無敵鋼人ダイターン3は前作で「皆殺しの富野」の異名が伝説となるシリアス一辺倒の
人が死にまくるものから一掃され、スカっと爽快!でありながら、どことなくギャグや
コミカルなシーンで視聴者を笑わせる。そんな感覚が大きい作風になっています。
これもまた前作の無敵超人ザンボット3があまりにも悲惨すぎてトラウマになったこと
で23話までしか作成出来なかったこと考えると、会社としての存続や今後の支持に
関わるからだと思えるのですが、どんな工夫がされているのでしょうか?
ひとつひとつ紐解いていくことにしましょう。
目次
・無敵なプロフェッショナル!そんな漢に男が惚れた?
・思わず叫びたくなる?ダイターン!カムヒヤー!
・「快男児」破嵐万丈と仲間達の活躍が熱くカッコいい!
・最終回は意外とシリアス!破嵐万丈の本音とは?
無敵なプロフェッショナル!そんな漢に男が惚れた?
無敵鋼人ダイターン3は当時1年プランが多かったアニメより40話と少ないものの
無敵超人ザンボット3と同じく1話簡潔方式のオムニバスを使うことでどの話からでも
無理なく主人公、破嵐万丈や仲間達の活躍、敵に関しても没頭しやすい作風である。
今でも圧倒的にロボットアニメの中で何に乗りたいか?と聞くと高確率で破嵐万丈が
操るダイターン3というのも、破嵐万丈自身の設定が無敵なプロフェッショナルであり
大金持ちでありながら、どこか人間臭く、ドジでマヌケ!おまけにスケベとあるので、
この辺が爽快!かつ男らしいと思えるほど男が惚れる要因とまで思えてくる。
またダイターン3に関しても今までのロボットアニメでは特殊だと感じています。
サンライズでは前作の無敵超人ザンボット3が売れたことでメカ設定はコストや作画の
関係性で同じようにしたのだが、あまりにも同じだと視聴者が飽きてしまう。
そこで以前ボツになった3段階変形の「ボンバーX」を元に3つのタイプに変形する
ダイターン3を考案して後番組として変化をつけたところこれが大人気!
設定としては万丈が敵の本拠地である火星から逃げる際にメガボーグの試作型である
ダイターン3と大量の金塊を盗む設定はいささか関心はしない点でもありますが、
ダイターン3が人気になった理由もこのセリフが決めてとなっている様子。
世のため!人のため!悪の野望を打ち砕くダイターン3!
この日輪を恐れぬならば、かかってこい!!
まさに今から悪を倒すぞ!と宣言しては最後にはキッチリと額にある日輪から放たれる
「サンアタック」で打ち抜いてはととめ!の一撃として「ダイターンクラッシュ!」の
蹴りで打ち抜くのですから、これほどカッコイイものは無いと思います。
思わず叫びたくなる?ダイターン!カムヒヤー!
無敵鋼人ダイターン3は父が火星開拓のために作成されたサイボーグ「メガノイド」が
人間よりも優れていると父自身も過信してしまったため、妻や兄もメガノイドにされ
人類を支配する話なのですが、破嵐万丈自身、そんな父とメガノイドを恨みながらも、
そういった逆境にめげずに明るい面を見せて1話1話メガノイドを倒していく光景が
何とも爽快で視聴者の印象も気持ちいい軽快なストーリーであることが大きい。
また無茶苦茶でケレンミのある話が多く、万丈自体お調子ものでうぬぼれが強かったり
スケべでどうしようもないシーンが多いのに、メガノイドを思わせるような怪力を放ち、
007のジェームスボンドもビックリの逆転劇があるのでスカッとする展開も好印象。
その話にしか出てこない美人にニヤける万丈に思わず嫉妬するアシスタント美女の
レイカやビューティ、思わす真似したくなるダイターン!カムヒヤーの掛け声
は今までのアニメに無かった展開でしたので、僕も子供心にあこがれたものです。
「快男児」破嵐万丈と仲間達の活躍が熱くカッコいい!
キャラクターも独特の強い個性を放ちながらも心身共に強い精神力でくじけることの
無い信念を持つ破嵐万丈を筆頭にボンドガールを思わせるような感覚でサポートする
美女レイカ、ビューティ、執事のギャリソン、少年のトッポなど仲間の行動も目立ち、
ケンカにつながるほど本気で言い争ったり、助け合ったりする場面から信頼が強く
結ばれるシーンがあるので、日本人受けするシーンが多々組み込まれている。
またダイターン3がロボットアニメの中で異色と思えるのもダイターン3自体が
誰でも操れてしまうという点。アシスタントのレイカやビューティはもちろん、
執事のギャリソンや子供であるトッポまで操り肝心の万丈はサンドイッチを食べて
高みの見物をしていたシーンは「そんなのアリ!!」と驚かされた印象が強い。
基本はメガノイドとダイターン3の対決がお決まりですが、メガノイドの会話や
万丈の仲間とのやり取りなどさまざまな個性が熱く光っていたからこそダイターン3
は視聴者に受け入れられ今でも不動の人気を得ていると思えて仕方がありません。
最終回は意外とシリアス!破嵐万丈の本音とは?
メガノイドとの戦いもボスであるドンザウラーを倒すことで終止符を得ることになる
のですが、ここで初めてシリアスな光景がどんどんとあふれ出ることになります。
これもまた作品の終わりとして何が言いたかったのか?
富野由悠季氏の作品へのこだわりが凝縮されていると思えるので、ここからでも富野氏
の思考がいろいろと読み取れるだろう。ここからはネタバレになるので注意して読んで
いただきたい。
まずは破嵐万丈が宿敵であるメガノイドのボス!ドンザウラーを倒した時に妻である
コロスもドンが死ぬことでショック死するのですが、そのことに対し無音となり、
僕は・・・・嫌だ!!
とシリアスな顔ではき捨てるように終止符を打ちます。
これもまたメガノイドを心底憎んで挑んだ末路やメガノイドになることを懸念した万丈
の深いセリフだと思えるのですが、ここにも戦争のむなしさや父が歩んだ間違った道を
万丈なりに不快感を示しているのだと思えてくる。
またこの後、目的を果たしたため、アシスタントや執事のギャリソンが万丈屋敷を去る
のですが、ダイターンのテーマが流れる演出と共に、誰もいない屋敷に明かりがつくの
は何かしら意味深なメッセージを思わせるように感じました。
何せ最後まで何故万丈が火星からダイターン3の試作型と金塊を持って逃げないと
行けなかったのか?妻と兄はどうなったのか?明かりのついた意味は?と謎めいた
最後となっていることがとても不思議だからです。
作品としては作画の不安定さ、再編集シーンの連続と褒めたるものが無いのですが、
こういった意味深の部分を残すことで視聴者に対し、興味を抱かせる点を考えたので
あれば、富野氏がいかにして異質であるか?改めてわかるような気がしませんか?