ガンダム哀・戦士編は何故ランバ・ラル強襲から急展開となっていくのか

機動戦士ガンダムII哀・戦士編はTV編の18話のアムロ脱走後から地球連邦軍の本拠地
であるジャブローへたどり着き、再び宇宙へ上がる第31話前にまでを再編集した映画。


そのため物語として重要な点をギューっと凝縮しているため、TV版をよく見ていないと
わかりにくい点が多く、イベントだけでもランバ・ラルの強襲、ハモンの逆襲&リュウの
特攻!黒い三連星との勝負とマチルダの死、女スパイ!ミハルの死、復活のシャア、

ジャブローに散る!宇宙へと急ぎ足のように進むので最低限のストーリー構成で理解する
ようになってしまっていることからコアなファンで無いと「何故そのような行動を?」と
疑問符が出るシーンが多いので注意しないといけない状況。


まあそれでも要点は抑えているので理解出来ないことは無いのですが、僕としては何故?
と思える点が多かったですのでその点を中心に掘り下げていくことにしましょう。

スポンサーリンク

目次

・ランバ・ラル強襲とシャア左遷の深い関係性とは?
・マチルダ!リュウ、ミハルの死で成長?富野式ドラマ。
・ジャブローの戦い!二階級特進とアムロの葛藤。
・第13独立艦隊の誕生!ふたたび宇宙へ。

ランバ・ラル強襲とシャア左遷の深い関係性とは?

t8-01

舞台は太陽がサンサンと降り注ぐ砂漠からホワイトベースを脱走したアムロの疲弊した姿
から始まるのですが、彼が脱走したのも、15歳という若さで迫りくるジオン軍の群れを
ガンダムで対抗することを、艦長代理のブライトに当たり前のようにキツく当たられた。


それに加えやりたくもないのに毎回のようにガンダムに乗せられる不平不満から不協和音。

ブライトからすればアムロがガンダムの操縦に慣れ出撃拒否や命令違反をするようになった
ため、艦長として士気低下を避けるため、正規パイロットであるリュウにガンダムを任せる
ことホワイトベース操縦者、ミライと話していたのですが、話を偶然聞いてしまったが、

ガンダムから降ろす!」しか聞こえなかったアムロとしては自分は必要の無い人間だ!
と混乱をきたしガンダムに乗ったまま脱走をしてしまったというところから始まる。


それと同時にシャアもガルマを死なせた罪として左遷され、ジオン・ダイクン派で冷や飯
を食う状態だった、ランバ・ラルにガルマあだ討ち部隊として勅命が下ったのですが、

このような光景になった理由も視聴率が1桁台と低迷しており、スポンサーであるおもちゃ
会社が出しているガンダムやシャアザクの売れ行きが悪くなったことから、シャアが陽気
だから売れない!打診したことから左遷。
新しい風としてランバ・ラルを導入した様子。


視聴率向上のために哀・戦士編だけでもグフを始めとしたMS(モビルスーツ)から
ドム、ゴッグ、アッガイ、ズゴック、ゾックと多くのやられメカとして出し売り上げ
向上を狙ったのですが、見ているターゲットが小学校低学年なのでことごとく惨敗!


そのため哀・戦士編では無駄にMSが多かったり話が転々とするなど展開が激しいのです。

ランバ・ラルが搭乗するグフは6割以上ザクを新装し地上用MSとして軽快に動けると
いう設定を含みながら、ラルという男がいかにして凄いか!この点を見せ付けています
が、リアルを追求するならザクをマイナーチェンジするだけでもいい。


現在ではランバ・ラルのパーソナルカラーは「」で旧ザクを始め、ドムやゲルググの
カラーと「もしラルが生きていたら!」設定で多くありますが、現実にはスポンサーの
都合という大きな闇が大人の都合として動いていたからなのです。


演出として脱走したアムロは偶然、ランバ・ラルと出会い35歳としての大人の貫禄や
豪胆さ、裏ではわざとアムロたちを逃がしホワイトベースの居場所突き止めさせる狡猾さ。

最後にはガンダムの性能のおかげ!といわんばかりに、

「勝ったのはMSの性能のお陰だ」

と捨てセリフを言われるのですが、このことがキッカケでアムロの中であの人に勝ちたい!
という自我が目覚めるので、これもまた大人という存在を見せ付けることで成長の兆しと
いうものだったのかもしれません。

スポンサーリンク

マチルダ!リュウ、ミハルの死で成長?富野式ドラマ。

t8-02

ランバ・ラルとの戦いで疲弊してしまったガンダムの補給のために渋々ホワイトベースに
戻ったアムロは反逆罪として独房に入れられる。普通なら脱走は銃殺ものなのですが、

・MSを失ったラル隊はゲリラ戦術でホワイトベースを乗っ取ろうとして失敗!自爆。
・ランバ・ラルの後を追いガンダムに弔い合戦をするハモンを倒すためリュウが特攻!
・黒い三連星と呼ばれる3機のドムの必殺技「ジェットストリームアタック」から
 守ろうとするため補給部隊でアムロの憧れだったマチルダが特攻して死亡。

と怒涛のように流れていくのでTVアニメで予習をしていないとよくわからない展開が
以外かな!多いように思えてくる。


マチルダが登場したのはガンダムのパワーアップメカであり合体出来るGファイター
レビル将軍の命令で届けるという目的だったのですが、これもまた、視聴率の低下を
防ぐためのスポンサーであるおもちゃ会社の策略であることを意外と知られていない。


哀・戦士編では富野氏がよりリアルに!とガンダムのコップピットにも使われている
コア・ファイターのブースターで「コア・ブースター」となっているのですが、


このようなスポンサーの打診にも負けず「」という点で人間がどうあるべきか?

この点を戦争の中での局面で描いているため機動戦士ガンダムII哀・戦士編の中でも
メンバー内の心境を大きく変える重要なウエイトを占めているように思えるのです。


僕がこれらのシーンから感じた部分はこう分析している。

ランバ・ラルの死は戦争でそりの合わないマ・クベという上司の命令を受けながらも内縁
の妻であるハモンや部下達のために出世を目指す中間管理職であり、絶対に負けられない
戦いで負けるということの残酷さ
を「自爆」ということで表現している。


リュウの死はそりが合わず反抗しているアムロとそれを頭こなしに押し付けているブライト
の間に入り、仲間の厄介ごとを消すための相談役となっていたが、ハモンの策略に身動き
出来ずただやられるのを待つガンダムをコア・ファイターで特攻までしてまで助けたのも、


死んでからリュウがどれだけホワイトベースのクルーに取って大事な存在だったか?


今でも富野氏の手法として壊れかけた関係を大事な第三者の死によって存在の大事さを思い
知らせ成長に導くことがある表現なのですがアムロやブライトには重過ぎる痛手としかない。


マチルダに関してもガンダムを助ける行為であり、女スパイ、ミハルもカイのおちゃらけた
性格を変貌させる要因となっているのですが、これもまた富野式の無言の訴えでありながら
残酷で後悔しても人は生きていかないといけない!というメッセージなのかもしれません。

ジャブローの戦い!二階級特進とアムロの葛藤

t8-03

本来ならば機動戦士ガンダムII哀・戦士編は連邦軍の大きな資源であるオデッサを取り返す
オデッサの戦い」が戦略的には重要な部分になるのですが、内部スパイや政治的な部分
など子供には理解出来ないコアな部分が大きいため、劇場版では黒い三連星であるドムが、

さらりとやられ、南極条約で禁止されている水爆をジオン軍大佐であるマ・クベが使用
するシーンでガンダムが真空管の部分をビームサーベルで真っ二つにぶった切る!!


こういった戦いのシーンがメインとなっていることから目まぐるしい進行となり
ストーリーも何となくこんなんちゃう?くらいしか子供時代には理解出来なかった。


実際にはホワイトベース隊に「オデッサ作戦」をレビル将軍の指示により何とか取り返す
ことになったため疲弊と物資不足になったジオン軍は地球連邦軍の本拠地であるジャブロー
を攻めることになってしまう。


そのために女スパイであるミハルがホワイトベースの行き先を連邦軍の制服を着てスパイ
したり、シャアが復活してマットアングラー隊と共にジャブローの位置を探索するなど
コアなシーンが多いのですが、これもまたスポンサーの視聴率低下防止のための策略や、

視聴者からの「シャアを出せ!」というクレームから来ているのでこの点を補填するが
ごとく、ジャブローの周りが水辺に覆われており森の中にあるという設定にして数々の
水陸両用MSを導入したのも、またまた大人の都合となってしまった。


そういった大人の都合がありながらもガンダムが名作となった理由もジャブローの攻略や
アムロとシャアの再対決!シャアの妹であるセイラとの偶然の再会やマチルダの婚約者
ウッディ大尉の出会いなど人間模様のコアな部分が盛りこめられているからである。


特に印象的なのがリュウが戦死したことで軍規により二階級特進で大尉となるのですが、


このことについてアムロは、

「それだけなんですか?二階級特進だけで、それだけでおしまいなんですか?戦っているときは何もしてくれないで、階級賞だけで、リュウさんや他の人にありがとうのひとことぐらい・・・」

と死ぬことを軽く見られた!と士官に対し腹立て食い入るように見つめてしまうシーン。


実際に大尉となるのは家族の遺族年金が多くなり、軍としても評価をしていることを
理解出来ないことは15歳であるアムロ以外だけでは無いと思えるマニアックさので、

これを理解するには大人となって見直した時期にしか感じないのでは無いでしょうか?

第13独立艦隊の誕生!ふたたび宇宙へ

t8-04

ジャブローでの攻防で辛勝となった地球連邦軍に対し、ジオン軍はなすすべもなく本拠地
である宇宙へ脱出するように逃げるため、連邦軍も追うように部隊が宇宙へと変わっていく
のですが、一枚岩でない連邦軍は私服しか考えず保身中心のゴップ派と協力的なレビル派。

この2つに分かれゴップ派のほうが権力が強いために下士官であるブライトは上からの
命令として従わざるを得ない状況でしか無かった。


このとき命じられたのが第13独立艦隊と呼ばれる「おとり専門部隊


ここでも富野方式で一箇所に固めて人間ドラマを形成していくことになる。


通常!リアルを徹底して追及するのであれば、他の部隊の光景や応戦している部分を描か
ないといけないのですが、それをするとストーリーが無駄に長くなったりスタッフの手間
が増えるので、方針としてあまり好んでいなかったのだと思える。


実際にガルマ部隊がホワイトベースを襲撃した地点でもゴップ将軍自身、彼らはおとりと
いうことを言っているシーンがチラホラ見られ、富野形式の人間ドラマを遂行しやすい
ようお膳立てをしている。

おとり専門」という設定をすることにより、連邦軍の主力はホワイトベースであり
攻防に勝つことでジオン軍を倒せ、ガンダムやホワイトベースの活躍が伝説となる。


そのような錯覚をさせているように思えて仕方が無いのは気のせいでしょうか?


今回はなるべくネタバレしないよう要点を記載したつもりであり、僕自身も
文章表現の下手さや一部わかりにくいところから申し訳ないと思っていますが、

機動戦士ガンダムII哀・戦士編の正直な感想としては、やはりTV版である本編を
3回くらいは見返してから、見たほうが無難
だと痛感する思いしかありません。

レクタングル(大)
スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加