機動戦士ガンダム第37話テキサスの攻防はニュータイプの前兆だった

機動戦士ガンダム第37話「テキサスの攻防」ではソロモンが地球連邦軍に占領されたことにより事実上ジオン宇宙攻撃軍は壊滅。ガルマほどプロカパンダ(宣伝効果)にならないことや思った以上の疲弊から公王であるデギンや総帥であるギレンも冷ややかな対応となり、


最終防衛線をア・バオア・クーにすることを高官達に宣言するという政治的裏事情から始まるのですが、今回の話がマ・クベがガンダムを倒すことに執念を燃やしている理由もジオン軍の現状に比例していることが理解出来ると思えるため、今回も大人の目線で1つ1つ、


それぞれついてのテキサスの攻防を紐解いていくことにしましょう。

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目次

・著しいアムロの成長!フラウ・ボゥの会話とララァとの共鳴の意味とは。
・ゲルググ到着!テキサスの攻防で見せたシャアの意外なポリシーとは?
・ギャンで攻めるマ・クベの野望!何故自ら攻めることにこだわったのか。

著しいアムロの成長!フラウ・ボゥの会話とララァとの共鳴の意味とは

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機動戦士ガンダムでは戦いの前後や前フリとして何気ない会話シーンや虫の知らせのような予感として描写することが多いのですが、今回の話でもそれらを感じさせる部分が目立っているため、ファンであるほどこの意味を見逃さないように分析したいというもの。


またサービスシーン第3弾としてセイラの入浴シーンがさりげなくあることから、

「・・・命拾いのあとのいいお風呂だったのに」


とホワイトベースの心境をさりげなく物語っていることに気づかされる。


特にここまでの戦いでガンダムで戦うアムロ、ホワイトベースオペレーターのオスカとマーカーの負担度はかなり高いので医療班の看護兵であるサンマロ軍曹もふとした感想として、

「オスカ、マーカー、アムロ、みんなよく持つな。」


と言いつつも自分の舌を見て体調不良を感じさせる描写が印象的なのですが、サンマロの指示でアムロを診察するフラウ・ボゥとの会話から今までとはまた違った変化から、大人としての成長を思わせる描写として興味深いものとなっている。


またアムロも今までの戦闘に追われる生活からフラウ・ボゥに対しあまり話をしなくなったことから、このことを気にしていたのですが、フラウ・ボゥからすればソロモン攻略戦のときにハヤトを落ち着かせるため言った「あの人は違う」ということを感じ取っているため、

「アムロって恐いくらいたくましくなったのね
 あたしなんかには届かなくなっちゃったのね」

 でもいいのよ。弱虫のアムロなんて見たくもないし、
 みんなこうして大人になっていくんでしょ?」


何かを悟ったような口調で物言いするのでアムロもまたサイド6で出会った父の変わり果てた姿や不思議な少女ララァとの出会いから、複雑な心境を話せないでいるのですが、そのことについてもフラウ・ボゥは女として察知していたからか?

「いいんだってば。でも、サイド6で
 何かあったの?アムロ、変わったみたい」


と安心させるように話すのでアムロもそれに答えようとして、

「そ、そうかい?べ、別に。・・・いつか話せる
 ようになったら話すよ。いろんなことがあったんだ」


今までのアムロには無い大人の対応で答えるので精神的にも成長しているように見える。


アムロの性格からすると父テム・レイの育てられていたとはいえ、ひきこもり気味で好きなことしかしてこなかったという感覚から、ガンダムでサイド7に攻めてきたザクを追い払ったという経歴から無理やりガンダムに乗せられている感が抜け切れず、第9話で不満爆発。


それに対し慰めて欲しいと思う部分をフラウに押し付けたり、第19話でも追いかけてくるフラウをガンダムを返して欲しいだけの使者くらいしか思えなかったことから、何かしら卑屈に見え、好きになれない描写が多かったことからこれらを過去の過ちとして認めながら、

適切な判断としてガンダムに乗りつつあるアムロの成長が大人になっていると感じている。


またララァとの出会いから覚醒したのか?ニュータイプとしての描写も目立っておりマ・クべとの戦いの中でも、恋人同士が触れ合ったような感覚で何度も共鳴することから、

ララァ「あたしと同じ人がいるのかしら?」
シャア「ララァ、今なんと言った?」
ララァ「フフフ、大佐があたしの心を触った感じなんです」
シャア「私が?ララァ、冗談はやめにしてくれないか」


と痺れるような感覚からついじゃれたような表現をしてしまうララァがとても印象的。


これもまたニュータイプとして人の心を読みながら分かち合う前兆であることから、後々の
ララァとの戦いへの前フリになっているのですが、この話ではギャンをしとめる前に、

『もうおやめなさい、終わったのよ』


現実的な音ではない擬音が鳴り響く中、精神世界を飛んでいるような感覚で稲妻が額を走る描写となるのですが、これもまたニュータイプ同士しか感じ取れない独特の感性から、このような演出となっているため、現実では戦っているはずなのに一瞬止まってしまうのも、


アムロとララァの惹かれあう部分を描写していることから不自然な感じに思えてしまう。


結局、フラウ・ボゥが想像している大人というよりも、新しい力として覚醒するニュータイプへの覚醒へという感覚のほうが成長としては大きくなっているのですが、最後の不協和音を思わせるような音と同時に時空の中にいるような感覚を描写しているのも、


ニュータイプとしての悲惨な運命を物語っている前フリなのかもしれませんね。

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ゲルググ到着!テキサスの攻防で見せたシャアの意外なポリシーとは

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テキサスの攻防では同じキシリア派として比較対象にしているのか?マ・クベが直接ガンダムに対抗するのに対し、シャアも自分の立ち位置をしっかりと考えながらポリシーと言わんばかりに演出されているので、この点も深い意味があるように思えるのですが、


現実には同じキシリア派であるマ・クベを逆立てることになることから、

「大佐はなぜ助けてあげないのかしら?なぜ?」


同じ仲間なのに?とララァは裏を考えずに素直に疑問視してしまうことになる。


シャアとしては新型先行タイプのモビルスーツ「ゲルググ」はテキサスコロニーに届いているものの、ララァのモビルアーマー「エルメス」の整備が遅れており手持ちの武器もほとんど無いことから、チベでホワイトベースを追っているマ・クベにやらせる予定であり、


派閥争いにも全く興味が無かったことから最初は放置する予定だったのですが、

マリガン
「大佐、マ・クベ大佐がモビルスーツでテキサスに潜入したそうです」
シャア
「マ・クベがか?物好きな。マ・クベにそんなとこがあったとはな」


と副官のマリガンから情報を得たことで見過ごすとキシリアへの体裁が気になったのか?

「私へのあてつけだよ。そうでなければ彼がそんな軽率なこと
 をする訳がない。しかし、黙って見ている訳にもいかんな」


からゲルググのテストを兼ねて応援にいくことになってしまう。


シャアの本来の目的はニュータイプ養成所であるフラナガン技師と会い、ララァの能力とエルメスの適正を知りたかったことから、人気の無いテキサスコロニーの馬車の中で密会しながら、本来はエルメスの調整がしたかっただけなのですが、今回の戦いだけでも、


シャアの意外なポリシーが見られるのでこの先の展開に何かしら意味深なものを感じる。


まずファンなら知っている方も多いとは思いますがマリガン副官が発したセリフ、

マリガン
「ノーマルスーツを着てはいただけませんか?」

シャア
「私はモビルスーツに乗っても必ず帰ってくる主義だ。
 死にたくない一心でな。だから戦闘服だの
 ノーマルスーツなどは着ないのだよ」


というシーンでも絶対に帰ってくるという自信があるからこそ言えるセリフなのですが
その言葉に対するララァの信頼に満ちた目が非常に印象的。


これもまたエレベーターでのララァへの気遣いがあってこその伏線であり、エルメスを上手く操縦出来るか悩んでいたララァに対し、自分以上のパイロットになれることを伝えたり、

「当たり前だ。そうでなければ、みなしごだった
 ララァをフラナガン機関に預けたりはしない。
 サイド6ではさびしい思いをさせてすまなかったな」


頼りにしているという部分と仲間以上の感情で心配することから、あえてノーマルスーツを着ないことがララァに自信を持ってもらうための演出なのでこの地点では尊敬の眼差しとして見られていることが大きい。


それとは逆にララァのニュータイプ能力や最近急成長しているアムロの傾向から、自分の立ち位置をしっかりと見極め、男の面子しか考えないマ・クベに邪険にされるのを知りながらキシリアとの関係性を見定めるために応援に回るなど計算された部分にこだわりを感じる。


実際にガンダムに対しビームライフルで仕掛けた際に、

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マ・クベ「シャアーッ、退けい」
    「今の貴様の任務はガンダムを倒すことではないはずだ」
シャア 「味方が苦戦しているのを見逃す訳にはいかんのでな」
マ・クベ「私なりの戦い方があるからこそガンダムを引き込んだのだ」
シャア 「任せたよ、マ・クベ大佐。来るぞ」


とあっさり引き下がったのもマ・クベの真意を理解するのですが、机上の空論で戦略しか出来ず詰めの甘いマ・クベなのでパイロットとしてはシャアが発するように完全に付け焼刃。


このようなことから流れで本来は対決する予定でなかったガンダムとの対決を次回に行ってしまうので思いもしなかったことになるのですが、ここまでの行動を見るほどシャアとしては周りが急ぎすぎてまだ準備は出来ていないという感じなので、ザビ家滅亡のために、


一度関係性をまとめておきたかったというのが本音では無いのでしょうか?

ギャンで攻めるマ・クベの野望!何故自ら攻めることにこだわったのか

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マ・クベはシャアと同じ大佐なのでモビルスーツで出撃することに違和感が無いと思っている方もいるかもしれませんが、現実にはシャアのような現場実力主義ではなく司令官として現場のものに指示を与えることに長けていることから、シャアがマリガンに言ったセリフ、

マリガン
「大佐、マ・クベ大佐がモビルスーツでテキサスに潜入したそうです」
シャア
「マ・クベがか?物好きな。マ・クベにそんなとこがあったとはな」


とシャアが驚くのもマ・クベの階級や立ち位置からして現場で死ぬだけだろ?


そんな感じから不思議に思えてしまうのが実情なのですが、この理由もマ・クベが放った、

「ギャンは私用に開発していただいたモビルスーツだ。
 キシリア少将へ男としての面子がある。

 それにシャアには例のモビルスーツが届いていないと
 いう話だ。きゃつの前で木馬とガンダムを仕留めてみせるよ」


とあるようにキシリアとのつながりが強くなるシャアをけん制しての強がりに過ぎない。


そのためマ・クベ用に作られたギャンも彼の性格を示す特徴を持ち合わせており、一見すると正々堂々な格闘型か?と思えても盾に似せた攻撃主体のシールドミサイル、ニードル・ミサイル、機雷として爆発するハイドボンブなど、正々堂々とはほと遠い武装となっており、

話の流れ通り近寄るガンダムにシールドミサイルで迎撃しようとしてガンダムシールドを破壊。コロニーのエアロックに爆弾を仕掛けたり、ハイドボンブで砂塵の中で罠となるように仕込んでいくことから、彼らしい狡猾な戦いでありガンダムの武装を消耗させていく。


またギャンが量産化されなかったのもグフ以上に格闘戦に優れてはいたものの、開発元であるツィマッド社がビームライフルの作成に失敗したことが原因による苦肉の策で攻撃とも防御とも取りづらい無駄に重いシールドをつけてしまったことで最終選考での悪印象となり、

ミサイルやハイドポンプが入っている状態で盾として使用した場合を考えると誘爆して危ないのでは?という考えから、量産化するまでに至らなかったのだと筆者はそう考えている。


このように特化しすぎているギャンであるため、マ・クベもガンダムとの対決をする際、部下のリック・ドム4機にビームライフルを消耗させ、テキサスコロニー前におびき出し、

「最後の一機!なに?
 こいつの所へ誘い込む為の作戦だったのか」


と背後からギャンのシールドミサイルを受けるのでアムロも思わずびっくりしてしまう。

またアムロの言うとおり小ざかしい相手であるため攻撃に移ろうとすると、

「フフ、戦いをまともにやろうとするから
 こういう目に遭うのだよ、ガンダム」


と足場にして隕石に似せた爆弾をぶつけるのですが、マ・クベ包囲網同様に詰めが甘いことから姑息な仕掛けをするほど、かえってアムロを激怒させ戦闘力を挙げるだけの手段でしか過ぎず、追い込んでいるつもりが追い込まれていることに気づいていない。


このことについてアムロが数々の仕掛けに対応してはなかなかやられないことから、

「カンがいいのか?それともあの新しいタイプの奴なのか?」


マ・クベなりにキシリアから情報なのか?シャアによるニュータイプ思想を上申したと思われるセリフから岩陰に隠れるので、追い込まれていることは誰が見ても明白である。


それでもギャンが善戦出来たのも運動性能に左右するアクチュエーターに流体パルスモーターが使用され、伸縮性の動きが容易に出来ることからマ・クベがモビルスーツ搭乗の素人であったとしてもガンダム以上に格闘能力が高かったことに過ぎないのですが、

それ以外に決定力に欠ける戦いであり、ガンダムにパワー負けしたことからビーム
サーベルで左右に挟みこまれるような形で悲劇の最後を向かえることになるのです。


結果から言えばこの戦いは目に見えていたのですがマ・クベは最後に有名なセリフ、

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「・・・おお、ウラガン、あの壺を
 キシリア様に届けてくれよ、あれはいい物だ」


の部分から計算高いマ・クベの中では一番大事なものは壺たったという落ちであり、最後の最後での死に際ほど本音が出ることを描写しているのですが、ここで語る壺の意味も自分の実力や状況が理解出来ずに計算だけで戦いをしては自分の首を絞める行為でしかない。


こういった警告を言っているようにも感じましたので一体何のために生きているのか?


この点をしっかりと考えないと戦争で生き残ってもむなしいだけになってしまうのです。

レクタングル(大)
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