機動戦士ガンダム第39話シャリア・ブルが感じたニュータイプの末路

機動戦士ガンダム第39話「ニュータイプ、シャリア・ブル」では地球連邦軍がソロモンを攻略出来たことはジオン軍への総攻撃の賭けに勝ったことを示しながら、最終拠点ア・バオア・クーを攻略することも可能と思われていたことから、ホワイトベースも召集しては、

ジオン攻略の足掛かりとして結束するシーンから始まるのですが、それ以上に今後のキーワードとなる「ニュータイプ」に付いて、木星帰りの男シャリア・ブル、フラナガン機関の秘蔵っ子ララァ・スン、そして主人公であるアムロを通し立場から読み取れることから、


政治的なものやニュータイプとしての未来を語っているため興味深いものとなっている。


またセイラがシャアの妹であることをブライトに告げたり、ハヤトが負傷を押して復帰するなど盛りだくさんという感覚なのですが、今回はニュータイプを通したシャアの見解が以後の戦いに深い意味を持っているため、この点を中心に紐解いていくことにしましょう。

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目次

・アムロVSララァ!ニュータイプ同士が共鳴した精神感応の世界とは?
・木星帰りの男シャリア・ブル!ギレンとキシリア間で苦悩する複雑な思い。
・ブラウ・ブロ出撃!ガンダムをオーバーヒートさせた戦いとその末路。

アムロVSララァ!ニュータイプ同士が共鳴した精神感応の世界とは?

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機動戦士ガンダム第39話では地球連邦軍がソロモンを制覇したものの、謎の音波「ララァ」の後に、戦艦サラミスや補給艦コロンブスなどが原因不明の破壊となるため現場が混乱状態になるのですが、これも遠隔誘導されるビットと呼ばれるサイコミュ兵器であることから、

「すごいものだな。あの輝きがララァの仕掛けたものとは、
 この私にも信じられん。ニュータイプのララァと
 モビルアーマー・エルメス、これほどのものとは」


シャアの驚きもうなづけるほど怪奇現象のように無抵抗のまま破壊されていく。


実際には遠隔操作されているビット攻撃が見えないため、その分ニュータイプとしての能力の凄さだけが目立ってしまうのですが、それだけに同じニュータイプであるアムロもララァのサイコミュ能力を精神感応として抽象的な感覚となり不思議な描写となってしまう。


サイコミュとは簡単にいうとミノフスキー粒子など無線や誘導ミサイルなど遠隔操作が不可能な地域でも精密な遠隔操作を行える装置であり、エルメスのビットはララァの脳波から思ったところに攻撃を加えるので正直言って反則技であることは言うまでもないのですが、

それ以上に同じニュータイプであるアムロからすれば感覚として脳に電波が走ったり、時を越えているように見えたり、真っ赤な宇宙や精神がとろけるようにララァの服が海のように広がっていくのも、共鳴としての描写がそうさせているのだと筆者はそう考えている。


そのためか?お互いに初回となる戦いでは精神を重ねあうような共鳴となったことから
これがララァの精神負担となりフラナガン博士が原因を調べた結果から、

「脳波を受信する電圧が多少逆流して、ララァを
 刺激するようです。今日のような長距離からの
 ビットのコントロールが不可能になりますが?」


でアムロに取っては戦いやすくなる要因となる反面、あの悲劇につながるので
前フリとして成り立っていることに気づかされる。


またシャアがソロモン外でララァに気使いしたセリフ、

「いや、今日はやめておこう。戦果は十分に
 上がっている。一度休んだ方がいい」


ということから初見はソロモンの戦力を減らしたに過ぎないのですが、これによりアムロのニュータイプ能力はますます活性化することになるので、今回の戦いである問題を生むことになってしまうのです。

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木星帰りの男シャリア・ブル!ギレンとキシリア間で苦悩する複雑な思い

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アムロVSララァの初見での精神共鳴とは別に木星帰りの男シャリア・ブル大尉がギレン総帥に木星エネルギー船団の隊長を務め、エネルギー資源であるヘリウムを運んできたこと物語っているのですが、シャリア・ブルがニュータイプであることが判明したことから、


政治的配慮でニュータイプの明確化をしていることが非常に興味深く描写されている。


シャリア・ブルは自分のニュータイプ適正に関して人よりも勘がいい程度と思っており、ロマンスグレーで落ち着いた雰囲気の年配であることから、ガンダムシリーズに多い若年層で情緒不安定という部分が無く、謹厳実直な人柄も極めて異例であるのですが、

それ以上にギレン総帥が回りくどい言い方でニュータイプを役立てて欲しいことについて、敵対しているキシリアの下で働き、政治的な駆け引きのニオイを感じ取ることからニュータイプというだけでなくシャリア・ブルの人間性も示していることが理解出来る。


この点でもギレンがキシリアの下に向かわせることに対する質問に対し、

「わたくしには閣下の深いお考えはわかりません。
 しかし、わかるように努力するつもりであります」


と大人の配慮をしたと同時に明確にギレンがキシリアを排除したいということで自分を送ることだというのを察知しているからなのですが、口に出すと自分も同じ運命となるため、

「それでいい、シャリア・ブル。
 人の心を覗きすぎるのは己の身を滅ぼすことになる。
 ただ、私が君をキシリアのもとにやることの意味は考えてくれ」


と念を押すことで自分もいずれは政治闘争に巻き込まれ死ぬことを示しているので、シャリア・ブルは言葉を選び、ギレンに悟られないようにする必要があったというわけです。


またキシリアの配下であるシャアにも同じニュータイプであるララァの力を感じた際、

「大佐、この少女、ああいや、ララァ少尉から
 何かを感じます。そう、力のようなものを」


と最初は素直にニュータイプ能力を認めたのですがここでも政治的配慮からシャアに対し、

「いや、わたくしは大佐のようなお方は好きです。
 お心は大きくお持ちいただけるとジオンの為に
 素晴らしいことだと思われますな」


から「ニュータイプの全体の平和」のためにという部分をシャアはあえて「人類全体のために」と読み替えるのですが、これもシャアがキシリアを利用してニュータイプの時代から、
いずれは抹殺したいという部分を感じ取っているのだと思えてくる。


まあここまでくると本当に平均視聴率12歳がターゲットか富野氏?と言いたくなるくらい腹黒さ全快なのですが、これもまたシャリア・ブルがブラウ・ブロでの戦闘後にシャアが悟るように語った言葉が戦闘を急がせた要因となっているため、ガンダムとの戦いから、


木星帰りの男!シャリア・ブルがどうなったのかを分析していくことにしましょう。

ブラウ・ブロ出撃!ガンダムをオーバーヒートさせた戦いとその末路

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ホワイトベース側はセイラは兄がシャアであることを明かし、兄から貰った金塊をブライトに処分を任せることや、負傷を追って出撃しようとするハヤトなど仲間として生き抜くことを決意した部分が最終話への描写につながるのですが、それと同時にシャリア・ブルも、

ギレンとキシシアの間で悩みながらもシムス中尉と一緒にブラウ・ブロに乗り込み同じ
ニュータイプであるアムロのガンダムに挑むため、この展開も目が離せなくなる。


ブラウ・ブロは女性技術士官であるシムス・アル・バハロフ中尉が開発しており本来はもっと小型になる予定だったのですが、サイコミュ搭載機であることでシャリア・ブルの脳に負担をかけないために彼が砲撃手として攻撃に集中、操縦手が普通の人でも操作出来るよう、

対処するうちにビグ・ザム以上に大きい62.4m総重量260トン以上とジオン軍モビルアーマー最大の重さ1kmの有線誘導となっている部分から、一回り小さく無線誘導であるエルメスのほうがコスト面からも期待されていることがキシリアの口調から読み取れる。


これもキシリアがシャリア・ブルが来る前に言った、

「・・もし、そのシャリア・ブル大尉の能力がララァより
 優れているのなら、エルメスをシャリア・ブルに任せることも
 考えねばならぬ。その点、シャア大佐にはよく含み置くように、と」


とあるので最初からブラウ・ブロは試作機のひとつでしか無いと思われているのも有線制御式連装メガ粒子砲塔×2同単装砲塔×2の4つしか武器が無いことや有線という部分がいささか旧式であるように思えることから、期待度は低かったのだと思えてしまう。


しかし実際にはブラウ・ブロには「オールレンジ攻撃」という独特の戦術があり、この2つの有線制御攻撃をあたかも複数の敵に見せかけ、全方位から不規則な攻撃を加えるため、

「うわーっ。に、二機か三機のモビルアーマーがいるのか?」


というハヤトの反応から普通の人間ならそう思えることから倒すのは困難であり、1発1発が致命傷のダメージも加わり、ガンダムのシールドを半壊させたりカイ搭乗のガンキャノンの両足をヒザから下ごと破壊してしまうので、普通なら脅威でしかない。


またオールレンジ攻撃には死角が存在せず、標的に対して別の方向から攻撃を加えることが可能なことから、普通の人間なら高確率で被弾確定なのですが、ニュータイプであるアムロは相手の思念を感じることが出来るため、目から稲妻が走る描写で攻撃を見切ってしまう。


それでもガンダムは対サイコミュの動作が出来るように作られていないことからアムロの驚異的な反応に付いていけず、ブラウ・ブロを捉えても当てることが出来ないため大ピンチ!


それに対しシャリア・ブルはアムロが戦いの立ち位置やオールレンジ攻撃を見切るので、

「すごいモビルスーツとパイロットだ。
 あのパイロットこそ真のニュータイプに違いない。

 そうでなければこのブラウ・ブロの
 オールレンジ攻撃を避けられる訳がない。」


と冷や汗が止まらず全方位でくる攻撃を全て回避するため奇跡としか思えないのですが、

「どういうことだ?敵は一機のモビルアーマーのはずだ」


で何とか1つの有線誘導を倒したもののオーバーヒートから長期戦は不利!と感じ相手のニュータイプ思念を感じることで、真っ白な世界から赤い閃光を感じ取り本体へ向かうので、

「なんだ?見つけたのか?シムス中尉、逃げろ」


から分離出来ない横っ腹に接近して一発ビームライフルを撃ちあっさりと撃沈してしまう。


結果から言えばブラウ・ブロは接近戦に弱くあっけないように思えるのですが、これもガンダムのシステムが悲鳴を上げるようにオーバーヒートしたことから生きていたことすら奇跡であることを物語っているので、アムロだから出来た結果に過ぎない。


またこのことでララァが追い討ちをかけようとするのですが最後のシャアのセリフ、

「戦いは危険を冒してはならぬ。少なくとも
 ソロモンにいるガンダムは危険だ。それに、
 シャリア・ブルのことも考えてやるんだ。

 彼はギレン様とキシリア様の間で器用に立ち回れぬ自分を
 知っていた不幸な男だ。潔く死なせてやれただけでも彼にとって」


という部分からシャアの行動原理が最終回に近づく上で明白になっていくため、ニュータイプといえど戦争の生み出した都合のいい道具に成り下がってしまうことを物語っていることから勝敗は結果であることを知らないと、戦争が終わっても危険視される結果となるので、


シャアとしてはザビ家滅亡以上に悲惨な運命になると直感で知ったのかもしれませんね。

レクタングル(大)
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