戦闘メカ ザブングルは砂漠や荒野といった悪化環境した未来の地球「惑星ゾラ」を
舞台に支配階級であるイノセントと支配される大衆層シビリアンの生活を描いた物語。
イメージとしては西部劇のような舞台で商人や用心棒、盗賊などさまざまな人が
その日を力強く生きており、世界観の全てをエンディングでも物語っているのですが、
富野由悠季氏の作品としては珍しい構成が多いことにファンとしても大変驚かされる。
では一体どんな部分が今までの富野作品には無い驚かされる部分なのでしょうか?
目次
・ザブングルの「3日の掟」を守るシビリアンの真実とは。
・ザブングル!まさかの2番機?主役機の交代劇まで出した真意とは。
・ブルーストーンの存在は一体何を意味するのか?
・戦闘メカ ザブングルで富野由悠季がやりたかったこととは?
ザブングルの「3日の掟」を守るシビリアンの真実とは
今でも戦闘メカ ザブングルというと「3日の掟」が印象的と答える人も多いはず。
この掟は以下のことを支配階級であるイノセントが定めているため、これを破る
と何かしらの制裁で消されることから、シビリアンの中では逆らうものはいない。
イノセントにより定められシビリアン達の間に浸透している法律。
「盗んだものでも三日経てば自分のもの」で、「これを破ったものは、後ろから撃たれても文句は言えない」とされる。イノセント側も同じ。
正式には「三日限りの掟」と言い、このようなザックリな法律だけしか制定していない理由
も知能が低く、体力が異常に高いシビリアンを徹底的に管理しやすいことから制定していた
のですが、主人公ジロン・アモスの両親がティンプという流れ者に殺されたことにより、
一週間以上!ティンプを殺すために追いかけることからイノセントに睨まれ、砂鼠を意味
する「サンドラット」女盗賊ラグや交易商人「キャリング一家」のお嬢様であるエルチなど、
さまざまな人を巻き込みながら、三日限りの掟に疑問を抱かせる行動を繰り返していく。
シビリアンは知能が低いのか?本能で生活していることが多く、大体がブレーカーと
呼ばれるその日暮らしの用心棒や盗賊、商人が大半のため、男性は狩猟本能から欲望的
女性は感情起伏でしたたかなキャラが多いのですが、3日の掟は神のように等しい様子。
戦闘メカ ザブングルは「みんながやっているから!従っているから!」という部分を
たった1人の主人公が本能から「何故?」と思える部分を訴えているので見ていくうちに、
人に流されず正しい!と思えることは争ってでも訴えることや
そのことで苦労をしても正しいと意思を貫けるか?
そんな感覚をテーマにしているので現代人が見習うべき魂の叫びなのかもしれません。
ザブングル!まさかの2番機?主役機の交代劇まで出した真意とは
戦闘メカ ザブングルではウォーカーマシンと呼ばれる様々なロボットが存在しており、
主人公ジロン・アモスの腕前とザブングルの軽快な動きと爽快なやっつけぶりから視聴者で
ある子供には大人気!同時期に出たプラモデルも僕の周りでは人気が集まっていました。
そういった背景が大きかった反面!当時では主人公機になるのか?と思われたザブングルを
抑えるために、まさかの2番機出現でビックリさせられたり、新型機ウォーカー・ギャリア
に乗り換えるという、当時では斬新な設定に「何故?」と思った人もいるのでは?
この理由も当時、戦闘メカ ザブングルは「エクスプロイター」というシリアスな宇宙物。
つまりガンダムのような感じのロボットアニメをイメージしていたのですが、監督が降板
してしまったため、富野氏がテコ入れして無理に西部劇風にしたためだと語られている。
そのためSF物として考案されていたザブングルは当時機動戦士ガンダムⅢやイデオンの
劇場版制作で忙しかった分、部下に設定だけ指示してはメカに関してはそのままの流用で
あったため、ザブングルのデザインと西部劇とのイメージにズレが生じたことから、
専用機という概念よりもイノセントから支給されたウォーカーマシンのひとつとして考え
後継機に富野氏が理想としていたウォーカー・ギャリアを乗り換えという形にしたそうな。
こういった背景から主人公達が旅する際のランドシップである「アイアン・ギアー」も同様、
イノセントからの支給品であり同型で色違いのグレタ・ガリー、ギア・ギアなど特別な
戦艦ではない!という意識付けでアニメ上ではつじつまを合わせようとしたのですが、
肝心のスポンサーであるおもちゃ会社はそれでは売れない!ということで無駄に合体や
変形を加えることで、今でも人気沸騰するロボットとして売れ続けているようですので、
ランドシップであるアイアン・ギアーが変形するのもこれが要因のようである。
ブルーストーンの存在は一体何を意味するのか?
イノセントは惑星ゾラに適すことが出来ず、短期間で死亡することから、通常はドーム状
の人工機関で住んでいるのですが、そういった状況を知りながらもシビリアンが従っている
のも、ウォーカーマシンなどさまざまな資源を優遇されることが大きな要因である。
またウォーカーマシンが出てくる理由もイノセントに取って大事な鉱石「ブルーストーン」
これを掘り出す作業機械であることが主な要因なのですが中には功績が大きいほど用心棒用に
戦闘化したマシンまで貰えるので、生活物資からウォーカーマシンまで生活を潤わせるために
シビリアンの誰もがブルーストーン目当てに採掘や略奪が跡を絶たない状態を形成している。
ブルーストーン(BS)とは青い色の鉱石であり純度によって価値が違うのですが、
「何の価値もないもの」
として富野氏が語っており、小説版ザブングルでも転用できる価値の無い信用通貨のよう
なものとしてシビリアンを管理するために使われ上納されたものは全て破棄されていた。
シビリアンの噂では「水のあるところにブルーストーンは存在しない」とか
「燃料であるガソリンにブルーストーンを入れると爆発的パワーを生み出す」など、
さまざまな憶測が語られているようですが、実際には知能が低い割に無駄に戦闘力が
高いシビリアンを管理するためのイノセントの苦肉の策だったのかもしれません。
戦闘メカ ザブングルで富野由悠季がやりたかったこととは?
戦闘メカ ザブングルは予期せぬ前任の降板!ということで忙しい間で引き受けたことから
最初は各スタッフに任せっきりだったようですが、後半になるほど仲が険悪になるほど
当時の富野氏のこだわりにこだわった設定になっていることが知られていない。
主人公ジロンやキャラクターの目がネジに似ているのも元作品である「エクスプロイター」
やキャラクターデザインの湖川友謙氏の案で任せていたので、富野キャラとしては珍しい
形であるのですが、富野氏の西部劇のように派手なロボットアニメを!という点や、
誰も死なない作品にする!という決意の上で作成されたため、3日の掟を破っての
敵討ちでありながらも、明るいコメディタッチで進めており、敵キャラであっても
どこかしら憎めない感情を抱かせるので、富野作品としても異質さを放っている。
このようなことから力強さと生きていく大事さを思わせるため、高度成長期時代で
憧れだったガソリン車をモチーフに軽快なハンドルさばきで襲い来るブローカー達を
やっつける。
そんな感覚で作成されたザブングルは今でも生きるバイブルのように思えるのですが、
敵味方関係なく最後まで「生きる」という点にこだわった演出をしている本作品を
見るたび何かしら人生を教えられる心境になるのは筆者だけでしょうか?
「3日の掟」だけは僕自身もカンベンですけどねえ~(笑)