聖戦士ダンバインのファンタジーとオーラマシン設定は大失敗だった?

聖戦士ダンバインは生死以外には行くことが出来ないバイストン・ウェルという空と海の
間にあるRPGの世界のような場所でここを支配しようとするアの国の地方領主ドレイク
・ルフトとギブン家以下、反ドレイク派の血で血を洗う戦争を描いたお話。


アの国の地方領主ドレイク・ルフトが幽閉している妖精の姿をした女性、エ・フェラリオ
シルキー・マウ」に地上とバイストン・ウェルをつなぐオーラロードを無理やり開き
主人公ショウ・ザマを召還。オーラマシン「ダンバイン」と呼ばれるロボットを操作して、

バイストン・ウェルを支配するように協力を求めるのですが、それを阻止するギブン家側
の地上人でアメリカ人女性マーベルとの出会いにより、ギブン家に寝返り反ドレイク派と
して地方の国々と協力しながら、バイストン・ウェルの平和を描いているものである。


リアルロボットというジャンルが制定されつつある当時としては珍しくRPGを思わせる
ファンタジー設定や昆虫を思わせるオーラマシン「オーラバトラー」の導入は洗練された
アイデアで今でも大人気なのですが、冨野氏は第1話から大失敗だ!と思った様子。


では何故、富野由悠季は聖戦士ダンバインを大失敗だ!と思ったのでしょうか?

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目次

・早すぎた洗練アイデア?ファンタジーとオーラマシン設定がアタに。
・聖戦士ダンバインは第1話から大失敗だった?冨野氏が語った苦悩とは。
・本来出る予定では無かったビルバインは何故主役機交代として出たのか?
・バイストン・ウェルの戦いは何を言いたかったのか?

早すぎた洗練アイデア?ファンタジーとオーラマシン設定がアタに

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聖戦士ダンバインではロボットアニメとしては異質であり、どちらかといえば中世の王族
騎士・貴族やファンタジー物に出てくる妖精やモンスターなどが出てくること、展開の
想像がつきにくい点に冨野氏独自のガンダムに似た思想が織り込まれていたことから、


わかりにくい展開、独創的なデザインに加え視聴者がなかなか受け入れなかった様子。


この理由も視聴者の間ではファンタジーとロボットアニメの融合という観念が浸透して
おらず、なじみの無い世界観と子供には難しい政治や戦争での戦略などが受け入れられ
ないことから、聖戦士ダンバインの視聴率はどんどんと下がってしまうのですが、

それ以上にオーラマシンであるオーラバトラーも子供とおもちゃ会社からは不評であり
それが原因かは知りませんが、TV放送中にスポンサーのおもちゃ会社が倒産するなど
トラブルが多かったことから、いろんな点を修正せざるを得なくなってしまった。


当時冨野氏はアニメ制作を1人で抱えることは効率的で無くしんどい!と考えていた
ためか?戦闘メカザブングルあたりからそれぞれの担当者にある程度任せていたよう
ですので、最終的な選考だけを指示していたようなのですが、

オーラバトラーのデザインを任せた宮武一貴さんは同時期「超時空世紀オーガス」を
制作している理由で最初のデザインだけをしては、後半は全て戦艦であるオーラシップ
を担当した、機動警察パトレイバーシリーズで有名な出渕裕さんが担当しているので、


彼らにまかせっきりにしたのがどうも失敗だった!と冨野氏はそう語っている。

その理由もそれぞれの「思い込み」で作成をまかせてしまったからである。


宮武一貴さんはファンタジーと子供向け!ということで自分が子供のときに大好きだった
昆虫を元に7メートル級で胴体に人が入るようにしながら曲線的なものに仕上げました。


しかし実際には子供には怖がられるわ!おもちゃやプラモデル化するのは当時の技術では
複雑すぎて苦労するわ!で結局売れず
、倒産にまで追い込んでしまうことになってしまう。

またオーラシップに関しても冨野氏の考えではオーラバトラーを運ぶための小型母艦で
ありなるべく世界観を壊したくない!という思いがあったのですが、視聴率不振からか
ゴラオンなど戦艦ヤマトを思わせるようなものを作ってしまったがために、

「出渕のアホが」


と人を使う難しさを噛み占めるように愚痴をこぼしていたらしい・・・

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聖戦士ダンバインは第1話から大失敗だった?冨野氏が語った苦悩とは

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今でこそ聖戦士ダンバインは「聖戦士ダンバイン 動画」でネット検索する人が跡を
絶たないほど多くなっているようなのですが、第1話があがってきた地点で富野由悠季氏自身
完全に失敗作だ!と苦渋を飲むように語っている。


この理由も実際にあがってきたフィルムを見通した上で、

「自身の趣味性のみで作品を制作している」

と感じた点から、視聴者にわかりやすい設定を考えすぎた上で主人公であるショウ・ザマ
を落ち着かせるためにドレイク家で一晩宿を取ったことや、世界観をクドクドとやりすぎた
ので、バイストン・ウェルに召還された後の自主性もなく、流れに任されてているだけ、

そんな感覚から周りのキャラに流されるだけの情けないキャラになってしまった。


そう語っているため、オーラマシンが地上に出る「東京上空」で終わる予定が内容を
大幅変更したことや趣味性を捨てストーリーを重んじたキャラ設定や展開が進むため
に49話もの長いストーリーとなってしまったのです。

本来出る予定では無かったビルバインは何故主役機交代として出たのか?

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聖戦士ダンバインでは機動戦士ガンダムや伝説巨人イデオンで語れなかった人の輪廻と
休息というものを描きたかったのでは?と感じる部分が大きいのですが、本作品では
ビルバイン」と呼ばれる主役機、交代劇がまたしても発生してしまいます。


本来はビルバインは出る予定は無かったのですが、まさかのスポンサー倒産の危機から
ダンバインのプラモデルを販売していたバンダイとタカラトミーが新スポンサーとして
なったことからその条件としておもちゃとプラモデルが売れるものを提案された結果、

ウイング・キャリバーと呼ばれる飛行形態からオーラバトラーへ変形するビルバインが
暗黙の了解で誕生したというわけです。


それと同時に視聴率低下を避けるためエ・フェラリオの長である「ジャコバ」が戦争を
している人間全てを命を投げ打って地上へと上げるのも、視聴者がなじみのある世界で
戦ったほうが、視聴率が上がるのでは?という提案から来ているものである。

冨野氏の思考では死んだ人全員、ミ・フェラリオという妖精になってわだかまりが無く
みんな平和に生きていくという設定でしたのですが、それだと伝説巨人イデオンと同じ
ということで、不甲斐ないながらも、またも「皆殺しの冨野」が発動!


作品としても作り手としても消化不良に終わってしまったのです。

バイストン・ウェルの戦いは何を言いたかったのか?

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ここからは僕の感想となるので、賛否両論あるかもしれませんが、バイストン・ウェルの
戦いは「オーラ力(ちから)」というものを通して人間同士の付き合い方を描いている
ように思えて仕方が無い。


オーラ力とはバイストン・ウェル自身を支える力でありながら、人間が持つ生体エネルギーであり、この強さによってオーラマシンを動かしたり、オーラ力が強いほど人々にいろんな影響をもたらすため、自分自身で制御したり相手との接触に気をつけないといけない。


そうしないと悪人が悪人を引き込み、大きな力となって世界を混沌に陥れるからである。


怒りや憎しみといった負の感情に流されることで最後には暴走し、死を招く要因になる
シーンを後半になるほどよく見かけるのですが、主人公ショウ・ザマがさまざまな葛藤
を描きながら聖戦士として祭りたてられたのも、先人の忠告だったのかもしれない。


バイストン・ウェルに地上人であるショウ達を召還させた理由もこのオーラ力が強く
オーラ力の量でパワーが上がるオーラマシンで戦争でのコマとして使おうとしていた
のですが、最終的にはそういった思想がわかりにくいということで一般兵でも使える、

オーラ増幅器が物語中盤で発明され、コマとしての必要性よりも人の怨念や憎しみと
いった感覚で巨大化する「ハイパー化」やミ・フェラリオのチャムとの共鳴などで
オーラ力を無限まで上げるという設定が生まれたのでは無いでしょうか?、


強力な力を持つほど人間は付き合い方と制御をしっかりとしないと未来が無い!

そんな感覚で聖戦士ダンバインはオーラマシンを通して言いたかったのかもしれません。

レクタングル(大)
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