機動戦士ガンダム塩不足やセイラ出撃マ・クベのセリフから読む裏事情

機動戦士ガンダム第16話「セイラ出撃」でようやく本編に戻ってくるのですが、ここから地球連邦軍に取って大事な資源採掘地帯、オデッサ基地奪還である「オデッサ作戦」についてや、ホワイトベースクルーやその敵であるランバ・ラルとマ・クベなど、


さまざまな立場で現実に起こりうる背景や人間関係を描いているのでコアなファンで
あるほど、大人の目線で読み解くほど思わずニンマリするシーンが盛り込まれている。


今回のメインはセイラ・マスがガンダムで無断出撃する部分ではあるのですが、これも
含め、これから起こりうる背景や人間関係を分析していくほうが、より機動戦士ガンダム
の世界観を楽しめると思えるので、富野由悠季氏が何を語りたかったのか?


この点を考えながら1つ1つ紐解いていくことにしましょう。

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目次

・オデッサ・デーと塩不足!この2つが意味する共通点とは何なのか?
・マ・クベ登場!セリフから読み解くランバ・ラルとの険悪な関係性。
・ガンダムでセイラ出撃?命令違反まで犯して搭乗したその真意とは?

オデッサ・デーと塩不足!この2つが意味する共通点とは何なのか?

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ホワイトベースはレビル将軍の命令により、地球連邦軍本部が示すポイントに向かっており、約束の日に約束の場所に来ても合流出来ないことからブライトがイラつくところから始まるのですが、それと同時に朝食を持ってきた司厨長タムラ中尉のセリフ、

「私の不注意です、塩がなくなりますが手に入りませんか?」


塩が無くなったことの深刻さと、この後にオフロードクルーザー、つまり砂漠仕様の
車で民間人に扮して気を失ってまで運転して合流した連邦兵から聞けた情報である、

「・・・オ、オデッサ・デイは五日後の予定です。
 それまでにホワイトベースはカスピ海を渡れとの命令です」


関係ないように見えてどちらも大事なものだ!と富野氏が語っているように思える。


地球連邦軍本部とは無線を使うと、周りにいるジオン軍に察知されるために直接使者を
向かわせ暗号を言わせることで、連邦軍の使者だ!ということが判明するのですが、

ブライト 「砂漠に蝶は飛ぶのか?」
連邦兵 「砂漠に蝶は、砂漠に飛ぶのはサボテンの棘・・・」


とその意味からも命がけであることを物語っているので謎は深まるばかりである。


オデッサ・デーとはホワイトベースへ命がけで合流した連邦兵が答えたように、

「キシリア配下のマ・クベの主力部隊を叩く作戦日です」
「マ・クベの押さえている鉱山は今度の戦争の勝負を決める
 大切な場所なんです。それをオデッサ・デイに叩きます」


とあるように連邦軍に取っては戦争を終わらせる決め手になるくらい大事な資源採掘地帯で
あり、これが奪還出来るかで今後の戦線にも影響するので失敗するわけにはいかない。


特にマ・クベ大佐指揮下の鉱山地帯は後日談で「ジオンはあと10年戦える」と公言したように最低でもそのくらいの資源が多くあったことから、彼の直属の上司であるキシリア少将から援軍が送られる前に一気に叩いて起きたい!と考えていた様子。


またその後にタムラ中尉がこの前の戦いで倉庫に被弾した際に塩を失ったことに気づき、何とか手に入らないか?とブライトに嘆願するのも、塩の不足は過労やけいれん、熱バテ不眠などの症状を起こしやすく、現在飛行中のカスピ海付近では炎天下であることから、


このまま補給を受けられずに塩が見つからないと死を意味するということになる。


それ以外にも現地点で塩の不足は、精神不安定からのイライラや意気消沈してのうつ病などにもつながるので、本来なら最重要項目であるはずなのですが、ブライトやアムロからすれば、いまいちピンとこない話だったことから、どちらも戦場下において、


決め手となる生命線になることを富野由悠季氏は伝えたかったのでは無いでしょうか?

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マ・クベ登場!セリフから読み解くランバ・ラルとの険悪な関係性

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オデッサ・デーと塩不足への対応を余儀なくされたアムロ達とは別にホバークラフト型高速陸戦艇ギャロップで登場するランバ・ラル隊がガルマ・ザビ仇討ち舞台としてホワイトベースを追撃していくことになる。


またラルは実直で律儀であるため直属の上司であるマ・クベ大佐に回線を入れ
逐次状況報告をするのですが、初登場であるのに回線には出ず副官のウラガンが、

「マ・クベ大佐はただいまご不在であります。ご到着の折、
 必要な情報は私から届けよとマ・クベ大佐から申しつかって
 おります。私はウラガン少尉であります」


と対応。居留守を使うことに「何だこいつ感じ悪いなあ~」と嫌な印象しか間感じない。


このことに対してラルは素直に手回しのいいことだ!と関心していたのですが
内縁の妻であるクラウレ・ハモンはマ・クベのことを快く思っていない感じで、

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「さあ?マ・クベ様は油断のならぬお方と聞いております」


と愛するラルに警戒するような感じで答えるので嫌な予感しかしないのですが
ハモンに対し、肝心のラルはそんなことは大したことではないと言わんばかりに、

「私はゲリラ屋だ。ガルマ様の仇を討てばすぐに宇宙へ帰る。
 さて、この辺りで網を張るか」


とホワイトベースとガンダムを倒すことで頭がいっぱいなのでこの点からも
ラルの愚直過ぎる実直さがヒシヒシと伝わってくる。


しかしマ・クベからすれば、以下のセリフからも読み取れるように、

「待てよ。ウラガン、ランバ・ラルに教えてやれ。奴が木馬を早く
 始末してくれればこの辺りにうろうろされることもなくなる。
 とにかく私が発掘した鉱山の実態をドズル中将に知られるのはまずい」


ドズル中将とキシリア少将との権力争いを見通して策略を練っているために
ハモンの言う通り油断ならない奴であることは明白である。


これに対しラルはマ・クベの部下共々律儀だ!と関心しているのですが、ハモンがこの後心配するように奴はキシリア・ザビ配下のジオン公国突撃機動軍大佐という地位まで登りつめており、ザビ家の次に地位が高くなっているのでこの地位を守りたいどころか、

キシリアに媚びへつらい見つけた鉱山資産を政治的手段でジオン軍を支えている企業や政治家に根回しすれば、2番手の座に付けるどころか隙あらば・・・という部分から油断ならないことをハモンは直感で理解しているのだろう。


実際にマ・クベの地位からすれば地球にいる高官としては上の部類に入り、自分が命令すればある程度の融通が利くので、自分の部下を手足のように使い連邦軍本部にスパイを送るなど、計算高い戦略で狡猾に物事を展開させる部分が今後の話でも目立っている。


また軍服から見ても士官はある程度のカスタマイズが許されているためカスタマイズを好んでいるほど、その人物の性格が見えてくることから独自カラーの軍服に赤いスカーフという部分からも、貴族のような文化的思考で己の野心ばかりを考えていたことから、

この後の話に登場するジオンの三連星こと黒い三連星にも部下の気持ちが理解出来ていないと叱責を貰うので、どちらかというと官僚や政治家に多いタイプだと分析出来る。


筆者がこう断言出来るのも、大量のザクやドップでも倒せなかったガンダムやホワイトベース相手に、肝心のランバラル隊は輸送用に毛が生えたような高速陸戦艇1隻とグフ1機に地上用に改良されたザクⅡJ型2機だけで戦艦ザンジバルはテスト用で使えない。


そのため今回の話でも、ザク2機が分散させられアコースのザクがアムロ搭乗のガンキャノンにやられ戦死!コズンも頭を殴られ足で蹴られて捕虜。ザク1機を奪われてしまう。


これではランバ・ラルも引かざるを得ない状況となってしまい、

「まだテスト中の物を実戦に投入できますか?それに、
 ランバ・ラルならこの戦力で木馬もモビルスーツも
 倒せると思っているのでしょ、ドズル中将は」
「マ・クベ様の協力がなければ苦戦をしいられますね」


とハモンが苦言するので使えない上司の下は悲惨になるという格言に思えてしまう。


このようなことで相反するラルとマ・クベなので、あの惨劇につながるのは目に見えていたはずなのですが、実直なラルはそこまで疑う性格では無かったことから、裏を読むということが出来ないと戦争では生き残れない深いメッセージがあるのかもしれませんね。

ガンダムでセイラ出撃?命令違反まで犯して搭乗したその真意とは?

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機動戦士ガンダム第16話「セイラ出撃」では上記2つの複雑な問題と同時にセイラ・マスがランバ・ラルが搭乗するグフに向かってガンダムで無断出撃するので、「セイラさんが何故?」とアムロが疑問視。ガンダムの周りにいたジョブ・ジョンに理由を聞くと、

「セイラさんだ、特命だって、違うのかい?」


と驚いた顔で言うので、「そんな命令あるもんか」と混乱をきたすことになる。


この理由もオペレータのオスカがレーダーで発見した、

「二時の方向、地上を一機で来ます。ただし、機種は不明です」
「マゼラアタックにしてはスピードが速すぎます。
 ガウにしては小さすぎます」


という情報をブリッジでセイラは聞いており、アムロ以下ガンダム、ガンキャノン、ガンタンクは第一戦闘配置で様子を見ることから、その隙にガンダムに乗り込んで発進してしまうのですが、実際には加速速度からの圧力を抑えるノーマルスーツを着ずに乗り込み、


シミュレーション以上の加速度で嘔吐した上にコズン搭乗のザクに捕獲されそうになる。


それだけでもガンダムを動かすということは難しく、生々しい感覚を伝えているので、アムロがガンキャノンに搭乗してグフから守り援護をするのですが、肝心のセイラはシャアが自分の兄ではないか?と思っていることからジオン兵と接触しようと必死になる。


実際にはガンダムの操縦に翻弄されただけで、ランバ・ラルのグフのヒートロッドで足先を切られ、コズンのザクに分解寸前まで追い込まれたのでスパイ行為以上に戦死する危険性から3日間の独房くらいでは済まないと思えるですが、ブライトはセイラに甘いので、

「・・・女性だって男と同じように戦えると
 証明したかった。それだけの理由なのか?」


とうやむやしては、単に兄の情報を引き出したいだけなのか?疑問視してしまう。


ブライトもこのことに驚いたのか?「聡明なセイラさんが・・・」と驚きを隠せないようなのですが、ガンダムの全体像を見るとセイラにガンダムを乗せたのは富野由悠季氏の計算された描写であるため、2回目に見るほど「なるほどあの布石か?」と思えてしまう。


ネタバレになってしまうのですが第24話「迫撃!トリプル・ドム」でセイラはガンダムのパワーアップメカGファイターのパイロットになり、そこから戦場で兄であるキャスバルと再開するのでこれもまた富野描写か?と思えるほど納得してしまう部分が大きい。


結局、3日間の独房入りとなり捕虜となったコズン少尉にセイラが食事を渡す際、

セイラ 「シャア、どうしたかご存知でしょうか?」
コズン 「シャア?シャアって?」
セイラ 「赤い彗星の。教えてくださらない?」
コズン 「ああ、シャア・アズナブルね。ガルマを守りきれな
     かったんで失脚したよ。故郷へ帰ったとか聞いたけどな」


と情報を引き出すことに成功!そこから何故兄さんだと確信するかは謎ですが、この話だけではつながらない疑問が多く出ていることから、人目線で見ないとなかなか分析出来ないことだらけであることが理解出来ると思える。


また筆者が感じているセイラ出撃の本当の意味は、通信士と医者の卵という曖昧な立ち位置でありインパクトのある登場シーンがありながらも、シャアがいなくなり兄と会う目的が途絶え、ミライよりも存在が目立たなくなって来たことから、


起爆剤として後につながる変化の兆しを刻みたかったのでは無いでしょうか?

レクタングル(大)
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