ガンダムの大気圏突入!劇場版で変更された矛盾点とリアルな人間描写

機動戦士ガンダムは戦争の中でのリアルを描いていることで、予期せぬ奇襲攻撃や相手の裏を読む戦略など、それぞれの立場で表現されている点が、ガンダムファンを魅了している部分であると筆者も感じているのですが、その中でも第5話である大気圏突入は、

さまざまな部分から、切迫する人間描写が大きいため、戦争でのリアルとして
受け継ぐように、後期作品でも時代を反映する形で描かれていることが多い。


では実際に、大気圏突入での見どころや、戦争の中でのリアルさはどんな部分なのか?


作品の名場面をみながらいろいろと分析していきましょう。

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目次

・大気圏突入!たった2分の時間で奇襲?シャアが描いたシナリオとは。
・大気圏突入は恐怖の連続?短い時間での温度と落下する速度の影響とは。
・ガンダムの大気圏突入は無謀?劇場版で変更された耐熱フィールドの謎。

大気圏突入!たった2分の時間で奇襲?シャアが描いたシナリオとは

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機動戦士ガンダムの基本的構成は1話に対し必ず1つのテーマがあり、それに対し予想のつかない結果に導かれるという点が富野描写として語られているので、この点をしっかりと見極めていくほど、いかにしてリアルな点を重視していたのか?理解出来るのですが、

中でもシャアの作戦は、予想もしないところから災難にように次々とやってくるので
ガンダムファンが増えるのも、この点に魅了されるためだと筆者はそう感じている。


今回の「大気圏突入」というシーンでは、地球へ降下するタイミングや進入角度を間違えると自由落下から、燃え尽きてしまう恐怖があるため、シャアが作戦前に発している。

「このタイミングで戦闘を仕掛けたという事実は古今例がない。」
「地球の引力に引かれ大気圏に突入すれば、ザクとて
 一瞬のうちに燃え尽きてしまうだろう。」


というセリフ通り、本来ならモビルスーツで仕掛けるのは無謀であり、まともな
精神ならば「まさかこんなときに攻めるわけがない」と考えるのが普通なのですが、

「敵が大気圏突入の為に全神経を集中している今こそ、ザクで攻撃する
 チャンスだ。。第一目標、木馬、第二目標、敵のモビルスーツ。

 戦闘時間は2分とないはずだが、諸君らであれば
 この作戦を成し遂げられるだろう。期待する」


とあるよう逆転の発想で敵の横っ腹をつく形で攻めようとする点に興奮させられる。


普通ならば、こんな無謀な作戦をする上司に従う部下もどうかしているのですが、作品内にも「戦いは二手、三手先を考えているもの」と公言しているだけあり、第5話の最後のほうでも、小型脱出戦闘機であるコムサイに一緒に乗った副官ドレン少尉のセリフでも、

「ようやくわかりましたよ、シャア少佐。よしんば大気圏
 突入前に敵を撃ち漏らしても、敵の進入角度を変えさせて、

 我が軍の制圧下の大陸に木馬を引き寄せる、二段構えの作戦ですな」


とあることから、実際にガルマ大佐が制圧しているキャリフォルニア地区におびき
寄せることになるので、シャアがドヤ顔でドレンに対し発するようなセリフである、

「戦いは非情さ。そのくらいのことは考えてある」


という感覚を知っている部下であるからこそ、無謀な作戦を承諾出来るというもの。


また大気圏突入時の戦闘は2分が限界!と部下に言っているのも、重力に引かれて降下すると、機体が押しつぶされるたびに熱が発生し、進入角度が大きいほど、熱膨張が原因で機体が爆破されるためですが、それを数値で語ることで、部下への安心感を生んでいる。


これらは取り方によれば、気休めに聞こえるかもしれませんが、シャアの実績と自信を持った具体的な説明をすることで、部下に対する信頼を得ていることから、無謀だと思える作戦も実践出来たのでは無いでしょうか?

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大気圏突入は恐怖の連続?短い時間での温度と落下する速度の影響とは

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大気圏突入ではシャアの奇襲に対し、ガンダムがどう対応するのか?という点だけが注目されがちですが、アムロの焦り以外にも、たった2分という短い時間内での温度や速度がホワイトベースクルーに悪影響を与えている部分が見どころとなっている。


最初は牽引するサラミス、ホワイトベース共々、楽観的な印象から始まるのですが
戦闘が始まると共に、ありえない現実から焦りや責任転嫁が強くなってしまう。


そのためか?第4話で2機のザクを倒したので、手持ちのザクが無いことを知っていた
アムロが、出撃前にセイラに「後方R3度。ザクは4機よ」と伝えられると、

「4機も?シャアは手持ちのザクはないはずだ。そうじゃない?セイラさん」


と焦るシーンから、通信士のセイラに「あなたなら出来るわ」とおだてられたり
バズーカを打ちつくしてしまい、ガンダムハンマーしか打ち出せないことを知ると、

「それでいいです!」

と半ば投げやりになってどうにかして危機を脱出したいという焦りをうまく描いている。

何故、ホワイトベース内にガンダムハンマーがあったのかは未だに不明なのですが、エネルギーの消耗が少ないわりに威力は大きく、宇宙空間でもその作用が高いことから、反映されているらしい。


ちなみに劇場版ではハンマーの存在自体消されているので、リアル面や命中率などを
考えると、スポンサーのおもちゃ売り上げ要望では無いかと筆者はそう思っている。


また大気圏降下中でもハヤトやホワイトベースクルーによる混乱が大きく、ザク相手に機銃で反撃する際にも、「機銃なんてやったことない」と嘆くシーンは、「僕だってやったことない」と、人員不足からくる責任転嫁から現場でクルーをまとめているリュウが切れるシーンが印象的。


その状況を知ってか知らずか艦長代理に任命されたブライトが、

「リュウ、ハヤト、接近したザクにミサイルは無理だ、機銃で迎撃しろ」


と指示するものの出来ない!やったことのない!で責任転嫁でリュウ自身混乱状態となり、

「くそう、死にたくなかったら何かしろ。
 その辺にミサイルの撃ち方の教科書があんだろ」


と半ば切れ気味になっているので上と下の板ばさみから泣きたいのはリュウであろう。


またブライトも艦長になりたてだからか?状況を把握出来ず、

「ミサイル第二波、回避」
「後方AMミサイル、どうした?撃てないのか?」


とミサイルを撃ったことのない素人相手に無茶な命令ばかりをするので、

「ブライト、落ち着いて。みんな慣れてないのよ」


とミライに諭されるシーンや、ホワイトベースを先導するために一緒に出たサラミスの
カプセルがザクに襲撃され、リード中尉から中から燃え尽きるので収納依頼をかけた際、

「セイラ、アムロに二機のザクを引き離すように伝えろ」


と自由落下で制御がするのもやっとの状態で、無茶な命令をするので、

「・・・無理です。アムロはシャアと戦うので精一杯なのよ」


とこちらでも混乱からくる衝動を抑えきれない部分をリアルに描いている。


こんな感覚で立場から、大気圏突入時の襲撃の恐怖や混乱を見事なまでに描いているので、冒頭に出てきたおじいちゃんと少年、カツ、レツ、キッカが「怖くないもん!」と恐怖と戦うシーン。リード中尉が負傷して宇宙服が破れることの危険性など細かい部分が、


人間描写として素直に演出されるため、第5話での本当の見どころだと思います。

ガンダムの大気圏突入は無謀?劇場版で変更された耐熱フィールドの謎

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機動戦士ガンダムでは、戦争の臨場感を恐怖や焦りといった感情で受け止められるように、失敗した末路という感覚で、敵の最後を演出するシーンが多いのですが、第5話でも大気圏突入に失敗した部分を、ザクの大気圏突入でしっかりと描かれている。


この部分に関してはシャアが部下に説明しているように、ザクの場合、シャアとて大気圏へ突入したら助からないことから、戦闘時間は2分と無いと忠告しては、しっかりと計算してコムサイに収納され、大気圏突入に見事成功しているのですが、


ガンダムの襲撃に夢中であったザクのパイロット、クラウンは戦闘もむなしく、

「しょ、少佐、シャアーッ。助けてください、
 げ、減速できません。シャア少佐、助けてください」

大気圏内で熱膨張による圧力で爆発するのでこの点が印象深く恐怖として残っている。


この結果からガンダムは大気圏内に引き込まれ自由落下で落ちて燃え尽きる!と、シャアは思っていたようなのですが、搭乗者であるアムロの感覚では「あの親父のことだから、こんなこともあると思って絶対に対策しているに違いない!」と信じてしたのか?

ガンダムのマニュアルをひたすら見直しては大気圏突入に対する対策をしているので、絶望よりも、前向き思考で探している地点が親子だなあ~と思えたのは筆者だけだろうか?


またTV版のガンダムは大気圏を突入する際に、ガンダムBパーツの下腹部に収納されている耐熱フィルムで風呂敷のように全体を覆いながら熱膨張からの爆発を防ぎ、見事生還しているようですが、劇場版では何故か、耐熱フィールドに変更されている。


この理由も大気圏内で布状のもので身体全体を覆うことは事実上不可能!ということから股間から、ガンダム本体を覆うフィールドを形成する形に変更しており、この形式でも地球連邦軍の試験結果では全て失敗に終わっているので、アムロが降下成功出来たのも、

奇跡以外の何者でもなく、Zガンダム以降はこの方式をしても誰1人成功していない。


以降、大気圏突入の主体はバリュートシステムと呼ばれるパラシュートのような形で背中から降りるタイプや、フライングアーマーなど飛行機型の乗り物で盾にするように落下するなどで、耐熱フィールドにしても本来は不可能では?という点が大きな疑問点であり、

RXシリーズのほとんどがコア・ブロック採用のため、いざというときはコア・ファイターで脱出する形として、機動戦士ガンダムThe originでも修正されているようです。


この点は1979年作品のため、科学の発展と共に不可能では?という疑問点から修正がされ、よりリアルに近い設定が組み込まれた結果であることから、リメイクされるのであれば、バリュートシステムやホワイトベースを盾に隠れて突破が無難のようですが、

ガンダムでの単機突破!というインパクトで、ガンダムは凄い!という印象を付けたかった
スポンサーの裏事情から、このような矛盾が出たのかもしれませんね。

レクタングル(大)
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