスーツ。待てよ」


と思いついたように一度基地に戻るのですが、これもまた富野描写のひとつである前フリからの連鎖的導線により、ガンダムのドッキングとGブルという2つの鍵で2機のゴックを撃退する答えを導き出すことになることから、

「オムルさん、ガンダムBパーツ発射できるように用意
 していてください。戦いはどうなるかわかりませんから」


とセイラと一緒にGブルで再出撃!


頭から突撃してきたマーシーのゴッグにビームキャノン一発で撃墜してしまう。


このことでコーカ・ラサ曹長のゴッグは海に逃げてしまい、アムロもガンダムに換装して水中戦となるのですが、ゴッグの早すぎる動きに翻弄され手の平型で鋭くなっているアイアンネイルでガンダムの頭に穴を空けられ、体当たりから頭をつかまれ高速移動と、


かなり不利な状態で翻弄されるのですが、ラサが頭ばかり集中して攻撃したことで、

「モ、モニターが使えなくなる、そうか」


不利な状況から逆転の発想を利かせ、ゴッグのモノアイをビームサーベルで突き刺し相手の視界を奪っては、もう1本のビームサーベルで胴体を真っ二つにするので、ドムとの戦いと同様にアムロの奇跡的対処でゴックとの戦闘を逆転させてしまう。


こんな感じで苦戦するのでブライトのほうがヒヤヒヤしていた印象が強いのですが、それ以上に不適に笑うシャアのアップが直接戦闘に出ていなくても意味深な不気味さから、これからの厳しい戦いを予感させ、異様な存在感となっているのでしょう。

レクタングル(大)
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