機動戦士ガンダム第33話コンスコン強襲名セリフに隠された人間描写

機動戦士ガンダム第33話「コンスコン強襲」は劇場版で第34話と統合して都合の悪い部分をカットしていることやコンスコンがシャアを無能呼ばわりで傍若無人からホワイトベース隊に12機のリック・ドムをたった3分で全滅させられる部分だけが強いので、

子供時代の筆者が大人になって見直した際に第34話への前フリ部分や中立コロニーのため戦争が出来ないことで戦争商人のペルガミノに修理依頼をするなど、子供中心の視聴者ほど、大人の事情が飲み込みにくいことから裏まで読まないと難しい話となっている。


特に今後敵になるブラウ・ブロとのニアミス戦闘やミライの婚約者カムランとの再会。ドズル中将からのシャアへのけん制としてコンスコン准将をホワイトベース隊に向かわせる意味からアムロ父テム・レイとの再会など意外と盛りだくさんな描写となっているため、


今回もこれらを中心に大人の目線で1つ1つ紐解いていくことにしましょう。

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目次

・ミライの婚約者カムラン・ブルーム断絶!何故ここまですれ違うのか?
・父親テム・レイがサイト6に?悲劇的再会しか無かったアムロの本音。
・コンスコン強襲!シャアを無能呼ばわりしてけん制する裏事情とは?

ミライの婚約者カムラン・ブルーム断絶!何故ここまですれ違うのか?

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機動戦士ガンダム第33話のメインの1つとしてミライの婚約者だったカムラン・ブルームが
サイド6の検察官としてブライトの前に現れることになるのですがこれもまた、

「この灯台の内側はサイド6の領空である。ここでは、
 地球連邦軍であろうとジオン軍であろうと、
 一切の戦争行為が禁止されている」


というナレーターのセリフ通り、富野氏お得意の偶然による必然的描写により、業務としてホワイトベースと接触したカムランが操舵手となっていたミライと偶然再会することで、いろいろと厄介な出来事へと展開してしまう。


最初はカムランもミライも久しぶりにあったことから思わずはしゃいでしまいブライトも大人の対応なのか?注意する程度で我関せずとなるのですが、2人の会話から分析するほどミライは終始、カムランが自分から行動して迎えに来ることを待っていたのに、

肝心のカムランは親や金の力ばかり頼り、自分の力でミライを探そうとしないことからミライの愛情は冷めてしまい親同士の決めた結婚と割り切ってしまうので、カムランがあきらめの悪いストーカー状態からスレッガー中尉がちょっかいを出す羽目になってしまう。


この点からスレッガーとカムラン、ミライの間で何かしら関係性を予感させるのですが、
この地点ではスレッガーも単なる女好きという感覚とカムランの対応のまずさからか?

カムラン
「あ、ああ。ご婦人の口説きようがまずいという訳さ、なあ中尉」
スレッガー
「そういうことだ。なんせミライ少尉は
 ホワイトベースのおふくろさんなんだからな」


口を濁すように男にしかわからない恋の戦いと言わんばかりに意味深となる。


そういった関係性とは別にサイド6内では修理をすることすら戦争行為に加担したとみなされることから、カムラン経由で戦争商人のペルガミノと合流。これもまたミライへの愛を示すためと勝手な思想からいろいろと手を貸したりすることになるのですが、

ミライが欲しいのはそういったことではなく己の身一つでも愛していることを示して欲しかったため、父親の資産や権限に頼ってばかりのカムランでは先が見えていると思い、

「戦争がなければ。け、けどね、そうじゃないわ。カムラン、
 あなたは戦争から逃げすぎて変わらなすぎているのよ」


彼を断絶するように無重力の中、離れていく描写がミライの気持ちを物語っている。


またカムランが最後に放ったセリフ、

「ミ、ミライ、ぼ、僕の何が気に入らないんだ?ミライ、
 教えてくれ。直してみせるよ、君の為ならば。ミライ」


もまた男と女の感性の違いからか?それとも金持ち思考が抜けきれないのか?次回への惨劇としてつながってしまうのですが、ここでもまた富野氏が語らずとも表現する「言わぬが花」という描写から、まさかの展開になったのは言うまでもありません。

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父親テム・レイがサイト6に?悲劇的再会しか無かったアムロの本音

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今回の話は何かしら前フリとなる部分が多く冒頭であったアムロとセイラのGアーマーがパトロールに向かうシーンでもフラウ・ボゥに冷たいアムロを心配して話をしたり故障をしたモビルアーマーブラウ・ブロと接触したことから戦闘となり実践化を遅らされたりと、

いろいろな展開が見どころになっているのですが、その中でもサイド6に買出しへ行った際、偶然本屋で出会ったアムロの父、テム・レイと出会ったことで悲劇となってしまう。


サイド7で行方不明となり死んだ!と思っていた父が生きていたことから、歓喜となって
父の姿を追いかけるのですが、テムはアムロが軍服を着ていることを不思議とも思わず

「ガンダムの戦果はどうだ?順調なのかな?」


いたって普通の反応をするのでアムロも思わず拍子抜けしてしまう。


この理由も第1話でアムロがガンダムに乗った際、ジーン搭乗のザクをビームサーベルで真っ二つに切ったときに爆発させ、サイド7に放り出されたことによる酸素欠乏症が原因のため久しぶりにアムロとあったのに、頭の中はガンダムのことで一杯だったことから、

テム
「ジャンク屋という所は情報を集めるのに便利なのでな。
 ここに住み込みをさせてもらっている。こいつをガンダムの
 記録回路に取り付けろ。ジオンのモビルスーツの回路を参考に開発した」

アムロ
『こ、こんな古い物を。父さん、酸素欠乏性にかかって』

テム
「すごいぞ、ガンダムの戦闘力は数倍に跳ね上がる。
 持って行け、そしてすぐ取り付けて試すんだ」


とあるように後遺症として記憶の前後が錯乱しておりアムロが軍人になってガンダムのパイロットになっていることや、精悍さが全くなくなっていることから、テムの中では自分の都合のいいような解釈でしか判断出来ない状況となってしまっている。


これもまた母カマリアとの間が冷え切っていることや自分にはガンダムに携わることでしか
存在意義を見出せないからなのですが、このことについてテム・レイが発したセリフ、

「急げ、お前だって軍人になったんだろうが」


という想像もしなかった変わりっぷりに、持っていた回路を地面に叩きつけてしまう。


これもまた古い時代遅れの回路部品を渡されたことよる精悍さに欠ける点よりも、母や自分のことを理解していない父に対する怒りがそうさせているのだと筆者は感じていますが、

アムロがコンスコン隊のリック・ドムを撃墜することによって母同様に別れを決意する動機となりTV版では背中を見送るような寂しい最後に、劇場版ではテム自身がガンダムの活躍によりはしゃぎすぎて階段から転げ落ち後頭部を打って死亡する描写となるので、


これもまた会わなければ良かった悲劇的再会の末路だったのかもしれません。

コンスコン強襲!シャアを無能呼ばわりしてけん制する裏事情とは?

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機動戦士ガンダム第33話ではタイトルが「コンスコン強襲」とあるように冒頭でルナ2に集まっているティアンム艦隊の動きがわからない以上、ドズル・ザビ中将が自分が指揮するソロモンを動けないことから部下であるコンスコン准将に姉のキシリアが部下として、

シャアを使っていることを「無能さ」として知らしめたいためだけに送りつけることになるのですが、ここでもシャアとコンスコンの間だけでなくいろいろな面でけん制になることから、複雑な裏事情がありながら導線が決まっていたかのように展開されていく。


そのためシャアに対するコンスコンの嫌味も知能の低さからか?ドストレートであり、

「ドズル中将のもとにいたと思えば今度はキシリア少将の配下に。
 自分をみっともないと思わんのか?木馬は何度取り逃がしたのだ?
 まったく。私の手際を見せてやる、よく見ておくのだな」


シャアが無能だ!と罵倒しながらも自分の優秀さをいう嫌味な上司状態なので、

「若者をいじめないでいただきたい。お手並みは拝見させていただく」


と相手のほうが階級が上なので冷静な判断でその場は去るのですが、シャアも
このことに腹を据えかねたのか?副官であるマリガンに対し怒りを抑えながら、

「マリガン、ザンジバルに着いたらキシリア少将に
 暗号電文を打て、パラロムズシャア。いいな?」


とだけ伝えそれ以上は極秘事項ということでここでは一旦場面が切り替わるのですが、

「これからサイド6のフラナガン機関に行き、例の
 ニュータイプ ララァ・スンを回収します。シャア」


という暗号の意味からコンスコンより先の先を見通していることを冷静に描写している。


またコンスコンもブラック企業にいる無能上司のような感じを思わせるので、ホワイトベースが戦闘禁止区域外になった地点で攻撃を仕掛けるなどグレーな部分で戦果を挙げてきたことや、リック・ドムをたった3分で全滅されたことで無能将軍に思われていますが、

実際にはアムロのめまぐるしい成長を中心にホワイトベース隊の能力が高すぎたことや、シャア以上に戦争法規違反ギリギリのところを見極め駆け引きする点を評価されていることから、准将という階級を考えると有能の部類に入るらしい。


筆者からすれば単なるウザったい上司としか見えないことからシャアの気持ちはわからないでも無く、2回目のうちの1回目としてサイド6で戦争行為とみなされる補給が受けられないことで、カムランの敬意から戦争商人であるペルガミノの浮きドックへ移動。


そこで修理と補給を受けようとしたところを部下のカヤハワの偵察からサイド6の戦争禁止外にあることを逆手に取り戦闘に巻き込んで破壊するグレーな方法を思いつくことから、

「ペルガミノ?あの戦争で大もうけをするという
 ちょうどいい、我が艦隊は敵と一直線に並ぶ訳だな。
 リック・ドム12機を発進させろ」


ホワイトベースからは浮きドックが攻撃されるのでブライトは思わずカムランの罠と思ってしまいミライが否定する形で嫌な予感となりながらも流れで交戦となってしまう。


一見すると優位に見えるコンスコン隊ですが、実際にはまっすぐに並びすぎたことやアムロ達の能力の高さから、ホワイトベースはムサイ級巡洋艦「クワメル」を撃墜。12機のリック・ドムの内、セイラ、スレッガー、カイが1機ずつ。


残りのリック・ドムはアムロの驚異的な反射神経により9機をわずか3分で撃墜するので、

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「ぜ、全滅?12機のリック・ドムが全滅?
 3分もたたずにか?・・・き、傷ついた戦艦
 一隻にリック・ドムが12機も?ば、化け物か」


と名セリフを発したときにシャアのザンジバルがやってきたことから、

「・・・シャアめ、わ、笑いに来たのか」


というザンジバルの無言の圧力から双方とも引く羽目になってしまう。


結果から言えばコンスコンの古臭い覇権争いなどに全く興味の無いシャアは
腹立たしさを感じながらも、ララァというニュータイプで先の先を見通しており、

「砲撃はするな、サイド6のパトロール艇だ。コンスコン隊にも
 砲撃をやめさせろ。パトロール機を傷付けたら国際問題になるぞ」


冷静な判断で身内の尻拭いをしているので、これが逆にプライドだけが無駄に高いコンスコンの怒りを買うことになってしまうことから、無駄に意識させてしまう戦いからホワイトベース隊を意地でも落とさなければならなくなってしまうのです。

レクタングル(大)
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