ザブングル グラフィティは劇場版用にテレビ版を編集、新作カットを加えたもので
当時、人気だった太陽の牙ダグラムとのコラボで上映されているのですがファンの間
では主要!とされる物語・・・ではなく、楽屋落ちを織り込んだ形式にしていたので、
当時の手法としては斬新かつ驚きを隠せない構成として語り次がれているようなのですが、
ファン以外には「何だこれ?」と首をかしげるシーンが多く、マニア向けでしかない。
では何故このような楽屋落ちとなったのでしょうか?今回はザブングルの中で感じた
疑問点も含め、分析していくことにしましょう。
目次
・ザブングル グラフィティが「楽屋落ち」となった意味とは?
・何故ウォーカーマシンは火器や装甲が異様に弱いのか?
・ランドシップであるアイアン・ギアーまでが変形する理由。
ザブングル グラフィティが「楽屋落ち」となった意味とは?
ザブングル グラフィティというとファンの間では「楽屋落ち」という言葉が
ちらほらと出てくるのですが、この意味はいったい何を示すのでしょうか?
一般的に楽屋落ちとは?落語用語の「落ち」一種であり物語の終わりをうまくまとめる
ことを示すのですが、ザブングル グラフィティの場合、TV版のストーリーを知っている
こと前提でしか受けない!マニア向けの作品という意味であることから知らない人ほど、
「何じゃこりゃ何が面白いの?」
となってしまうことから邪道!な手法のため、使うこと自体、禁じてあることが大きい。
しかし総編集しようにも全50話を上映時間90分の制限で編集するのは物理上不可能
であり、主要な物語を詰め込むほど機動戦士ガンダムのように3本作になってしまう。
また戦闘メカ ザブングルにはガンダムほどのマニア性が薄く、興行成績もままならない
ことが予想されたため、結果として各名場面を知った上での回想シーンとしてジロンの
パートナーであったチルをナビゲータとした回想ということに収まったらしい。
そのことを笑い飛ばすように中には直接、映画を作っている実写シーンで、
「これが動撮だ!間に合わないとこうなっちゃう」
と笑い飛ばすものを作成しているが、唯一違うのが、TV版のラストに死んだはずの
イノセント「アーサー・ランク」や最終話で失明するヒロイン、エルチ・カーゴが
失明せずに終わる部分に修正していることが唯一の違いだと言えよう。
この理由も富野由悠季氏のコメントを見ると、
「TV版でのアーサーの死とエルチの失明が、作品全体のムードに
対して後味の悪い物として心に引っかかっていたため」
ということですが、もともと「誰も死なない」ことや人生たくましく生きていく
というコンセプトを考えると、この修正は妥当だったのでは無いでしょうか?
何故ウォーカーマシンは火器や装甲が異様に弱いのか?
ウォーカーマシンとは惑星ゾラに住むシビリアンに取ってブルーストーンと呼ばれる
価値のある鉱石を掘り出したり、移動用の歩行用メカであり、盗賊などから身を守る
ためのロボットであったりと、いろんな用途や種類があるのですが、
どのマシンを見ても、使われている火器の大半は日本の海上自衛隊が使用している
威嚇用の銃、12.7mmM2重機関銃や、ドイツ軍が防衛のために使う、20mmFlak38
対空機関砲など弱い火器がこれでもか!というくらい大量に使われていることが多い。
この理由もシビリアンを管理している支配階級イノセントの策略であり無駄に強固にした
ウォーカーマシンや必要以上に強化した武器を持たせると自分達が反乱によって危ない目
に合うことを避けるためだと思える。
まあ中にはミサイルやロケットランチャーなどつけている機体もあるようですが、
基本はブルーストーンを見つけるための掘削機や移動用手段としての使用という
過程のためこのような防衛機器でもあまり気にはしていなかったのかもしれません。
またイノセントがシビリアンにウォーカーマシンを提供するのも闘争本能を刺激しては
こういった矛盾に頭を働かせないためだと思え、シビリアンの低い知能でも動かせ車の
ように操作出来る方式としており、強力に見せながらもどこか脆い設定にしている。
このことは主人公ジロン・アモスもアニメ内で語っており、親の敵であるティンプが
搭乗するガバメントタイプと対決した際も「もっといいウォーカーマシンを!」と
嘆いていましたが、イノセント側にいたティンプでも量産型とさほど性能は変わらず、
乗りこなしたもの勝ち!という点がありましたので、火力うんぬんよりも与えられたもの
に対しどう使いこなしていくか?この点に着目させたイノセントの策略が要因でしょう。
ランドシップであるアイアン・ギアーまでが変形する理由
本来ならザブングル、ウォーカー・ギャリア、ランドシップであるアイアン・ギアーは
交渉商人の船ということもあり変形する理由も意味も無いと思えるのですが、これもまた
スポンサーであるおもちゃ会社が変形か合体をしないとおもちゃとして売れない!
こういった理由から無理やり変形や合体をさせ、いろんな名場面を描いているのですが、
この理由も作業機械のニオイが強いウォーカーマシンでは売れにくいことからオープニングでアイアン・ギアーを変形させることでインパクトを持たせ、子供達に期待度やおもちゃとしての購入意欲を与えるためだと思える。
実際にこの後に放送された他社であるスタジオぬえの超時空要塞マクロスでもスポンサー
であるおもちゃ会社から、戦艦と飛行機物は子供受けが悪いので変形させないと売れない。
そんな提案から無駄に変形させる設定になっているのですが、このようなスポンサーの
無茶な意見の抵抗として、アイアン・ギアーを変形させるたびに操縦者のコトセットも、
「整備や修理に大変だ!」と嘆いていた部分は富野氏の皮肉かもしれません。