ガンダムがオデッサの激戦で水爆をぶった切るまでの計算された攻防戦

機動戦士ガンダム 第25話「オデッサの激戦」は地球連邦軍が形成逆転になるキッカケとなることや物語としてもターニングポイントとなるため、いろんな部分が名シーンとして語られるくらいそれぞれの人としての思いがしっかりと描写されている。


今回の話では地球資源奪還のためのオデッサ作戦を中心に黒い三連とマ・クベのやりとりや、スパイであるエルラン中将を追い込むアムロ。南極条約違反で発射された水爆の対処など手に汗握る攻防として展開していくのですが、これらが複雑に入り組んでいるため、


今回も大人の目線で1つ1つ紐解いていくことにしましょう。

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目次

・オデッサ作戦開始!黒い三連星の絆と相反するマ・クベの苛立ちの意味。
・暴かれたスパイ疑惑!エルランVSアムロで伝えたかったこととは?
・黒い三連星の逆襲と水爆発射!アムロが起こした奇跡の特殊能力とは?

オデッサ作戦開始!黒い三連星の絆と相反するマ・クベの苛立ちの意味

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オデッサ作戦とは地球の中でも一番の鉱山地帯と同時に東ヨーロッパ工業地帯も含まれていたことから、ここを取るかどうかで資源確保と軍備拡大。この2つを左右していたことから、膠着している現地点での決め手となるため両軍共に必死な戦いとなっている。


筆者がこう語るのもオデッサの戦いに見切りをつけ早々にザンジバル級機動巡洋艦マダカスカルで宇宙に逃げ帰るマ・クベが遺産として残す壺を指で鳴らしながらいった、

「戦いはこの一戦で終わりではないのだよ。考えてみよ、我々が送り
 届けた鉱物資源の量を。ジオンはあと十年は戦える。フフフフフッ」


とあるようにそれだけ送ってもまだ大量に残っていたことから、オデッサ鉱山を
奪還することがどれだけ大事か?
聡明な読者なら理解出来ると思える。


その中でもオデッサ作戦前に戦死したマッシュの弔いに対し、

「キシリア様の推薦があった兵士とはいえ、いつまで無駄な時間を
 潰しておるのかガイア、オルテガ、作戦は開始されているんだぞ」


と苛立つシーンが相反するように印象的なのですが、これも前回お話したようにガイヤ、マッシュ、オルテガの3人はジオン軍が独立戦争を挑んだときから三位一体の高家気で戦果を挙げてきた戦友であり、歴戦の勇者として残った2人がたたえていることから、

「わかっておるわい。言われずとも仇討ちはさせてもらう」


という返答をしてしまったために、

「仇討ちではない。我が軍のうしろを
 乱そうとする木馬を叩く、これは作戦だ」


余計にマ・クベを苛立たせる原因となってしまう。


マ・クベからすれば、鉱山やオデッサ作戦での戦果は上司であるキシリアに対する評価でしかないので、自分の足を引っ張るものは味方であっても切り捨てることしか考えない。


この点はランバ・ラルへの協力やオデッサでの戦いの終結でも、敗退と見切った地点でオデッサの基地司令の立場を捨て、多くの将校が残っている状態で宇宙に逃げ帰るという。


こういった狡猾部分が目立つころから、上司には絶対にしたくないタイプである。


このような性格が災いしてか?ガイヤとオルテガのドム2機はオデッサ戦線での中核としてエルラン中将が裏切りを予定して攻撃を薄くしていたところから、突撃隊となる予定が、ガンダムへの仇討ちにこだわり過ぎた点で地球連邦軍の物量作戦で手こずり、

予定していた水爆作戦も想定外のことで失敗に終わったことから、現場の気持ちを汲まないマ・クベの行動から、オデッサ戦線の結果は最初から決まっていたのかもしれません。

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暴かれたスパイ疑惑!エルランVSアムロで伝えたかったこととは?

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この話の冒頭からオデッサ作戦は開始されており、自分のために戦死したマチルダの余韻が抜けきれないせいか?整備クルーに当たるアムロの描写が生々しいのですが、ホワイトベースの進路の偵察を兼ねて、セイラがGアーマーに慣れようとする部分から、

エルラン中将のスパイ容疑を暴露していく部分まで丁寧に描写され、アムロの怒りとも
言える本音が向けられるので、ファンとしてはこの気持ちを忘れてはいけない。


これもまた富野描写の1つである偶然に見せかけた必然的導線として1つの出来事から導かれるように結果となってつながるのですが、今回も敵の最前線であるのに連邦軍の小型連絡機で戦闘力がほとんどないドラゴンフライが1機だけ悠々と飛んでいることから、


Gアーマーで発見したアムロとセイラは不振さしか感じず、

「そういえばマチルダさんが言ってたな。
 ミデアの動きがジオンに筒抜けのようだって」


と第23話のホワイトベース補給任務の際にミデア5隻が強襲されたことから、ドラゴンフライに乗っていたジュダックに対しスパイ容疑をかけるためレビル将軍が搭乗しているビックトレーに向かうことになる。


このことに関してもホワイトベースでもレーダーでキャッチしており、

「確かにな。しかし、スパイの為にミデアがやられたと
 すれば、その実態は作戦開始前までには掴みたいものだ」


とブライトやミライもスパイがいることに感づき、作戦予定時間よりも早くドムと交戦してしまうことになることから、きな臭い部分しか感じないのですが、これに関しても写真のネガという部分から時代を感じさせ、証拠を突きつけられたエルラン中将から、

「では処刑しよう。ジュダックと、そして君もだ、ここは戦場だ。
 お前一人死んでも誰もとがめないだろう。それに、私は将軍だ。
 お前ごとき子供が何をわめこうと」


大人の答弁とばかりに暴露し始めるので、アムロも反射的に、

「あなたは!あなたみたいな人がいるから」


死んでいったリュウやマチルダのことを反射的に思いながら怒りをあらわにする。


この地点でアムロは丸腰なのでエルランに銃で撃たれるのですが、ジュダックは連邦士官に取り押さえられる上に自分は窮鼠の状態だということを把握していないので、連邦兵のスナイパーに肩を撃たれ、自分の立場が危ういことに気づいていない。


まあそういったバカだからこのような失態になるのですがこの後のアムロのセリフ、

「あなたにも事情があるとおっしゃりたいんでしょ。
 けれど違いますよ。あなたみたいな方のおかげで
 何十人となく無駄死にをしていった人がいるんです。

 わかりますか?あなたみたいな人のおかげで


という部分が戦争という理由では済まないやるせない怒りと悲しみ
に満ちあふれ、放置しておいたらエルランを殴り殺すのではないか?と思えるような感情がこみ上げてくる。


これにより獅子身中の虫を排除しアムロは戦場に戻るのですが、この後もアムロの奇跡的な特殊能力により救われるまでは敵の戦力は手ごわいために、気を抜くわけにはいかない戦いが続いていくのです。

黒い三連星の逆襲と水爆発射!アムロが起こした奇跡の特殊能力とは?

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エルランとジュダックのスパイ2人を拘束してスッキリさせたところから、ビックトレーが前進!オデッサ作戦決行となるのですが、その戦いの描写やナレーターの説明、

「オデッサの戦いが始まった。マ・クベ軍もレビル軍も、
 持てる物量を最大限に投入しての激突であった。」


とあるのですが、実際にはあっさりした感じでホワイトベース隊を中心に展開して
いくことから、何かしら印象が薄く感じるのは筆者だけでしょうか?


後日談ではジオン軍1に対し連邦軍は3の比率。つまり戦力でいうと8倍の3000機以上の爆撃機で日本がアメリカに敗戦したような感覚が強いことから、その点を配慮しての戦争描写が薄いのですが、現実には圧倒的な物量投下による集中砲火により、


わずか3日で決着がついたためマ・クベも消耗戦を避けるよう宇宙に逃げ帰ってしまう。


また大きな敗因になったのもエルランが連邦軍の攻撃を薄くした部分を黒い三連星が
突撃隊として叩く予定がスパイ容疑で拘束されたことにより見抜かれてしまった部分。


薄くなった戦線をわざと突破させ逆に相手の薄くなった戦力を囲うように爆撃機で撃破。


肝心の黒い三連星はマッシュの仇であるガンダムを探すことしか頭に無かったことやホワイトベース隊のガンキャノンとガンタンクに足止めされたことから、決め手が無くなり、物量作戦に成すすべもなく押されてしまう羽目になってしまう。


こういった部分が裏にあるのに意外とあっさり描写されているので、子供の時に見た印象は、アムロの奇跡的な特殊能力だけが目立っているのですが、ここでもまたマ・クベの狡猾な駆け引きが関係しているので、奴を中心に戦線での攻防が目まぐるしく入れ替わる。


戦闘ではマ・クベが南極条約違反の「水素爆弾」を盾にレビル将軍を脅すのですが、

「レビル将軍は一言も語らなかったという。
 ただ、前進を示す為の手を振っただけである、と」


と全く動じないのでこれに対してマ・クベも、

「これは駆け引きなのだよ。連邦側は我々の要求を無視した
 のだ、彼らはその報いを受けるのだよ。ミサイル発射」


と水爆にしては小さすぎるようなケレン味のある赤いトマホーク型で発射される。


マ・クベからすれば駆け引きかもしれませんが、人間が住めなくなる環境破壊の兵器を使っている地点で人として駄目だろ!と思えますし、こういった汚い手を使う奴の言うことを聞いても後々絶対に不利になることを見抜かれているので、駆け引き以前の問題。


結局、上の判断というのは下っ端が尻拭いをすることになるのでブライトの指示で
水爆を止めるためにビームサーベルで「点線の所で叩き切ればいい」と言われても、

「こ、こんな雑な分解図で役に立つんですか?」


強敵であるドムを無視してでもやれという命令にアムロも本音として漏らしてしまう。


またGファイターで挑んだセイラは慣れないこともあってか?オルテガのドムのジャイアントバズで直撃を喰らい、Aパーツが故障したため、ガンタンクのコア・ファイターと合体させ「Gスカイイージー」でハヤトが代わりに発進。

ガンダムは前回の戦いで燃料補給しかしておらず、黒い三連星もマッシュの弔いでジャイアントバズを無駄に撃っていたことから肝心な部分で白兵戦となり、歴戦の勇者である奴ら相手でも何とか2対2で応戦することが可能となる。


ここまでくると完全にお膳立てしていたような肉弾戦になるのですが、Gスカイイージーに乗ったガンダムが空中戦を制したことによりオルテガのドムが真っ二つで戦死!

「オ、オルテガが。おのれーっ」


とガイアが逆上したところでブライトから水爆を爆破させずに撃墜させるという無茶な命令が来るので、ここからニュータイプの片鱗を見せるように奇跡の特殊能力を発動!


ガイヤのドムにGスカイイージーから落とされたときに水爆を肉眼で確認したことから、降下しながらガンダムをヒートサーベルで突き刺そうとするドムを持っていたビームサーベルで腹部を刺し、Gスカイイージーに乗りジャンプと同時に左側のビームサーベルで、

「やあーっ」


と必死な形相で水爆にあった点線部分をぶった切るので何度見ても手に汗ものである。


この点に関してはブライトが気休めで言った、

「水爆が本物ならここもやられるんだ。やるしかない、アムロ」


というセリフから敵も自分達がやられるのに本物を使うわけがないという安心感を植え付け、アムロにやる気を出させたのですが、爆発の規模を考えると偽者だった可能性から、

狡猾な作戦ばかりのマ・クベにそこまでの覚悟があるとは思っていなかったのだろう。


こんな感じでそれぞれのエピソードを踏まえながら、ホワイトベースクルーとれビル将軍以下、士官達が向かい合い、アムロとレビル将軍の握手により会見としてオデッサ作戦での勝利が語られるのですが、これもまた物語の折り返し地点として全ての人達が、

報われた思い」として描写されるのですが、ザンジバル級機動巡洋艦マダカスカルで
宇宙へと早々に脱出するマ・クベを見るほど、戦いは本当に報われたのか?


敵味方関係なく腹立たしく思えるのは戦いの勝者が必ずしも正しいとは言えず
この後にも犠牲者が増えていくからのかもしれません。

レクタングル(大)
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