機動戦士ガンダム第42話宇宙要塞ア・バオア・クーで感じる葛藤部分

機動戦士ガンダム第42話「宇宙要塞ア・バオア・クー」はソーラ・レイの発射により地球連邦軍艦隊の1/3を失いながらも、ホワイトベースを旗艦として戦いに終止符を打つため、ジオン軍の最終防衛ラインであるア・バオア・クーを攻略することから始まるのですが、


最終戦線らしくこれまでの人間関係に終止符を打つよう混戦状況から複雑な思いとして展開するので、しっかりと読み取らないと難しい描写から何故そうなるのかが理解しづらい。


特に今回はザビ家であるギレンとキシリアの確執に意外な結果として決着が付く他、アムロとシャアの立場が逆転するなど見どころが盛りだくさんとなっておりますので、今回も大人の目線で1つずつ分析していくことにしましょう。

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目次

・ソーラ・レイ発動!父殺し後のギレンの演説と制裁するキシリアの内情。
・宇宙要塞ア・バオア・クーの攻防!アムロがウソをほど厳しい実態とは。
・何故シャアは80%の完成度のジオングに振り回されることになるのか?

ソーラ・レイ発動!父殺し後のギレンの演説と制裁するキシリアの内情

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機動戦士ガンダム第42話は前回のソーラ・レイ発射からの続きであり地球連邦軍のレビル艦隊主力部隊の中でグワジン級大型戦艦「グレート・デギン」に乗ったデギン公王が和平交渉をするシーンで照射され消え去ってしまうことで全面戦争をせざるを得なくなるのですが、


これも宇宙要塞ア・バオア・クーで統率しているギレン総帥が後で放つ、

「フフフフッ。ここを攻めるにしては
 やはり数が少なすぎたようだな」


と確信するようにいくらモビルスーツ、モビルアーマー、ニュータイプが優れていても最後には過去の戦争と同じく数で勝敗が決まることを意識していたことから、ソーラ・レイで半数近くの主力艦隊を倒せたのはギレンに取っては計算した行動であるのが理解出来る。


またそのことでデギン公王が乗っていたグレート・デギンが沈んだ理由もキシリアとの会話でしっかりと読み取れるのですが、実際には言葉の裏に含まれた意味があることから、

キシリア
「グレートデギン、どこに配備されたのです?
 ズム・シティ(サイド3の首都)ですか?」
ギレン
「沈んだよ。先行しすぎてな」
キシリア
「ほう。デギン公王から調達なさったので?」
ギレン
「歯がゆいな。キシリア、
 父がグレートデギンを手放すと思うのか?」


という会話だけでも圧力として感じ裏を読むほど「連邦ごとき無能と和平を結ばれたら貴様も困るだろう」という意味が含まれており、ソーラ・レイの照射自体が「黙ってお前は言うことを聞けばいいのだ」という感じにも聞こえるので、キシリアも一度引くことになる。


そういったいきさつがあるため戦意高揚とばかりに兵士達に「ジオンの正義の証」と鼓舞しながら連邦軍の無能さや自分達の有能さを演説しては、残存勢力をカスとまで言い切るのですが、現実にはノーマルスーツに身を包んでいる部分から勝利の確信とは言い切れない。


ギレンからすればNフィールドを空母ドロス、後は圧倒的に数が上のためこれで抑えられると思い、最初は余裕だったのですが、Eフィールドから入ってきたキシリアのグワジンが入ってきたことでドロスを死守するように主戦場Nフィールドへの参戦を指示。


それと同時にキシリアからの情報が合わないので、

「しかし妙だな。キシリアめ、出撃させてきた艦の数が合わんが」


からシャアのザンジバルの撃沈や後々温存してあったと思われる戦艦の数など不足していることで、キシリアも切り札を隠しているのでは?と悟られるシーンが生々しい。


そういった思いとは裏腹に混戦になってしまうためキシリアも混戦を何とか打破しようとシャアに与えたジオングや守りの弱いSフィールドにホワイトベースが進行するので、戦力を固めさせるなど、ギレンとは間逆に確実に敵を倒していく部分が対照的に見えてしまう。


これもまた父殺しの仇として決着をつけようにもあからさま過ぎると警戒されることから、怪しまれないようにする手段と共にキシリアが総帥として立ったときに優位にするためのものなのですが、戦う兵を駒としか見ないギレンはシャアのジオングには全く興味を示さず、


Nフィールド線上を集中砲火してくる連邦軍に対しても、

「そうかい?所詮は生き残り部隊の最後の悪あがきだろ」


と油断をしはじめるのでキシリアがしっかりと対応をすればするほど、

『父殺しの男が』


と憎しみだけが強くなってしまう。


キシリアが父殺しをしたギレンをすぐ殺さなかったのも彼の本心が聞きたかった部分や殺すまでに油断をさせないといけなかった点から、あえて回りくどい感じで自分の足場を固めていった結果であり、憎しみから殺意に変わったのも父すら駒としか考えていない部分から、

キシリア
「グレートデギンには父が乗っていた、
 その上で連邦軍と共に。なぜです?」
ギレン
「やむを得んだろう。タイミングずれの和平工作がなんになるか?」
キシリア
「死なすことはありませんでしたな、総帥」
ギレン
「ふん、冗談はよせ」
キシリア
「意外と兄上も甘いようで」


という形で抹殺されてしまうのでこれもまた自業自得であることなのか?


勝つためなら親まで殺すギレン、そのことで殺意となり殺すキシリアとザビ家はどんどんと腐っていき、名誉の戦死として勝ち馬に乗るトワニングもまた大人の汚い行為を見せ付け乗り換えるので、平均視聴者12歳の教育上どうなのか?と懸念してしまうのですが、

これもまた戦争が生んだ確執の末路であるため、手段を選ばないほどその結果は
悲惨な最後でしか無いのかもしれませんね。

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宇宙要塞ア・バオア・クーの攻防!アムロがウソをほど厳しい実態とは

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ソーラ・レイ照射により連邦軍の主力艦隊が半分になってしまったことで、ホワイトベースに主力艦隊を集めさせるから動くな!という指示で、ア・バオア・クーの主力艦隊Nフィールドを攻略することになるのですが、アムロがウソを付いてまでニュータイプの勘として、

「でも、大丈夫だと思います。ア・バオア・クーの
 狙い所は確かに十字砲火の一番来る所ですけど、
 一番もろい所だといえます。作戦は成功します」


一同を鼓舞するように発したのか?あなたには理解出来るでしょうか。


一見すると最終戦線の中、ホワイトベースクルーは焦っていないために苦戦とは思えないように見えるのですが、現状では前回のキリリア艦隊との戦いで左のカタパルトハッチが故障しては生き残ったサラミス艦に足並みを合わせ合流したのでソーラ・レイから逃れられた。


ア・バオア・クーは正面から見れば十文字型の要塞なので東西南北の方角に合わせ、東がNポイント、西がSポイント(地点)南がNフィールド、北がSフィールド(戦場)として空母ドロスを中心としてNフィールドを主力艦隊なので、裏のSフィールドを攻めることに。


またホワイトベースを旗艦として中心にしたのも、主力艦隊のほとんどが数、兵力共に
一点集中砲火でしか対応出来ないまで減っており、ギレンが放った有名セリフ、

「フフフフフッ、圧倒的じゃないか、我が軍は」


とあるようにソーラ・レイを照射された地点で終わっていることは誰の目を見ても明らか。


しかしここで「この戦い負けるかも」と思ってしまうと逃亡する兵も出てしまうことから、ニュータイプであるアムロに保障してもらうことで鼓舞という形から無謀でも突撃する勇気となり、ニュータイプであるホワイトベース隊がいるならと拡散していくことから、


戦意という部分を重視した結果、アムロがウソをついたのだと筆者はそう考えている。


もしウッディ大尉が生きていたらそんなことで変わるわけがない!と叱られたかもしれませんが、人というのは思い込みで戦意高揚することもまたしかりなので、この使い分けが重要なのですが、アムロはニュータイプとしての好奇で見られることを嫌ったことから、


ウソだと思われても「ニュータイプが言うんだから!」いう感覚を示したに過ぎない。


筆者がこう語る理由も前回のララァとの戦いで守るべきものを改めて考えさせられた
ことから幼馴染のフラウ・ボゥに第一戦闘配置前の直前にアムロが放った、

「フラウ・ボゥ、どんなことがあっても
 あきらめちゃいけないよ。こんなことで
 死んじゃつまらないからね」


というセリフから大人として成長している気遣いがあったり、カイが猜疑心から、

カイ
「アムロ、さっきお前の言ったこと、本当かよ?」
アムロ
「嘘ですよ。ニュータイプになって
 未来の事がわかれば苦労しません」
セイラ
「アムロにああでも言ってもらわなければ
 みんな逃げ出しているわ、恐くてね」
カイ
「そりゃそうだな。逆立ちしたって
 人間は神様にはなれないからな」


とあるように本音では勝てる戦いかわからないものに勇敢に立ち向かうのはバカのすることなので、みんな厳しい戦いと理解していながらも口には出さないのが戦争というもの。


結局、アムロの行為はハヤトとフラウ・ボゥの急接近によって阻まれ、子供達もそのことに気づいているので遅すぎた対応でもあるのですが、ジオン側も学徒動員と呼ばれる学生中心のザクばかりが目立ってしまったことで、意外と互角に渡り合えてしまいうことから、

戦果だけが問題」と理解しながらもそこまで徹底出来なかった余力のなさから
だんだんとほころびが生じてしまい、感動の最終話へと続いていくのです。

何故シャアは80%の完成度のジオングに振り回されることになるのか?

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ギレン総帥が戦いは数ということを意識していたのに対しキシリア少将は戦いを戦果として考えていたことから先駆けとしてニュータイプと専用兵器の開発を進めて来たことから、

「ジオングを使ってみるか?
 80%しか完成していないようだが」


と搭乗するモビススーツが無いシャアに対しジオングをあてがったのですが、現実には80%でもジオングの性能に振り回されアムロとの実力さを完全にひっくり返されることから、

「シャアは激しい焦りを感じ始めていた。
 ニュータイプ用に開発されたこのジオングの
 パワーを最大限に発揮できぬ自分に。

 あのガンダムのパイロットは今確実に自分を追い込んでいる」


というナレーターが心境を読み上げると同時に自分もニュータイプであることで焦りを感じさせるのですが、何故シャアはジオングに振り回されているのか?あなたにはこの理由が理解出来るでしょうか?


この理由もジオングの完成度うんぬん以前にコンセプトが間違っているからである。


そもそもジオングが開発されたのはミノフスキー粒子が濃い中でも遠隔操作可能なサイコミュ兵器を小型化して量産するためにザクⅡをベースにサイコミュ試験用ザクが試作されたのですが、キシリアが求めるものはエルメス以上の能力であったことから頭頂高を17mと、

通常のモビルスーツの2倍の大きさの胴体まで小型化出来た反面、宇宙空間に限定し
脚部を無くした高出力のスラスターにすることで、機動性の向上となっていることから、

ジオン兵
「80%?冗談じゃありません。現状で
 ジオングの性能は100パーセント出せます」
シャア
「足は付いていない」
ジオン兵
「あんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ」


という有名なやりとりとなるのも宇宙空間では足は邪魔以外の何者でもない。


またジオングの主力武器は両手の指先から放たれる5連装メガ粒子砲なのですが、これはブラウ・ブロと同様の有線誘導式オールレンジ攻撃であることから、一度この攻撃を破っているアムロからすれば回避出来るものであり、シャアの攻撃はシャリア・ブルよりも弱い。


この地点で完全に勝てないと思えるのもガンダムを見失ったり攻撃があたらないことで焦る部分、最後にガンダムに向かっていくシーンで止まった描写でシャアが迷っているようにも見えることから、ニュータイプとして使いこなせていないことが判明されるのですが、

新型としての真新しさもなくシャアの思考が容易に読めるアムロのため、対ニュータイプとしてあてがった分、ジオング自体がブラウ・ブロの二番煎じという期待はずれ感覚が抜け切れないことから、シャア自身慣れない点も含み大苦戦を強いられてしまう。


結果として80%だったのはジオングではなくシャアの能力と覚悟だったのだと筆者はそう思っているのですが、この地点ではまだ様子見であり本当の戦いは次回に決着がつくため、シャアの逆襲なるか?は次回の「脱出」で全てが決まることになるのです。

レクタングル(大)
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