機動戦士ガンダム第38話再会、シャアとセイラすれ違う兄妹の心情

機動戦士ガンダム第38話「再会、シャアとセイラ」はアムロがニュータイプとして目覚めていくせいか?シャアとセイラを通してのニュータイプ論や、物語の後半として地味ながらも均衡状況を打破するための腹のさぐりあいなど、戦場のリアルさを描写しているのですが、

その中でもラストシーンであるシャアからの手紙はセイラに取って厳しい現実を思い知らせることから、これまで張り詰めていたものをぶちまけるようにおえつしながら泣くので、これからの話の真相に迫っていくような勢いから、目が離せなくなってしまう。


特に今回はシャアとセイラの会話からジオンが目指すはずだったニュータイプ論が後々の話にも響いてきますので、これらを含め大人の目線で紐解いていくことにしましょう。

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目次

・均衡する戦い!ホワイトベースVSデラミン艦隊は何故膠着したのか?
・フラウの心労?アムロVSシャアの戦いに関係してくる複雑な思いとは。
・暴かれるニュータイプ論!シャアは何故仮面をかぶり戦いを止めないのか。

均衡する戦い!ホワイトベースVSデラミン艦隊は何故膠着したのか?

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機動戦士ガンダム第38話ではガンダムに倒されたマ・クベのギャンが爆発するシーンから始まり、シャアはアムロ、デラミン艦隊はホワイトベースとそれぞれがけん制しながらの戦いから展開が進んでいくのですがホワイトベースとデラミン艦隊は膠着してしまうことから、


ブライトが発するように「先に動いた方が不利になる」という戦いになってしまう。


数ではホワイトベース1隻に対しデラミン艦隊はデラミン准将とウラガン中尉が乗るチベ級重巡洋艦1隻とムサイ級軽巡洋艦2隻と有利なので、ウラガンもそのことで思わず、

「デラミン艦長、戦力ではこちらの方が
 圧倒的に有利であります、攻撃を」


と仕掛けることを言うのですがコンスコン准将がこの数でやられたことを知っていたのか、

「いかん。敵は一隻とはいえ大型戦艦だ。
 こちらがのこのこ出て行けば」


と最初は冷静に制しておりバロム大佐のチベを待つことにより膠着状態となってしまう。


この理由もホワイトベースの戦力が重巡洋艦3隻以上の戦力であることを悟っており、マ・クベの下で戦術や力関係を学んできた賜物であるのですが、現実にはワッケイン少佐のマゼラン二世によりバロム大佐のチベが襲われ、これを助けようとしたときに均衡が崩れる。


この結果デラミン准将達3隻は後ろから攻撃をうけることになってしまい、セイラのGファイターの奇襲から、左右のムサイを撃沈!追撃でホワイトベースのブライトの指示で、

「メガ粒子砲、主砲、ミサイル、発射」


の攻撃対処に間に合わず、まともに攻撃を食らいあっけなくチベは撃沈されてしまう。


均衡が崩れるときはあっさりとやられることから、

「でも恐ろしいものね。均衡が破れるということは」


とミライが「自分達もああなっていたかも」という描写が後々のシャアのザンジバルとワッケインのマゼラン二世との戦いに響いてしまうので、何かしら意味深に思えてしまう。


結局、バロム大佐のチベを落としたワッケインもセイラとの出会いで気を乱したシャアのうっぷん晴らしのために倒されてしまうのですが、こういった均衡状態を見るほど駆け引きとして今後の展開に重くのしかかることから、戦いというのはいつ倒されるかわからない。


そういった部分を富野由悠季氏はこの戦いを通して伝えたかったのかもしれませんね。

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フラウの心労?アムロVSシャアの戦いに関係してくる複雑な思いとは

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ホワイトベースとデラミン艦隊との戦いと同時にギャンを倒し疲弊したアムロとテストタイプでまだ十分に動かしきっていないシャアのゲルググとの戦いに注目されるのですが、それと同時にフラウ・ボゥの心労っぷりが前回のアムロの会話から引きずっていることから、


それぞれの心境を読み解くほどアムロへの心境や変化が読み取れるというもの。


フラウ・ボゥが心労を感じるのも第36話でニュータイプへと変化しつつあるアムロに何となく置き去りにされ自分とは違う世界に行ってしまうのでは無いか?と思える心配から、第37話での健康診断では大人の成長として何と無く探りを入れていたようにも感じるので、


今回の戦いの間に見せる心労具合もアムロに対する不安が悩みとなっているように見える。


実際にブライトがアムロ探索で通信士のフラウに、

「フラウ、無線の状態はどうだ?」


と2回聞いてもボーっとして動かないことからブライトも、

「・・・みんな疲れているんだ」


と気を利かせバンマス曹長に交代させるのですが、この戦いから飛躍的にニュータイプとして成長してしまうことから、第42話のハヤトと会話が決めてとなり7年後のZガンダムでカツ・レツ・キッカを養子に迎えハヤトと結婚。子供を授かることにつながってしまう。


またシャアもアムロがニュータイプであることに感付いていたからなのか?今回は珍しく後ろから攻撃!という卑怯な手段でビームライフルを撃つのですが、シャアがあえてこうした奇襲をかけたのも、アムロがニュータイプか?を試すためであり攻撃を避けたことで、

「厄介なことになりそうだ。ガンダムのパイロットも
 ニュータイプだとはな。もう一度試してみるか」


から砂塵で見づらい状態で岩陰からビームライフルで仕掛けても全て回避されることから、

「間違いなさそうだな。私の射撃は正確な
 はずだ、それをことごとくはずすとは」


ビームサーベルしか持っていないガンダムを寄せ付けさせないのが精一杯のために、
地形を生かした攻撃と射程外からけん制することで手一杯になってしまう。


シャアのゲルググは先行量産型ゲルググ。つまりゲルググを量産するための試作機として開発されたので、届いた地点から慣らし運転をしていなかったこともあってか、

「ええい、慣らし運転もしないで使うと」


とガンダムとの接近戦で後一歩というところでやられそうになるのですが、実際にはシャアの動きを見切ったアムロが接近戦に持ち込んだ際ナギナタで連続突きで追い込むことから、

「ああっ、も、もう少し早く反応してくれ」


かわすので精一杯となるので性能だけならゲルググのほうがガンダムよりも上である。


しかし実際にはアムロのニュータイプ能力からシャアの読みやけん制がことごとく読まれてしまい、ビームライフルでけん制していた右手をビームサーベルで叩き落とし、左腕しか使えない状態で追い込まれるので、性能に追いついていないシャアの苦悩が見えている。


結局はアムロのニュータイプ能力を中心にいろんなものが変化しつつあることから、この点が今後の見どころになっていくのですがそんなアムロにフラウは自分達の世界とは違う人。


シャアは同じニュータイプとして今までの立場とは逆に超えられない壁となることから
あの悲惨な出来事となりお互いに憎しみ合う原因につながってしまうのです。

暴かれるニュータイプ論!シャアは何故仮面をかぶり戦いを止めないのか

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機動戦士ガンダム第38話のタイトルが「再会、シャアとセイラ」とあるように話のメインはシャアとなりザビ家滅亡を考える兄キャスバルとセイラとしてシャアとして戦うキャスバルを止めようとするアルテイシアの会話が、今後の戦いに左右することになるのですが、

これもまた偶然による必然的描写として動けなくなったガンダムを捜索ということをセイラとジョブ・ジョンのホバギーで行わせることで再開シーンとさせていることから、自然な展開として物語が進んでいくことになる。


心労からフラウ・ボゥの代行でバンマスが来るまで通信士の役目をするブライトを通し
2人の会話を傍聴するシーンが視聴者とシンクロするよう緊張が見どころであり、

普通ならセイラから報告しているので、シャアとの会話は通信士を行っているブライトには筒抜けなのですが、セイラも通信中に突然シャアに銃を突きつけられて助手席に乗られたので、通信が途絶えると同時にブライトもその様子を傍聴することになってしまう。


話のいきさつからセイラは兄であるシャアがザビ家への復習だと思っていたので、

「お前の兄がその程度の男だと思っているのか?アルテイシア」


から何故シャアがジオン軍の士官になったことやザビ家倒すだけでは解決しないことをセイラに告げるのですが、ここから自分達の父ジオン・ズム・ダイクンの遺臣ジンバ・ラルの聞いた話から回想となりニュータイプの存在意義や父を殺したのがデギンであること。


特にデギンのしている指輪が一瞬光るのも「デギンの指輪で毒殺した」という風にも取られデギンを指すシーンもデギンが犯人という描写なのに次期後継者として指示と勘違い。

ジンバ・ラルの回想説明からこの点が丁寧に描かれているので、何故シャアがジオンに入国して士官学校に入りジオン軍に属したのか?だけでもザビ家抹殺であることが推測出来る。


真相としては母アストライアがザビ家によって幸薄い人生を送りながら死別したことから、同じ感覚を持つララァに惹かれたと安彦良和氏は語っているのですが、富野氏が語るシャアの真相は不明。筆者はニュータイプ同士引き合うアムロとララァの弊害を嫌ったのでは?


そう思っているのですがこう語るのもシャアがニュータイプの発生を危険視しており、

「そのニュータイプを敵にするのは面白くない。
 今後は手段を選べぬ、ということだ」


と語るように膨大な力となるアムロとララァの惹き合いを嫌った可能性も考えられる。


今までの話の前後やいきさつを考えるほどシャアが最後に放った、

「マスクをしている訳がわかるな?私は過去を捨てたのだよ」

ということから母アストライアに代わるぬくもりや過去の悲惨な状況から逃れたい弱さが今のシャアにあると思えるのですが、妹のセイラは母の面影もわからないくらい小さかったことや兄の真相も理解出来ないまま、戦争から抜け出すことのみを押し付けられるために、

「思い直してください、兄さん
「兄さん、キャスバル兄さん、キャスバル兄さん!」


と戦争で自分の野望や復讐を果たそうとする兄だと思え、それと同時に自分の思いが届かないことから、絶望を思わせるようにその場で泣き崩れることになってしまう。


ここまでブライトが傍聴していたのであればセイラがシャアと関係性を持っているのは明らかなのでそのことを問いただせばいいはずなのに、セイラも聞かれていたことに気づかないくらい気が動転しており、ブライトも優しさからか?あえて聞かないことにするのですが、


セイラ宛に地球で一生暮らせるだけの金塊が送られて来たことで尋問せざるを得なくなる。


このことについては次回にセイラから真相を話すのですが金塊の中に入っていたシャアの手紙とナレーターの最後の言葉から、昔の優しかったキャスバルがシャアとなり二度と戻ってこないことを悟ったことから、張り詰めていた糸が切れるように泣き崩れてしまうので、

今後の展開に目が離せなくなるのですが、これもまた悲劇的な出会いとして分かち合えぬ運命から悲劇の序章として成り立っていることから、残り少ない話でそれぞれのめぐりあいがくり広げられる原因となってしまうのです。

レクタングル(大)
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