機動戦士ガンダム第31話は前フリだらけ?その意味深な人間描写とは

機動戦士ガンダム第31話「ザンジバル、追撃!」は前回のゴップ提督の指示通りホワイトベースはおとり専門としてルナ2とは逆のジオン軍宇宙要塞「ソロモン」を目指すことからそれに合わせシャアもザンジバルで追撃するのですが、今回は全体的に前フリが多く、


後々につながる描写となることからこの点を読み解くことが重要であると思われる。


特に今回は今後のキーマンになるスレッガー中尉の行動やシャアの追撃など敵味方問わずに
複雑な人間描写のきっかけとなる部分が大きいことから、この点を中心に今回も大人の目線で
1つ1つ紐解いていくことにしましょう。

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目次

・スレッガー登場!いろんな意味で前フリを感じさせる微妙な距離感とは。
・ガンダムVSビグロ!たった3機の編成で大苦戦してしまった要因とは。
・シャアの追撃?セイラが予感した苦悩とザンジバル特攻で感じる恐怖。

スレッガー登場!いろんな意味で前フリを感じさせる微妙な距離感とは

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機動戦士ガンダム第31話では地上から宇宙に移行する節目であるためか?冒頭からコンドルやフラミンゴが登場しては美しい地球の風景が二度と見られないことを悟らせるように、

キッカ 「うわ、トイだぁ」
カツ 「きれー」
ミライ 「・・・」
ブライト「手の空いている者は左舷を見ろ、フラミンゴの群れだ」
オスカ 「ビデオに撮っておきます」
ブライト「よし、許可するぞ」

とほのぼのするシーンが印象的でありその前後でもゴップ提督がおとり艦としてホワイトベースが打ち落とされないように3隻出したりおとり部隊で不安になるブライトに、

「ティアンム艦隊はまっすぐにルナ2に向かわせるから、
 ホワイトベースは反対の人工衛星軌道に乗っていく。

 そのあとでジオンの宇宙要塞ソロモンを叩きに行くという訳だ

 大丈夫、ソロモンが落ちれば国力のないジオンは必ず
 和平交渉を持ちかけてくるよ。そこでこの戦争はおしまいだ。
 そしたら婿さんの面倒を見さしてくれ」


冷静な判断と共におやじ臭いいんぎん無礼な態度から、

「あ、ああ、フィアンセがいたっけな。ああ、すまんすまん」


と悪気はないように振舞うのですが、こういった点から人間性として敵に回すと嫌なやつでしか無いと同時にフィアンセであるカムランの登場をちらつかせるので、ミライのことを気になっているブライトも思わず他人行儀な感じでイラついてしまう。


また補充要因としてホワイトベース配属になったスレッガー・ロウ中尉の骨太な印象を
思わせながらもお調子者で軟派という印象
から、挨拶でのシーンでミライとあった際に、

「ははは、俺もついてきたな、こんな
 きれいなお嬢さんとご一緒できるなんて」


ということから思わずカイが持っていた紙飛行機をスレッガーに向けて飛ばし
似たもの同士か?と思わせてしまう描写で嘲笑するシーンがやけに印象的。


しかもミライに対し敵の攻撃で偶然にも接触するシーンからこの後の展開を予想させたり
ブライトに対し同じ階級であることも加わってか?お調子者で軟派な態度に業を煮やし

「中尉、一言言っておくがあなたは
 私より年上だが指揮権は私にある。それを」


と嫌悪感丸出しの態度で接するのですが、実際には砲術・戦闘機の操縦に長けた職業軍人であり確実な手段で敵を討つことを重視していることから、このギャップが悪い方向に見られるほど、反感になってしまうのだと筆者はそう分析している。


実際にシャアがザンジバル級機動巡洋艦でホワイトベースに半ば特攻の形で攻められたときもまともに直撃させたのはスレッガーただ1人であり、彼の活躍は今後のホワイトベースに影響するので、いい意味でも悪い意味でも見逃せない。


またセイラに対しても職業軍人としての的確な判断からか?

「んー?あんた、男の人の事で悩んでる相が出てるよ」

と前回シャアとしてジオン軍士官となりザビ家滅亡をたくらむ兄キャスバルを思うところからそのことが気になってしまったのか?ホワイトベースブリッジでの意味深な感じで、

「シャアがでてくるわ、必ず来る」


予感を的中させることからさまざまな面でニュータイプ部隊の片鱗を見せだしている。


結果としてはスレッガー中尉を中心に偶然の出来事が重なったことからそれぞれの思いや思い込みから悩みの部分が目立つように描写されているのですが、これもまた後々に展開する「前フリ」となっており、作品を見返すほど「あのフリかあ~」と思えるため、

こういった部分を感性として富野由悠季氏は感じて欲しかったのかもしれませんね。

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ガンダムVSビグロ!たった3機の編成で大苦戦してしまった要因とは

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今回の話でも新型モビルアーマーである「ビグロ」とドムの腰部、脚部、背中部分をスラスターノズルで宇宙用に改良したリック・ドム2機でホワイトベース隊を襲撃することになるのですが、たった3機の敵であるのに実際には大苦戦してしまうことから、


宇宙戦でも大丈夫か?と思える描写が子供の頃に見た筆者の感想として非常に印象的。


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リック・ドムが2機出てきた理由もジオン軍の切迫した事情を示しており一部性能では脚部の熱核ロケットエンジンが生かされる高機動型ザクIIが戦力として使えることからこれらを量産化しようとしたのですが、陸戦型であったドムを宇宙用に開発したほうが、

取り回しの手間がさほどいらない割にコストも抑えられ、装甲の厚さなどのやられにくさも兼ね備えていることで宇宙用に改良。宇宙では頭から突進する形が基本になるので頭が上に向くことも改良して次世代機の開発までのつなぎとして採用することになる。


ビグロに関しても最終戦線であるア・バオア・クーでも数機量産されたことから優秀なモビルアーマーではあるのですが45.5mという大きさからコストの面や下側など死角が意外と大きいことや、白兵戦に持ち込まれると対処不可能になる欠点を持っている。


この点はセイラがGブルイージーでビグロのクローでつかまった際に、

「な、なんてパワーなの。けど、引っ掛け方が悪かったわ、ビーム砲で」


接近戦が弱点であることを示していたのですが、アムロがガンダムになってつかまった際にもあまりにもすざましいG(重力)が影響することから理論ではわかっていても対処が厳しいことをこの話でもしっかりと描写されている。


戦術は対艦戦用や今回のように高速で近づいては離れる一撃離脱戦法を重視しては、ある程度距離を置きながらミサイルランチャーやメガ粒子砲で倒す戦術が向いているのですが、


これもある程度の重力耐性を持っていないと乗りこなせないのでトクワンの操縦を見て、

「ま、まさか、このモビルアーマー、兄さんがパイロットだなんて」


とセイラが勘違いしてしまうのも、ビグロの特性を生かしているため仕方が無い。


出撃する際にアムロはGスカイ、セイラはGブルイージーとお互いに爆撃機として出撃して
しまっている点でリック・ドムを含め、大苦戦してしまった理由になったのですが、

「気を付けてください、スピードを上げると重力に引っ張られて
 落下します。絶えず上昇する気分で飛行してください」


のアムロのセリフから第5話の「大気圏突入」の逆バージョンである地球の重力に引かれないよう推進力のある高速爆撃機で対策した結果、裏目となってしまった結末に過ぎない。


このような誤算からか?修正するようにブライトもカイのガンキャノンを出すのですが、

「さてどこだ?俺だっていつまでもふさぎ込んでいる訳には
 いかねえんだ、よくやれると思うよ、セイラさんもアムロもよ」


というセリフが後手に回されている感じなので最初からガンダムとGファイターで出撃すれば!と思わせるのはブライトがスレッガーに乱されているせいなのかもしれません。


こんな感じでカイの援護射撃によりビグロの対象から避けられたアムロは大気圏に引っ張られて落下していくセイラのGブルイージーをミサイルの爆風で速度を落とし本来のガンダムとGファイターで応戦することでセイラがリック・ドム1機の攻撃を回避して撃破!


アムロもビグロの欠点に気づいたのか?

「速ければ狙いも正確でなくなる」


というセリフから腹の部分に飛び込むのですが、実際にはビグロの急加速でGがかかりアムロは気絶。よだれを垂らしたまま気絶するシーンは異様にリアルなのですが、クローでつかまれた衝撃で目を覚まし、そのことで思いついたのか?


クチバシ状に開かれるメガ粒子砲めがけビームライフルで逆転勝利!とハラハラする展開。


またしてもアムロの驚異的な才能のおかげで辛くも撃破出来たのですがシャアの特攻を含め一筋縄ではいかない点が印象に残ることから今後の戦いの厳しさを予感させてしまうのです。

シャアの追撃?セイラが予感した苦悩とザンジバル特攻で感じる恐怖

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本来シャアはマッドアングラー隊として地球連邦軍の水中部隊を排除することが目的ですのでトクワン大尉という「このヒゲのおっさん誰?」といきなりそう思える描写なのも、

シャアのホワイトベースとガンダムに対する執念が原因であり宇宙へ向かう戦艦がトクワン大尉が艦長であったザンジバルだけが宇宙にいける唯一の戦艦だったことから、ビグロとリック・ドムの宇宙実験をする予定がシャアの命令で即、実戦投入となってしまう。


このことに対しシャアも気にしていたのか?

シャア「ご苦労だった。キシリア殿はお怒りだったのか?」
トクワン「はあ」
シャア
「我ながらそうは思うよ。このザンジバルがビグロの
 実戦テストの準備をしていなければ木馬を追いきれなかった」


とあるようにシャアは完全に命令無視!ホワイトベースを追うことに執着しすぎている。


本当はシャアが上司であるキシリア少将の命令を無視しているので、軍隊としては懲罰ものであるのですが、結果としてホワイトベースに圧力をかけることになるので視聴者としても何の疑問もなく、予想出来ない展開にハラハラさせられることになってしまう。


そのためか?今回でもスレッガー中尉のつかみづらい特質からかき回されるように展開しては兄であるシャアにセイラが悩んでいることを間接的にスレッガーに指摘されたからか、

「シャアがでてくるわ、必ず来る」


セイラがと何かに取り付かれたように宣言するので、ブライトもミライも疲れていると
思い、シャアもホワイトベースの行動がおとりであるということに気づいたせいか?

シャア
「引っ掛かったんだよ、我々は。木馬はおとりだ。
 今頃南米のジャブローからは別の艦隊が発進している頃だ」

トクワン「ならば、転進してそれを」

シャア
「本気か?我々が背中を見せれば木馬が攻撃してくる。
 この機会に先制攻撃を仕掛けるしかない」


何とか先手を取るのでブライト達との駆け引きも見どころとなっている。


また前回の話でカツ・レツ・キッカを探している際、偶然にシャアと会ったことから、

「もし、ザビ家に対して仇を討つ為なら、
 そんな生き方、私には認められない」


とセイラはそう言いながらビグロに対し、兄が乗っているのでは?感づく点や、


シャアがホワイトベースに対し意外と手こずることから、

「木馬の奴、なかなか手馴れてきたな。艦長が変わったのか?

 しかし、まさかとは思うが。民間人があのまま
 軍に入って木馬に乗り込むなぞ。

 アルテイシア、アルテイシア、しかしあの時の
 アルテイシアは軍服を着ていた。聡明で、戦争を
 人一倍嫌っていたはずのアルテイシアが、

 フフフ、再び宇宙戦艦に乗り込むなどありえんな」


並行する想いだけが交錯しては今後の展開を予感させるのでこの点も見逃せない。


このままだとホワイトベースはシャアが指揮するザンジバルに後ろを取られるために、スレッガー中尉の案通り、右に回り主砲で応戦となるのですが、これに対しシャアは射撃戦では無く特攻による接近戦を試みるので、ブライトも冷や汗をかいては、

「シャアだ・・・こんな戦い方をする奴はシャア以外に
 いないはずだ。セイラの言った通りだ、シャアが来たんだ」


という形ですれ違うように砲撃で応戦となりスレッガー中尉の主砲攻撃がザンジバルのエンジン部分を直撃!後部ミサイルでやっつけたように見せて撤退するというケレン身あふれる展開で幕を閉じるのですが長距離で使う超大型系「Jミサイル」が使えないこと。


ホワイトベースの射程が不明であること接近戦に怖気づくことを知っていることから、

「よし、木馬にぶつかるつもりで突っ込め
 うろうろ逃げるより当たらんものだ。私が保証する」


完全に越権行為としか思えない行動でホワイトベースに特攻を仕掛けてしまう。


結果としては「エンジンに当たっているやん!」と突っ込みどころ満載でありビグロと
リック・ドムを一機ずつ失うことになるので、本来ならば完全に失敗だと思えるのですが、

「あせるな。奴らは我々の庭に飛び込んだ
 ヒヨコだ。まだチャンスはある」


何を根拠に断言するのか?大佐になってからやりたい放題のシャアなので戦闘後の変な興奮に包まれるホワイトベースクルーとは対照的に「大丈夫か?シャア」と思えてしまう。


このような形から優位な状態での敗北と不利な状態での勝利を繰り返すことから、宇宙に出たホワイトベースの戦いも、失敗をしているシャアでありながらも何かしら不気味な自信から嫌な予感をさせるのも、いろんな意味で「前フリ」なのかもしれませんね。

レクタングル(大)
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