機動戦士ガンダム一年戦争が8ヶ月に渡り膠着した3つの深い意味とは

機動戦士ガンダムではサイド7でガンダムが大地に立つ前にさまざまな出来事が膠着する
ように起こっているため、そのことを知らないと「何故?」の部分が意外と多い。


そのため筆者の視点でジオン公国が地球連邦軍に独立戦争を仕掛けたいきさつから、いろいろとお話しているのですが、前回までのお話では、地球連邦軍の本拠地であるジャブローに宇宙住居であるスペースコロニーを自由落下で落とす「コロニー落とし」が失敗。


この地点で地球圏に残るスペースコロニーがサイド5しか無く、ここを基準としてコロニーの奪い合い。サイド5の愛称から「ルウム戦役」と呼ばれた戦争が繰り広げられ、ミノフスキー粒子を中心にモビルスーツを戦略的に利用したジオン軍が連邦軍の8割を壊滅。


地球連邦軍の指揮をしていた将軍!レビル中将が捕虜にしたことをジオン公国の総帥である
ギレン・ザビが全宇宙放送で戦意高揚と勝利宣言をするように、拡散させていくのですが、
ここから何故か8ヶ月に渡り膠着(こうちゃく)した状態が続いてしまいます。


では何故ジオンは圧倒的勝利を得たのに、地球連邦軍と8ヶ月も膠着してしまったのか?


この理由も3つのことが大きく関わってしまったため、その点を中心にガンダムが
大地に立つ前の世界を分析していきましょう。

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目次

・暴かれたジオン公国の秘密?レビル将軍が知ったジオンの内部事情。
・ジオン公国の切り札であった南極条約はどんな内容に変更されたのか?
・ジオン軍は何故地球侵攻作戦という強行作戦を実行することになるのか?

暴かれたジオン公国の秘密?レビル将軍が知ったジオンの内部事情

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ジオン公国は地球連邦軍が主体としていた誘導兵器や通信レーターを無効化出来るミノフスキー粒子を発見、これを散布するのと同時に、同じ原理で動力とした人型先頭兵器「モビルスーツ」の開発を成功させていたため、原始的な近接戦闘で圧勝の結果となり、

地球連邦軍で一番偉いレビル将軍を捕虜として手に入れることに成功したことから、このことを盾に、ジオンに有利な制定として「サイド3の独立自治権」「地球連邦軍の軍備の縮小」など有利な休戦条約を手にする予定であった。


ここまで行えば勝利は確定!という地点まで攻め入ったジオン公国だったのですが、地球連邦軍の特殊部隊が極秘に裏で行動していたことにより、思わぬ奇襲からレビル将軍は間一髪で救われる運命となるのですが、これによりジオンの内情が暴露されてしまう。


それがレビル将軍が演説をしたときに放った、

「ジオンに兵なし」


という言葉である。


当初、地球連邦軍はギレン総帥が提示した「サイド3の独立自治権」「地球連邦軍の軍備の縮小」を戦力の疲弊から仕方なく受け入れるはずだったのですが、レビル将軍がジオンの内情を知ったことで、条約の内容が大きく変化してしまう。

この理由も当時のジオン軍は、このまま戦争を続けるための資源や兵力がほとんどなく、ルウム戦役で使われた、核や毒ガスを含め、ほとんどの戦力をつぎ込んでいたことが判明したため、ジオンにはこの後の戦力は無い!と悟ったのです。


これにより、完璧だと思われた条約は変更を余儀ないことになり、お互いに戦力が無い状態での闘争は疲弊に終わるということから一時休戦。南極で行われたためこの条約を「南極条約」として制定するのですが、この内容がお互いに取って膠着する第一歩となり、

8ヶ月もの泥沼な戦争にまで長引くのはこの時はまだ知る余地も無かったのです。

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ジオン公国の切り札であった南極条約はどんな内容に変更されたのか?

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地球連邦軍とジオン公国の戦力差は、30対1と言われていたことから、ギレン総帥は最初のコロニー落としで本拠地であるジャブローを壊滅させ、その混乱に応じて、連邦艦隊をミノフスキー粒子で無効化しながら、全戦力としてモビルスーツで短期決戦。


このようなシナリオで圧倒的有利の状態からジオン公国に有利な条約を結ばせる予定だったのですが、レビル将軍の内情暴露の演説により、南極条約も互角の立場で結んだ結果が、結果として1年戦争が膠着した理由ということをあまり知られていない。


以下が「南極条約」の主な取り決めである。


1.大量破壊兵器の使用禁止

・NBC兵器の使用および大質量兵器の使用の禁止。

※生物兵器、毒、細菌などの化学兵器
 コロニー落としや小惑星落下など

・核ミサイルの設計図の公開。

2.特定地域および対象への攻撃禁止

・サイド6等の中立宣言地域での戦闘禁止。
・グラナダを除く月面都市への攻撃禁止。
・ヘリウム3を運搬する木星船団への攻撃禁止。
(木星船団=木星エネルギー船団)

3.捕虜の待遇に関する取り決め

・階級による区別や食事・尋問方法など
 捕虜の取り扱いに関する事項。
(拷問禁止や階級に応じた扱いをすること。)

(ウィキペティアより一部引用。)


1に関してはお互いに不利であるため制定されたと思える。特に毒ガスや細菌兵器などは、筒状に密閉された空間で逃げるところがないスペースコロニーで実行されると圧倒的不利になり、隕石やコロニー落としは地球側も防衛策が乏しいからです。

またコロニー同士がぶつかり合うなども、コロニーに住んでいるものからすれば、隕石などをぶつけられると脆いことから、暗黙のルールとして制定したのでしょう。


2に関しては補給物資や資源が絡んでいるため、これを絶たれると戦争どころか死活問題につながってしまう。特に木星船団は燃料になるヘリウムと水素を運ぶために重要でありガンダムの世界では、木星から採取していたことから戦争どころでは無くなってしまう。

またグラナダ以外の月都市や中立都市は、どちらにも援助している企業や政治家、資源が多いことからこれもまた同じ理由。特に月は両方との結びつきが強いので、ジオンが占領していたグラナダ以外は、戦火から避けないと枯渇問題のほうが大きかったのだろう。


3に関しては明らかにされてはいない。制定した理由はレビル将軍が何かしら拷問を受けた可能性があるように思えるかもしれませんが、実際には拷問などで情報を吐かせる行為から、状況が不利にならないようにした予防策だと思える。

これによりアニメでもオデッサ作戦前、レビル将軍の近くにスパイの高官を置き、情報を聞き出していたことがあるので、この点からの推測でしかないのですが、それ以外にも、レビル将軍自身が捕虜となり、弱みを付けられることで壊滅状態になった経験から、

あえて面倒な条約を結んだことで、ここから8ヶ月の膠着状態になったのです。

ジオン軍は何故地球侵攻作戦という強行作戦を実行することになるのか?

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圧倒的優位で奇襲を仕掛け8割方、成功まで持っていったジオン公国なのですが、レビル将軍の内部暴露により、互角どころか継続的に戦力を維持出来ないことがバレてしまったことから「ジオン軍を殲滅する!」と徹底交戦となってしまう。


そのためジオン公国のギレン総帥も、士気を下げないよう、サイド3にいる人間は優秀人種であり、選ばれた存在なのだから負けるわけが無い!と演説で戦意高揚。こちらも徹底交戦を宣言するのですが、決め手である補給物資がほとんど無い。


そこでギレン総帥は資源が無ければ地球の資源を押さえればいい!と「地球侵攻作戦」として、大量資源があるコーカサス地方のオデッサ・バイコヌールに降下。

第1地上機動師団としてマ・クベが指揮する資源発掘隊がカスピ海や黒海など、天然資源が多い場所を中心に占拠。その他アメリカのキャリフォルニアベース。アジアの北京、アフリカのキリマンジャロなど、半数以上の資源がジオン軍の先発隊に取られてしまう。


ここまでは予想していた通り、地球連邦軍の資源を取ることで、そこでモビルスーツなどの兵器を量産し、各方面から連邦軍の本拠地であるジャブローを攻め落とす予定だったのですが、宇宙に馴れ過ぎていた兵士達は歩行による重力で思った以上に苦戦。


さらに戦力外だと思われていた61式戦車を始め、対モビルスーツ用の重誘導弾などによる物量攻撃から、当時目標としていた全資源の半分程度しか支配出来ず、占領領域を拡大しすぎたことも災いして補給もままならない状態になってしまう。


結局、連邦軍もジオンのザク相手では、被害が増え、ジオン軍も占領した基地を守るだけで手一杯の状態で8ヶ月も泥沼の膠着状態になってしまうのですが、これもまたお互いに疲弊した状態で重大なことをいちかばちかで決めてしまった末路ですので、


決め手を持たない」ということは人生においても不利になるという教訓であるのです。

レクタングル(大)
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