機動戦士ガンダムの第9話はアムロとブライトの名言が交錯する分岐点

機動戦士ガンダム第9話「翔べ! ガンダム」は前半の中で大きな節目となる内容であり、それぞれの立場で悩みや焦り、苛立ちなどのストレスが不満として爆発することから、後世に語られる名セリフとして考えさせられるテーマのように重くのしかかっている。


そのため戦いによるストレスが鬱積(うっせき)するように溜まり、うつ病に近い状態になているアムロ。艦長としての重圧な責任を背負うことで精一杯のブライト。もうこれ以上失態は出来ないと焦るガルマと三者三様で壁となる障害が付きまとうことから、

今後の関係性を左右する展開が「翔べ! ガンダム」という題名に込められている様子。


今回はアムロとブライトが大喧嘩するまでに悪化していくのですが、何故そうなるまでに解決出来なかったのか? 大人の目線で分析していきましょう。

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目次

・うつ病からストレス爆発?アムロとブライトの名言になった大喧嘩とは。
・ガンダムが空中戦だと!焦るガルマと冷笑するシャアの黒い思惑とは?
・マチルダ中尉初登場!アムロ達を救った起死回生になった出来事とは?

うつ病からストレス爆発?アムロとブライトの名言になった大喧嘩とは

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機動戦士ガンダムの第9話では敵味方共、戦いにおけるストレスや焦りが人間関係の悪影響になるところをリアルに描いているのですが、その中でもアムロに関しては今までのストレスや疲れが相当溜まっているのか?序盤からアムロが酷い状態になっている。


何せアムロはまだ15歳。人間としてもまだまだ成長過程であるため、誰かに褒めてほしい、認められたいという欲求や、甘えたい衝動はこの世代では抜け切らないため、そのことを
爪を噛む癖や、愚痴、相手に辛く当たることで示しているように感じるのですが、

それが逆にアダとなって相手をイラつかせ甘ったれ!と思われるだけで、頼られるほど自分にストレスをかける存在だ!と思い込んでしまいうつ病のようにふさぎこんでしまう。


アムロに取って欲しいのは安らぎであり賞賛なので、ブライトがリュウと同じく残り
少ない食料を優先してパイロットとして期待しても、求めているものが違うことや、

うつ病のような状態で食欲が進まないので、子供の食べている食事を横からそっと横取りしている大人の汚い行動を見るほど、自分の食事を分けたくなってしまい、フラウ・ボゥがパイロットとしてちゃんと食べないと身体が持たないことを指摘するほど、

「だったらこんな所で食べさせるな」


自分が求めているものはこんなものでは無い!と心の叫びのように当たってしまう。


こんな感じでアムロはだんだんと心が病んでいくのに対し、ブライトを含めたクルーは
アムロ・・・ガンダムに完全に頼りきってしまっている部分があり、誰もが余裕が無い
ので、コア・ファイターでブライトがパトロール命令をしても、

「パトロールしてわざわざこっちから仕掛けることなんてないでしょう
 そうでなくたって僕はしょっちゅう戦わされてんだ、嫌ですよ」


と反抗心が芽生え、何回もガンダムに無理やり乗せられたことから鬱積として
ストレスぶちまけるように変な妄想や愚痴をフラウ・ボゥにこぼしてしまう。


またその元凶とばかりに命令するブライトに当たるので、さすがのブライトも
業を煮やし、アムロを叱りつけるように口論となる。


普通ならここでしっかりと話し合いをすれば大喧嘩になることは少ないのですが、肝心のブライトもアムロと同じくなりたくて艦長になったわけでもなく、軍人としての責任を果たすのが精一杯という状態。


使えないリード中尉の相手で同様にストレスが溜まっては、食料も弾薬も底をつきかけて
おり、クルー全員の疲れも限界に達しているので全体の指揮で頭を悩ませている。


本部からの命令は自力突破で海に出ることをしいられ、一刻も早く突破口を開くこと
だけを考えていたことから、アムロの行為は単なる甘えにしか見えない。


またブライトも19歳とまだ成人にもなっていない状態で上に立つ立場で行っていることから、アムロの言動がイチイチひねくれていると感じ、冷静さよりも感情が先走ってしまい、
ガンダムでの名セリフである「殴って何が悪い」や「二度もぶった」と、

アムロの感情を逆立てる状態にしかならずこの後も尾を引く状態になってしまう。


確かにアムロがブライトに放った、

「戦いが終わったらぐっすり眠れるっていう保証があるんですか?」

という部分はアムロが抱えている問題点ではあるのですが、それに関してはブライトも同じであり、自分の役目を果たさない部分や、アムロに指摘されたガンダムを自分自身で操縦出来れば・・・と思っている点は痛いところを付かれると同時に屁理屈に思える。


またブライトが殴った後に放ったセリフで、

「殴ってなぜ悪いか?貴様はいい、そうして
 わめいていれば気分も晴れるんだからな」


という部分に抱えている重圧を放つように、自分のストレスしか見ず、屁理屈でしか
対応しないアムロへ役割を果たしてから文句を言え!
と発しているようにも思える。


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さらに場面が切り替わった後に、二度目も殴られ、

アムロ 「!!・・二度もぶった。親父にもぶたれたことないのに
ブライト「それが甘ったれなんだ。殴られもせずに
     一人前になった奴がどこにいるものか


と今の時代だったら「殴るのは体罰ですけど!」と言われそうですが、お互いに
未熟な以上、言葉では表しきれない感情でぶつかるしか理解出来ないこともある。


今の時代なら相手が何故戦いを拒否しているのか?をじっくりと話し合う機会や適度にストレスを抜くことをすれば、大惨事につながることは無いのですが、現実には戦時下で心身共に疲弊した状態、なおかつ敵がすぐ来ている状態で2人とも未成年で未熟となれば、

ブライトの強引過ぎる判断は切迫する戦時下では仕方無い行為だったのかもしれません。

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ガンダムが空中戦だと!焦るガルマと冷笑するシャアの黒い思惑とは?

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ホワイトベースで大惨事になっていることも知らず、敵であるガルマ大佐は前作戦の失態で兵士からの信頼や、キシリアに対する顔向けが出来ないと察しているため、今回は自ら小型戦闘機ドップの専用カラーで出撃することを決めることになる。


シャアとしてはガルマ自らがいかなくても・・・と止めようとするのですが、

「私には姉に対しての立場だってあるんだよ。
 家族のいない君にはわからない苦労さ」

とプライドを重視することから完全にシャアの術中にハマっている状態となっている。


筆者がこう断言出来るのもシャアがガルマに対し誘導するように答えを導き出させては
まるでガルマが選んだように戦死しやすいような場面を作り出しているためです。


これまでもシャアはガルマにアドバイスとして、ホワイトベースの動きのおかしいところを指摘しながら、それが正しかったことを印象付けているのですが、それがガルマの信頼になっているのか?今回も疑いもせずにシャアの助言を鵜呑みにしてしまう。


またアムロの変わりにコア・ファイターで偵察するリュウとハヤトが出ていたことを、

シャア 「30秒前の映像だ。ただのパトロールだ。
     だとすれば木馬はかなり焦っている」
ガルマ 「焦っている?」
シャア 「木馬がパトロールを出すなど初めてだ。弱点があるから
     こそ我々の動きを知りたがっているんじゃないのかね?」
ガルマ 「なるほど。小物を相手にせず本命を叩けばいいという訳か」
     「よし、敵のパトロールを追え」

と見事なまでに誘導してはホワイトベース内でアムロとブライトが大喧嘩でガンダムが
出せないことを察知させるのでシャアにはニュータイプの片鱗があったのかもしれない。


しかし実際にはアムロがガンダムに二度と乗らないと言った後にフラウ・ボゥが放った、

「あたしガンダムに乗るわ。自分のやったことに自信を
 持てない人なんて嫌いよ。今日までホワイトベースを
 守ってきたのは俺だって言えないアムロなんて男じゃない。あたし」


というセリフから立ち直ったアムロが、

「くやしいけど、僕は男なんだな」


と息を吹き返したようによみがえり、ガンダムのバーニアの噴射力とジャンプ力を
計算し実践に生かしたことによって6機のドップをあっさりと撃墜してしまう。


これに関しガルマ焦りの面が見え始めるのか?

「モ、モビルスーツがジャンプしている。いや、飛んでいるんだ。
 連邦軍め、なんてモビルスーツを作ったんだ」


と第9話の「翔べ! ガンダム」のタイトル通り、アムロの飛躍となりブライトからも、

「ああ、あいつのいいところだ。ふさぎこんでいても
 戦いのことを忘れちゃいなかった」


という感じでガンダムの圧勝となり、ガルマのドップを半壊させてしまう。


普通ならガルマのピンチならシャアが助けるべきなのですが、出撃する際に、

「モビルスーツだ。陸戦タイプのは二機出ているが、例の奴が出ていない。
 おそらく出られんのだよ。手を出すなよ、見てるんだシャア。
 私が見事仕留めてみせる」


と大見得を切ったことから、シャアも部下が助けなくていいのか?聞かれた際に、

「いいだろう。援護が必要なら呼び出すと言っていたし、下手に
 手出しをするとプライドの高い彼のことだ、あとで怒られるしな
 この距離なら無線は使えるんだろう?」

「それならいいじゃないか。私だってガルマに叱られたくないからな」


上司に命令されました状態の事なかれ主義で高みの見物としゃれこんでいる。


結果としてはガウ攻撃空母で見ていたシャアが意図的に無線の接触不良をしくんでいた
ためガンダムをガウの直線状におびき寄せて倒すという、ガルマの作戦は完全に失敗!


ここでもガルマのプライドを傷つけたくないという答弁と同時に、

「それにガルマの腕なら、あの程度の傷は難なく
 切り抜けてくれると信じていた」

「ま、残念なことは敵の輸送機を撃墜しようとした時、
 ガルマの機と一直線上だったので撃てなかった」

と言い訳を用意して冷笑したので、あのままガンダムに撃墜されることを考えていたのならば・・・シャアはサビ家滅亡の第一歩としてガルマを葬り去りたかったのでしょうか?

マチルダ中尉初登場!アムロ達を救った起死回生になった出来事とは?

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ホワイトベースを救った起死回生の活躍は、アムロでもホワイトベースでも、冷笑して傍観していたシャアでもなく、補給物資を持ってきた輸送機ミデア艦長マチルダ中尉である。


これも負傷したガルマのドップをアムロがガンダムで追尾してやっつけようとした際、

「そこのモビルスーツ、聞こえるか?山を越えると
 ガウの餌食になる。ホワイトベースに戻れ」


と何もかも見通した感じで、アムロを止めては底をつきかけていた食料や武器弾薬などを補給するために、レビル将軍から任命され、補給物資だけでなく、厄介者だったリード中尉と避難民35人を保護。「V作戦」のデータとして戦闘データのコピーを受理していく。

出番としてはわずか3分にも満たないのですが、ホワイトベースに取って厄介だったものや、精神的な孤独感など緊迫したものを全て解き放つような感覚で現れると同時に、連邦軍の現在の状況やこれからのホワイトベースの状態にわずかながら期待を見せてくれる。

それと同時にマチルダが発した言葉で、

「ともかく、連邦軍にもあなた方を見捨てては
 いない人がいることを忘れないでください」


と大人の魅力でブライト以下、ホワイトベースのクルーに希望を与えたことや、

「あなたの戦いがなければ私達もやられていたわ、ありがとう。
 あなたはエスパーかもしれない」


ということをアムロに伝えるとまるで夢だったようにその場を去るので、24歳である大人の色香を残しながら、アムロに対して強い印象をあたえその後の話にも影響している。


実際にアムロをうつ病のような苦しみから救ったのは、後にも先にもフラウ・ボゥであるのですが、そのことを忘れさせられるくらい強烈な出会いであったことから、これからも憧れの人としての位置づけになってしまうのでこれがアムロにどう影響するのか?

大人としての成長と共にピックアップされていくことになるのでしょう。

レクタングル(大)
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