ガンダムのアムロ脱走が示すホワイトベースとランバラル隊の裏事情

機動戦士ガンダム第17話「アムロ脱走」は前回の話で捕虜にしたコズン少尉が脱走したり、生活背景としてミライの入浴シーンやアムロの命令違反でガンダムから降ろそうとするブライトの提案を偶然聞いてしまい、ガンダムを持ち出して夜中に脱走するなど、

かなり慌しい回であるのですが、これらの展開を大人の目線で読み解くほどホワイトベースやランバ・ラル隊におかれた現状がセリフや描写から浮かび上がってくるので面白い。


この点を中心に分析するほど、立場上での問題点がヒシヒシと感じてくるため
今回もこういったコアな目線で今回のお話を見ていくことにしましょう。

スポンサーリンク

目次

・戦闘シュミレーションと現実の壁?何故アムロの作戦は失敗したのか?
・コズン脱走!行動から読み解くホワイトベースとランバ・ラル隊の実情。
・ガンダムを持ち出してのアムロ脱走は視聴者に何を伝えたかったのか?

戦闘シュミレーションと現実の壁?何故アムロの作戦は失敗したのか?

t2-22-01

機動戦士ガンダム第17話では前回の戦闘で手に入れたコズンのザクⅡJ型から、コンピュータを使用して戦闘シミュレーションを作るシーンから入り、アムロがいうように、

「手に入れたザクのおかげで具体的な性能がわかったんです。
 その数字とガンダムの性能を組み合わせて、今より正確な
 戦闘のパターンを作れないか試しているんです」


とより実践的なデータからガンダムの戦闘に生かせないか?没頭するシーンから始まる。


一見すると古めかしい感じの電子計算機型の数式が見られるのも1970年代後半のコンピュータからのイメージなので、現代人からすればそんなので分析出来るのか?と思えてしまうのですが、この時代ではこれが最先端であるため仕方のない描写であること。


またその横でカイがグフについてどう対応するのか?を聞いている答えでも、

「ザクの性能より20パーセント増しでやってます」


と数値上は計算しているのですが、頭で考えすぎた結果からか?ブライトの命令を無視して
ハヤトとガンタンクで出撃したり、ガンダムで応戦しても予想以上にグフが早く、

「だ、駄目だ。コンピューターのパターンだけでは追いつかない。
 データーが甘いのか?」


と苦戦してしまうので、軍規違反をした上にブライトに悪印象となってしまう。


アムロとしては目の前にジオン地上基地があったのでガンタンクの長距離砲である120mm低反動キャノン砲で対応しては、グフなどのモビルスーツが出てきた場合、空中換装でガンダムになり、シミュレーションを生かして対応するつもりであり、

「いいぞ、ハヤト。この程度の地上基地ならこのガンタンクの機動力と火力で
 十分に対抗できる。用兵の問題はまだブライトさんにはわかりはしない。
 なんでもかんでもガンダムで戦わせればいいってものじゃない」


完全に有頂天になっていたため先の先まで読み切れず、マ・クベが応援で出した小型戦闘機ドップ5機に空中から集中砲火されてはランバ・ラル隊のザクに翻弄され、挙句の果てにはガンダムに換装するまでカイが搭乗するガンキャノンに任せっきりで失態となる。


こうなってしまった原因も後々ランバ・ラルにも指摘されるようにザクやグフの性能
ばかりに囚われ、肝心のパイロットの技量を計算していなかったからに他ならない。


実際にザクは地上用に宇宙で使用していた加速用スラスターを外して軽量化されている反面、使い込まれすぎた旧型であり、グフに関しても新装パーツがザクの6割で胸部装甲の強化はしてあるものの、ザクの5%増のパワーしか向上しておらず白兵戦重視のため、

量産化された地点でも一般パイロットには操作性に難アリであまり人気がなかった様子。


またアムロがガンタンクで攻めた場所もマ・クベ側からすれば大して大事な場所でもなく結果からして単なる消耗戦であったことから、ブライトの命令を聞かなかった地点でアムロの作戦は頭でっかちでなめすぎていることから失敗することが目に見えていたのです。

スポンサーリンク

コズン脱走!行動から読み解くホワイトベースとランバ・ラル隊の実情

t2-22-02

アムロ脱走のカウントダウンとは別に前回捕虜となったジオン兵コズン少尉の脱走を中心に、生活を感じさせるための女性キャラ入浴シーン第一弾として母性的イメージのミライの裸が水道蛇口を直すために、指の隙間から見てしまうシーンなどアムロの年頃の反応を含め、

さまざまな現状が組み合わさっているのですが、それ以上にコズン少尉を中心にホワイトベースとランバ・ラル隊の深刻な現状が読み取れるので、この点の展開も見逃せない。


コズン少尉が最初に驚いたのはホワイトベースの実情。視聴者としては今までの戦いの流れからほとんどが民間人で構成されていることも不思議な展開であるのですが、コズンからしても若すぎるので19歳のブライトが責任者だと理解出来ないのは仕方がない。


また南極条約の「捕虜の待遇に関する取り決め」によりコズンが士官である少尉であるため、拷問による尋問や十分な身体検査が行えなかったこともあってか?マ・クベが管理している鉱山の実情どころか、彼が凶器を隠し持っていることすら把握していない。


この点はコズン自体、ラル仕込みのゲリラ屋ですので、

「素人どもめ。ろくな身体検査もしないで」


と金歯に見せかけた小型爆弾やズボンのひもに似せた導火線を使い脱走してしまう。


またこの間でもランバ・ラル隊の切迫した悩みは多く、マ・クベ大佐による派閥関係のけん制からか?ラルが手柄をあげることを嫌っているのか?前回失ったザクの補給でも、かなり使い込まれた古いザクであり、間接部分を交換することでようやく対処出来た。


そんな感覚であるため、ラルの内縁の妻であるハモンも、

t2-12-03

「今後の作戦、どういうおつもりで受けたのです?」


前回、マ・クベにないがしろにされた意図もありかなりの不満を示している。


これに付いてラルは、ハモンを納得させようとして、

「お前の言う通り、今度の作戦はザビ家の個人的な恨みから出てはいる。
 しかしだ、この戦いで木馬を沈めて、ガルマ様の仇を討ってみろ、
 わしは二階級特進だ。わしの出世は部下達の生活の安定につながる」


と自分だけでなくハモンや部下の生活を見ているのですが、実際にはロクな整備も受けず補給も最低限しか貰えないことから、カイのガンキャノンを後一押で倒せそうになったときに、ガンダムに邪魔され足の関節を痛めるという状態から何も出来ず撤退。


こんな感じでゲリラのスペシャリストでありながら、恵まれない環境や上司の保身のために、実力だけでは作戦遂行は難しいことを悟っていくのですが、こういった部分は脱走したコズンも同様であり、前回シャアのことを聞いてきたセイラに対し下心があったのか、

「お前、ジオンの人間だな?一緒に逃げるんなら
 連れてってやってもいいんだぞ」


余計なことをしてしまったことからセイラに騒がれラルとの合流を急がされてしまう。


結局、コズンからの情報が漏れたのは誰もいない第二通信室からガンダム、ガンキャノン、ガンタンクの3機が存在することだけだったのですが、ゲリラのプロフェッショナルにしては対応が甘く、ハロの奇襲攻撃からエアロックの中に追い込まれてしまい、


オムルがエアロックのドアをバズーカで破壊!爆風に巻き込まれ死亡してしまう。


このことについてオムルが気負いした感じでセイラに振るとセイラは、

「気にする事はないわ。私達だっていつああなるか」

と冷静な判断で答えるのですが、これもまたコズンを通してこの状況になっていたのも自分だったのでは?と無断でガンダムを使ったことへの戒めのように硬直するのが印象的。


この間の展開でアムロが無断でガンタンクで交戦したり、ホワイトベースがギャロップと艦隊戦を行うために、わかりづらいかもしれませんが、1つ1つを分析していくほど、それぞれが現実に置かれた問題と直視しているシーンが盛り込まれているため、

紐解いていくほど何故後々の惨劇につながるのか理解出来るのでは無いでしょうか?

ガンダムを持ち出してのアムロ脱走は視聴者に何を伝えたかったのか?

t2-22-03

機動戦士ガンダム第17話は「アムロ脱走」とタイトルがあるように、主人公であるアムロがガンダムに乗って脱走してしまうシーンが衝撃的であり、子供の頃に見ていた筆者もまさかガンダムを持って脱走するとは・・・と唖然としたことを覚えているのですが、

第9話の「翔べ! ガンダム」までの不満に加え、アムロがパイロットとして手馴れてきたこともあってか?戦闘を重ねるたびに有頂天になっていたことから、このような惨劇になったのだと筆者は分析している。


またこの話だけでも理解出来るように第6話で対応に失敗したはずのガンタンクで同じ組み合わせでハヤトと共に命令違反をして出撃するのですが、この点だけでもパイロットとしての慣れが油断となり自分の経験や感覚だけで判断する甘さから失敗することになる。


ブライトはアムロはガンダムで対応、ガンタンクは操縦手がリュウ、砲撃手がハヤトと
思っていた分、オペレータのオスカから操縦手がアムロと報告を受け困惑してしまう。


普通ならここで呼び戻させるのですが、コズンの脱走や目の前のギャロップの対応などでうやむやになるので、こういった対処が甘い分アムロもブライトをなめている点が大きくなっているのだと思える。


結局、現場の対処を甘く見たアムロはホワイトベースでガンダムに換装。その間カイのガンキャノンが戦闘不能寸前までグフに追い込まれ、肝心のグフとの戦闘でもシミュレーターでのパターンでは戦闘のプロであるラルの動きについていけず失態となる。


幸いなことにグフの間接が爆発のショックで故障となったために、事なきを得たのですが、
このまま戦っていたらおそらく敗北していた可能性が高かったように思えてくる。


このようなことからブライトからも叱責をされるように、

「兵士には作戦全体を見通す事ができる訳ないんだ。
 命令は絶対に守れ、軍規違反だ」


と感覚は軍人であることを伝え1つ間違えると全滅する危険性を訴えている。


これもブライトのはっきりしない性格がミライとの会話で出ており、それと同時にミライの関係性を深めようとする部分が出ているために、協調性と生き残るための最善策としてガンダムからアムロを降ろし、正規パイロットであるリュウに任せることにするなど、

しっかりとした理由付けをして対応すれば良かったのですが、はっきりとしない理由から断片的にブライトがガンダムから降ろしたがっていることを聞いてしまったため、自分が必要の無い人間であること本能で察知してしまい、ガンダムで脱走してしまう。


ここでブライトも否定すれば平和的解決になったのですが、ブライトもアムロの行動が
傍若無人に思えたのか、ミライがアムロに話していた経緯を伝えようとしても、

「やめたまえ。かえってくどくど説明する手間が省けたというものだ」

という無謀な解釈がアムロを脱走させるまでの行動にまでつながった原因だと思える。


実際にアムロが第1話の私服でフラウ・ボゥに会ったときにも、

「船を降りるんだよ ブライトさんとミライさんが
 僕は不必要だって言うんだ。だから、船を降りるんだよ」

と錯乱するように声がうわずり、静止するフラウ・ボゥに「止めるな!」と怒りをあらわにしては、夜の風景が暗黒の彼方へ発進していくガンダムとしてアムロの心の闇を見せているように思え、非常にインパクトのある描写となっている。


この点も後の話でリュウが言うようにお互い腹を割って話し合いをしていれば、ここまでの大惨事にならなかったかもしれませんが、これもお互いの未熟なエゴイズム(利己主義)がそうさせているので、解決できないまま試練として困難がが待ち受けるのです。

レクタングル(大)
スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加