機動戦士ガンダム第28話葛藤するカイ・シデンとミハルの悲惨な最後

機動戦士ガンダム第28話「大西洋,血に染めて」ではジオン軍のスパイ107号が弟ジルと妹ミリーの生活のために、マットアングラー隊の任務からホワイトベースに乗り込みスパイ活動をするのですが、同じように戦っているカツ・レツ・キッカの3人を見たときに、


戦争への矛盾からカイに手を貸しガンペリーで出撃することで帰らぬ人になってしまう。


そのためスパイとしてのミハルに何とか手を貸したいと思いながら、葛藤するカイとのやり取りがメインとなるのですが、ここでもまた戦争の悲惨さや甘くない現実がいろいろと交錯しては、引き合う2人を引き裂く状態となるため、

今回も大人の目線で何故ミハルは悲劇となるのか?紐解いていくことにしましょう。

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目次

・マッドアングラー隊の目的!ブーンがミハルをスパイ潜入させた理由。
・グラブロVSガンダム!圧倒的不利だった水中戦を制した決め手とは?
・ミハルの悲劇?話から読み取るカイとの葛藤する想いと後悔する悲しみ。

マッドアングラー隊の目的!ブーンがミハルをスパイ潜入させた理由

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機動戦士ガンダム第28話ではGアーマーに換装したときの弱点として武器を持つ右側の部分がガンダムシールドで覆われないことから、防御面の薄さを問題視するナレーションから始まり、ベルファストからジャブローへ移動するため大西洋上にいる設定なのですが、


シャアが出演から部下に戦わせていた理由や本来の目的がしっかりと描写されている。


今までの流れですと以前と同じようにホワイトベース強襲か?と思ってしまうのですが
実際にはシャア大佐とマッドアングラー隊は水中にいる連邦軍戦艦の排除が目的であり、

「思ったより連邦軍の鯨は大きかったようだな」


と1発で空母ヒマラヤが轟沈された部分を描写していることから、指揮官という立場上シャアは部下であるブーン大尉に各方面の艦船掃討をしながら連邦軍の戦力を減らしていることが、後々の設定で公開されている。


子供時代の筆者からすれば「何故シャアは直接攻めてこないのか?」と躍起になった記憶が強いのですが、シャアもまた大佐という立場からすれば会社でいう取締役に匹敵するので、子供心からすれば大人の事情が理解出来ないのも仕方の無いこと。


またシャアがブーンを通しスパイ107号であるミハルに命令した

「士官室を狙うこと。第一、行き先をつきとめる。第二、
 木馬の性能に関するあらゆる資料、以上の情報を
 手に入れるのだ。本朝五時、接触を取る」


をさせたのは話の前後から考えるとアフリカ戦線への移動を確認すると同時に4機の水陸両用モビルスーツを失ったブーンの責任を取らせるために行わせたシャアの管理術が前回の話と照らし合わせるとつじつまが合うことでほぼ確定だろう。


この点はシャアのセリフからも、

「こっちに来ないのはありがたいが、マッドアングラーは
 ここを動けん。アフリカ戦線の様子も見なければならんしな」


とあることからシャアの目的はあくまでも管轄下に入る連邦軍の排除が目的となる。


実際にはブーンの部下であるラザやカラハなど、ゴッグやズゴックのパイロットで
あった部下の敵討ちにも見えることからグラブロで自ら出撃するブーンからも、

ブーン
「私はパイロット上がりです。モビルアーマーをお貸しいただけませんか?」
シャア
「グラブロか?整備はしてあるが」
ブーン
「仇討ちとは言いたくありませんが、私は四機のモビルスーツを
 沈められています。やらしてください。モビルアーマーなら
 こっから発進しても木馬をキャッチできます」


とあるように失態以上に部下の敵討ちの印象から、視聴者にはマットアングラー隊の目的がどうも理解しづらく見えるのは、大人の事情から仕方の無いことだと思えてしまう。


この点に関しても漁業組合を装ってジオン軍に襲われた振りをしてミハルと無線接触前、

「なあ、請求書を受け取る奴はいるのかな?」


としてやったりな顔で部下のキャリオカと話すシーンがあるのですが、これもまた敵としてのしたたかな部分を見せ付けることで、ガンダムVSグラブロとの戦いを期待させる布石になっているのかもしれませんね。

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グラブロVSガンダム!圧倒的不利だった水中戦を制した決め手とは

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スパイ107号ミハルからホワイトベースの移動先が「南米の宇宙船用ドッグ」と知ったことで、シャアの許可からモビルアーマーグラブロがズゴック2機を牽引して強襲!


ホワイトベース隊との激戦となるのですが、今回も新型兵器第3弾としてグラブロという全長40mもの巨大兵器が襲ってくることから子供時代の筆者としては「こんなでかいの倒せるのか?」という衝撃があったことを今でも覚えている。


基本的にモビルアーマーの定義は第18話のアッザムと同じように移動要塞でありながらも圧倒的戦闘力で相手に対し威圧することから、グラブロに関しても核水流ジェットエンジンを備え、地球1周は軽々出来る能力があるようですが、それ以上に性能としても、

ブーメランミサイルで水中・水上共に対応出来、鉤爪である二本の腕「グラブロクロー」は強靭な装甲を破壊出来ることはもちろん、水中移動時に柔軟性のあるフレキシブルアームとして収縮することから、大きさの割に器用性が高いことが理解出来る。


またあの大きさで最大速度55キロと速いことからアムロもその動きに驚き、かなり離れた位置からズゴックを牽引してホワイトベース強襲として追いつくのですが、これも後に登場する「ビグロ」というモビルアーマーをベースに水圧対応してあることから、


一筋縄ではいかない敵としてモノアイの斜め目線が異様な不気味さを誇っている。


実際の戦闘ではGファイターのセイラがブーメランミサイルの精密射撃にエンジンをやられたり、魚雷で翻弄され近づくことすら出来ない苦戦っぷりなのでグラブロ1機だけでホワイトベースの推進力が40%以下まで落ちてしまうことや、マーカーが言うように、

「だいたいガンダムは水中戦用の武器は持っちゃいないんですからね」


とブライトに指摘するようにグラブロの右手をビームライフルで攻撃しても、

「・・・やはり、ビームライフルのパワーは水中では半分も出ない」


不利なことを理解するのでさすがのアムロも今回は・・・と不安になってしまう。


このようなことからガンダムの右足をクローでつかまえ絶体絶命のピンチ!と思ったのですが、ここでもグラブロのパワーがアダとなってしまったために、右足が切れコックピットまでの突撃を止める手段が無かったことから、ビームサーベルでモノアイを刺され、

「ガンダムの足をちぎったのが間違いだったよ。動きやすくしてくれた」


暗闇に沈んでいくグラブロが後々の悪い予感を意味するように描写されている。


そういったことを予感させるのも劇場版ではカイとミハルが出撃した汎用輸送機ガンペリーのミサイルでミハルの命と引き換えにやっつけるシーンであることから、何かしら意味深な描写であるのですが、TV版ではズゴック2機がやられたことに対して、

悔しがるシーンからつい力が入りすぎガンダムの脚をちぎってしまったことから
思わぬところからの敗因となってしまったのです。

ミハルの悲劇?話から読み取るカイとの葛藤する想いと後悔する悲しみ

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機動戦士ガンダム第28話はお互いに似たもの同士のように惹かれあったカイとミハルの動向が最大の見どころになっているため、2人の心境を読み取るべきなのですが、ここでもまた戦争の道具となってしまった悲しい結末が細かく描写されている点が見逃せない。


ミハルは前回のお話からの経緯からジオン軍のスパイ107号として弟ジルと妹ミリーの生活のために、この仕事を最後にホワイトベースに潜入しては、行き先と性能を調べる任務をするのですが、連邦軍の制服に似させたものは借り物であったことからサイズが合わず、

ブライトを呼びにきたカイの気配に気づき机の下に隠れたことで制服が破れてしまったことから、カイと行動する羽目になってしまう。


カイも最初はホワイトベースの制服を着た女がミハルだということに気づかなかったことから、ミハルも自分がスパイだと気づかれたくなかったためか?カイの疑問に対し、

「私、あんたについて行きたかったんだよ。
 それでこの船に乗ったんだけど」

とその場を繕うのですがカイは前回同様、裏を読む力が強く頭がいいほうなので、

「じゃあ、そのユニフォームどうしたんだよ?その拳銃もさ」


というところから内心スパイ行動であることを確信していたために、

「わかってるよ。あんなに兄弟思いのあんたが
 俺を想って来たなんていうのは嘘だってこと」


と生活のため!と割り切った感覚で物言いすることを悟ったのか?

「嘘じゃないさ。は、半分は嘘じゃない」


反射的に口が動いた点から言葉の真実味としてミハルの気持ちを物語っている。


家族としての自分の使命もありながらも、女としての幸せも似たもの同士からか?感じる点があったのですが、カイとしてはミハルの「半分は嘘ではない」と同じように弟ジルと妹ミリーを養うための情報は与える反面、スパイとしてのミハルには否定的であるため、


ブーンとミハルが艦内で情報のやりとりをしていたことをカイが悟ったことにして、

「いいか、これからあとはあんたとは関係のない事だ。
 いいな?俺の第六感てやつがあの民間機を怪しいって感じたんだ」


不器用な感じでミハルをスパイから足を洗わせるキッカケとなっている。


またホワイトベースの第2ハッチがグラブロのミサイル攻撃によってやられ、弟妹と
同じ年頃のカツ・レツ・キッカ3人が爆風で吹き飛ばされるシーンを見たためか?


自分が情報を流したことで攻撃されることに後悔することから、

「カイ、私にも戦わせて。弟達が助かって
 あの子達が死んでいいなんてことないもん

 このままだったらまたジオンに利用されるだけの生活よ。
 それにもう、ただ見てるだけなんて私たまんないよ」


ということを本音として訴えたため戦場が大西洋であり、水中からの攻撃に対し空からの爆撃しか手がないことから、ミサイルを積んだガンペリーで一緒に出撃することになる。


このようなことからミハルは水中にいるジオン軍モビルスーツ、ズゴックに対しミサイルを撃ち込むのですが2発目を撃ったときに反撃を喰らいミサイル発射の電気回路が破損!


カイが不意に「カタパルトの脇にあるレバーが動かせりゃ」とつぶやいたせいで、

「カイ、カタパルトの脇にレバーがあるんだろ」


と何かに導かれるように興奮したミハルがカタパルトに向かい、カイも嫌な予感がしたのか?ミハルを注意するのものの、ジオン軍のスパイからの脱出が功をあせったことから、

「ハハッ、カイ、むこうから来てくれたよ」


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3つのミサイル噴射の反動で大西洋に飛び出してしまい帰らぬ人となってしまう。


公式な死因は安全ベルトをつけずに本体の発射装置をONにしたことから、頭をどこかの角にぶつけて死んだということなので、大西洋に落ちる間際に髪を束ねていた部分が切れては、驚いたような表情で死んでしまうのですが、そのことでもカイが泣きじゃくる横で、

「あんたと会えてよかったと思うよ。ジルとミリーかい?
 はははっ、あの子達なら大丈夫さ。私達よりずっと
 うまくやっていけるって。

 いつまでもこんな世の中じゃないんだろ?ね、カイ」

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と回想のように描写されるのも、戦争に対するやるせない悔しさを描きながらも、最初に出会ったときに一緒に暮らせなかったのか?という後悔など、さまざまな葛藤が涙となって襲うので、カイに対する印象が変わりここからファンが増えたとか?


結局、戦争というには何も生まず大事なものばかりを失っていくことを描写する部分が
富野由悠季の本音であり、第29話「ジャブローに散る!」でカイが誓った、

「ミハル、俺はもう悲しまないぜ。お前みたいな子を
 増やさせない為にジオンを叩く、徹底的にな」


という成長につながるのでこれもまた戦争への悲しい呼び水になっているのでしょうか?

レクタングル(大)
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